松本正彦 追悼展

松本 知彦 for Private Time/2012.08.30/私の履歴書私の履歴書

以前、このブログでも書いたことがありますが、僕の父親は作家でした。
当り前のことですが、彼は少なからず、自分のアイデンティティ形成に影響を与えています。
1人っ子の自分にとって、彼はよき指導者であり、人生の先輩でした。
彼から一番影響を受けたもの、それはやっぱり芸術でしょう。
僕は今までそんな彼をどこかで否定し、反面教師のように感じて育ちました。
芸術で人を幸せにはできない、父を見て育った僕はそんな葛藤を長い間抱えていました。
彼が僕に教えてくれたことは、代替えの効かない素晴らしいもの、そして純粋に一つのことをやり遂げる難しさでした。
今では大切なことを教えてくれた父親を尊敬しています。
当前ですが、彼がいなければ今の僕もない。
二律相反こそが真実のように感じながら、日々僕は働いています。

img

img一雨来そうという作品。作品はすべて切り絵です

さて、そんな父の個展が、9月から原宿で開催されます。
企画はすべて母によるものです。

話は飛びますが、先日僕が19歳の時に付き合っていた彼女と久しぶりに会って話す機会がありました。
当時彼女はよくうちに遊びに来て、うちの家族と一緒にご飯を食べていました。
だから僕の両親のこともよく知っている。
20年ぶりに、今は自分と同じ年くらいの子供がいる彼女と会って、不思議と時間の経過を感じることなく、色々なことについて自然に会話できました。
その時、彼女の口から出た言葉で非常に印象的だったものがあります。
「あの時は言わなかったけど、松本家のお母さんはいつ会ってもニコニコ笑っていて、自分にとって理想の夫婦だった。いつも笑っていられるってことは素晴らしい。自分も松本家のような家庭を持ちたいと思っていた」。
えー?20年以上経ってそんなことを言われるなんて。
彼女の父親は仕事で家にいる時間は短く、仲が悪かったわけではないけれど、母と父があんなに長い時間一緒にいながら、穏やかに笑っていられる家庭ではなかった、と言っていました。
息子として、そんなことを言われると決してそんなことはないと言いたくなりますが・・・・
他の家庭は知らないけど、他人から見たらそう感じたのかなあ。

そんな意外なことを言われて、この展覧会を企画した母を想いながら、改めて父の作品を見てみると、穏やかな彼の性格がにじみ出ているような気がします。
彼の人となりでしょう。

皆さんも近くに行かれる機会があって、時間の余裕があれば是非足を運んでみてください。

img場所はJR原宿駅の目の前です。

八重山2

松本 知彦 for Private Time/2012.08.29/旅

昨日アップした記事、沖縄の離島、小浜島の続きです。
宿泊したのは「リゾナーレ小浜島」、今年の4月、軽井沢の星のやで知られる星野リゾートに買い取られたホテルです。

imgエントランス。外観はほとんど変わってません。

img部屋のインテリアはアマン入ってます。プールがついてる部屋もあり。

4年前に同じホテルに宿泊した時は、「ヴィラ ハピラ パナ」という覚えられない名前でした。
内装はほとんど変わっていませんでしたが、なんだか以前来た時より、人が多くてラグジュアリー感は薄くなった印象。
部屋数は以前と同じですが、以前あった「ヴィラ ハピラ パナ」「アマランダ」という2つのホテルを1つにして、複数あったレストランを1つだけにしたためだと思われます。
これなら隣にある「はいむるぶし」の方がいいかも。
「はいむるぶし」は1979年にヤマハが開発したリゾートホテルを、5年前に三井不動産が買い取って現在に至っています。

img「はいむるぶし」は客室が200くらいあって、こちらも部屋へは電気カートで移動

ホテルの隣にはゴルフ場があります。
リゾートホテルにゴルフ場併設って環境破壊もそうですし、80年代の企画ならではという気がします。
レストランのあるホテルのフロントと各部屋は離れていて、毎回電気カートに乗って移動します。
以前はホテルの裏がプライベートビーチだったんですが、それは閉鎖になっていました。
ビーチは少し離れたところにあって、バスでビーチハウスまで移動します。
施設内にプールは3つ。

imgゴルフ場に沿って客室が建てられています。

imgアマンを参考に作られているのがよくわかりますね。

感じたのは、思い切りアマンリゾートを意識しているということ。
インフィニティプールも、内装も、独立型の離れた客室も。
でも違っているのは、ここでは時間の豊かさはあまり感じられないということです。
それは朝食の時間、レストランが混雑してお皿が足らなくなっちゃったり、接客が若い女子ばかりでサービスがイマイチだったり、どこへ行っても宿泊客に会いまくってしまったりすることにも関係があると思います。
敷地は広いのにレストランが狭いのが一番の問題でしょう。
星野リゾートに買収されて何が変わったのか、ホテルの人に聞いたら、オペレーションだと言っていました。
当り前のことでしょうけれど、時間を売っているのではなくて数字を追い求めている気がしました。

そんなホテルのレストランで晩ご飯を食べていると、隣のテーブルにどうみても観光目的じゃないグループが。
そこに1名派手なオレンジのジャケットを着ている女子がいて、彼女どう見ても芸能人。
髪の毛を黒く染めているので一瞬わかりませんでしたが、よく見たらタレントの奈々緒さんじゃあーりませんか。
周りの人は誰も気が付いていない 笑
しかしロンドンで見た北川景子といい、芸能人は都心以外でも目立つ格好をするのですね。
スタッフと一緒に撮影に来ているようでした。
翌日の朝食でも会いましたけど、グラビア撮影といえばグアム、というのはもう古いのでしょうか。

img

ホテルと言えば、島の反対側には倒産したコーラルアイランドリゾートというのがあります。
一部分譲されて、現在も人が住んでいるようですが、広大な建物の大部分は朽ち果てています。
廃墟マニアにはたまらないでしょう。
しかし熱海といい、時代が置いていった夢の跡のようで、非日常のリゾート気分とのコントラストがあまりに激しく、悲しい気持ちになります。
4年くらい前に再生計画があったようですが、それも頓挫してしまったようです。
誰もいない綺麗なビーチに波だけが打ち寄せていました。

70年代は熱海や伊豆が関東圏に住む人の主な旅行先でした。
80年代の好景気で渡航先がハワイやグアムに広がり、90年代にはバリやプーケットに。
しかし今はどうなんでしょう?
減り続けていく日本の人口。
海外旅行に行く20代も減り続けているというデータがあります。
そんな中で沖縄は今後もっと注目されていくのでしょうか。
魅力を創出して人を誘致していくのは大変なことです。

2012年6月、竹富島に星野リゾートが開業した「星のや」はどうなんでしょうね。
それまであった島のルールを変更して水牛に乗れる時間を早くしたり、竹富島にそれまでなかったプールを作ったり。
大人だけしか宿泊できないと思っていたら、サイトを見たら子供も宿泊できるみたいです。
次回機会があれば行ってみたいものですね。

img石垣空港はザ昭和です。

帰りは直行便がないので、石垣島を必ず経由します。
石垣島は現在新空港を建設中。
現在の空港は昭和な感じムンムンです。
でもこれはこれでよいのです。
新空港ができて大勢の観光客が押し寄せても、島独特の文化は消えていって欲しくないなあと思いました。

八重山1

松本 知彦 for Private Time/2012.08.28/旅

沖縄本島よりさらに南に行くと、石垣島、竹富島、小浜島、黒島、西表島などの離島が点在しており、これを八重山諸島と言います。(つながった八つの島のようにい見えるという語源)

今年の夏休みはこのうちの1つ、小浜島へ行きました。
小浜島を訪れるのはこれで2回目。
八重山諸島に来るのは4回目です。

img島の真ん中を走るシュガーロード。島には牛やヤギがたくさんいます。

小浜島はとっても小さな島ですが、以前NHKの朝の連続テレビ小説の舞台になったので、知ってる人は知ってるでしょう。
島には2つのホテルと小さな集落以外には、ほとんど何もありません。
空港はなく、石垣島からフェリーで30分、主要産業はさとうきびの精製と畜産業。
島の真ん中には、さとうきびを運ぶ道、通称シュガーロードがあります。

img幻の島は珊瑚礁でできた小さな美しい島

img本当に水が透き通っているのがわかると思います。

imgシュノーケリングではニモが見られるんです。

小浜島から八重山の他の島まで、船を利用すれば30分くらいで移動が可能です。
1日1本しか便がなかったりしますが。
その中でも珊瑚礁でできた浜島(幻の島)は素晴らしい場所。
ここへ来るのは2回目ですが、こんな場所が日本にもあるんです。
同じく離島の久米島から船で渡る「はての浜」にも似ています。(こっちもオススメ)
幻の島に比べると、はての浜の方がちょっと大きいですが、はての浜は沖縄出身のスピード(古い!)のPV撮影にも使われていました。
幻の島には、先日押切もえが来たとガイドの人が言ってましたけど(だから何?というツッコミはしませんでしたよ。)
海外のリゾート地に負けず、少なくともバリ島やハワイより水は澄んでいて、とっても美しい。
以前訪れたイビサよりも海は美しいです。
この周辺ではシュノーケリングも可能で、ニモでおなじみカクレクマノミが見られます。

img西表島には、ここでしか見られないマングローブが密集しています。

西表島はイリヤマテヤマネコが生息する秘境として知られる、八重山諸島で一番大きい島。
日本のマングローブは全部で7種類あるそうですが、それが全部見られるのは西表島だけだそうです。
このマングローブをカヤックで上流へ登るツアーもあります。
以前来た時も曇ってましたが、西表は今回もやはり曇ってました。
これは山が高いので、雲がこの島の上空で停滞するかららしいですが、その理由で雨がたくさん降ります。
離島の中では雨量が一番多く、石垣島、小浜島など他の離島で供給されている飲料水は、すべて西表から海底トンネルで送られているものっていうのがスゴイです。
逆に島に発電所はなく、電気は石垣島から海底ケーブルで送電されているらしいです。
1970年代まで西表島には電気はありませんでした。

img竹富島にあるコンドイビーチは美しい。人はほとんどいません。

img時間が止まっているかのようなのんびりとした島の風情

そして竹富島も小浜島から船で30分くらいで行ける小さな島。
星の砂(by 小柳ルミ子→古いね)、水牛車などが有名ですね。
今年6月に星野リゾートがここに「星のや」をオープンさせたことでも話題になりました。
昔と変わらない自然、町並みがそのまま残っていて、島全体が西表石垣国立公園に指定されています。
これだけ島の自然や文化がそのまま残っているのは八重山でここだけでしょう。
以前来た時も感じましたが、のどかでゆっくりと流れる時間を感じるのは、本当に癖になりそうです。
美しいコンドイビーチが有名ですが、ハイシーズンだと言うのに、ここにも人がほとんどいません。
どこまでも遠浅、白い砂浜、透き通る水。
かなり小さい島なのでレンタルサイクルで2時間あれば島を1周できます。

皆さんも機会があったら沖縄の離島八重山諸島に是非1度行ってみてください。
本当に美しい島々。
きっと虜になると思います。
直行便で訪れることができないために、人もそんなに多くないのがいいです。
1度訪れると、海外のリゾートに行く必要はないと、きっと感じると思います。

Bottega veneta 一夜限りのメンズコレクション

松本 知彦 for Private Time/2012.08.27/ファッションファッション

夏休み&繁忙期で2週間も間が空いてしまいました。
最近なかなか時間が取れなくて、全然記事が書けないのですが、何とかがんばって書いて行きたいと思います(と言ってもこれを楽しみに待ってる方もいないと思いますが・・・)

imgボッテガ・ヴェネタ銀座店のエントランスです。

先週、友人の妹さんに招待されて銀座のボッテガ・ヴェネタの一晩限りのメンズコレクションというイベントに行ってきました。
通常はこのお店、レディスらしいのですが、この日だけは店丸ごとメンズに模様替えするというイベントでした。
普段お店に来たことがないのでわかりませんが、店内のマネキンから洋服、バッグまですべてメンズ仕様になっていて、お店の人に聞いたところ世界中から集めて運んできたとのこと。
マネキンもシャツもミラノから飛行機で、みたいな感じでした。
だから気に入った洋服があってもサイズ展開がなく、海外から取り寄せとのこと。
一晩だけのためにマネキンまで海外から取り寄せるなんて、大変ですね。

imgこのマネキンも海外から運んでます。

しかし集まっている人はコアです・・・・
どう見ても尋常じゃない方々。
こういうビッグメゾンブランドのパーティ的なものに来る機会はなかなかないですが、いやあ、尋常じゃあないですね。
招待されているボッテガ大好きな顧客の人も濃いのですが、他にも身体がデカい全日本ラグビー代表選手の方々、その隣にぴったりと寄り添うボディラインを強調した服をまとうアナウンサーの女史の方々(なぜか全員エルメスのバッグ、これはルールか?)、カウンターには10頭身くらいあるアンドロイドのようなモデルの美しいハーフの女子、東京の夜は7時をとっくに回っていましたけど野宮真貴様、仮面ライダーの男優さん、一方で高価なドレスをまとっていても、あんまりグルーヴ感のないコンサバな女性編集者の方々・・・
そしてそして、なんと千代の富士!
この人に逢えるなんて意外、ここに来る甲斐があったというものです。
しかしウルフとボッテガ、結びつかないなあ。

ボッテガの服は1つも持ってないのですが、あんまりテーラードな印象はないですね。
どっちかっていうと革の財布や高価なバッグのイメージが強く。
しかし、お店の男性店員の恰好はパンクみたい。
革小物は上質だけど、服はエキセントリックなデザインなのでしょうか?

img階段を上って3階へ。

img3階にはたくさんの人。

img普段から3Fは、こういうラウンジ営業したらいいのになあと思いました。

さて、かなり興味を惹かれるゲストの来客の方々は置いておいて、僕が気になったのはイベントの主旨と効果です。
軽食なんかも、もちろんありますが、振る舞われるお酒は全部ドンペリ。
それ以外にカクテルも色々作ってくれます。
3Fは、そもそもジュエリー売場だそうですが、イベント当日はバーラウンジになっていました。
最初からこういうイベントを想定した設計になっているのでしょうか?
とっても心地よい場所で、通常でもこういう営業してもらいたいです。

今回のイベントにかけたお金を一晩で回収できるわけはないでしょう。
プレスや編集者の方々を対象に、ボッテガのメンズをもっと知ってもらおうというイベントだと思いますけど、これだけ投資してどんだけ効果があるのかなあ。
そしてその投資が適切かどうか、効果測定の方法も僕にはわかりませんが、とにかくゴージャス。
紙媒体の投資効果が薄れている今、雑誌に広告を打つより、作り手の人たちを呼んでこうしたイベントを開くことに投資した方が効果があるのかなあなどと、余計なことを考えてしまいました。

でもゲストを含め、やっぱりビッグメゾンの底力を感じないわけにはいきません。
蒸し暑い銀座の夜を忘れる非日常な夜でした。

社章

松本 知彦 for Private Time/2012.08.09/仕事仕事

以前勤務していた企業では、社章をジャケットの胸につけることが義務付けられていました。
入社と同時に保険証と一緒に配られ、退職時には返却するルールでしたが、退職の時に、もし何かしらの理由で社章をなくしていたら、罰金を取られました。
それだけ社章は会社にとって、社員にとって重要な意味があったのです。

img

しかしまだ若かった自分は、裏に込められた意図など理解できず、ただただバッチをつけるという行為に抵抗感がありました。
それは高度成長期に団塊の世代の人たちが決めたルールだろ、くらいに思っていました。
事実社章をつけていたのは部長や課長など、役職のついた自分より上の人たちでした。
会社を誇りに思い、恥じない行動を取れというのが、たぶん会社の奨励事項だったのだと思います。
しかし当時の僕にとって、社章はユニフォームと同じで、形骸化した集団ルールにしか見えませんでした。

あれから月日が流れました。
世の中でワークスタイルは変化し、それに合わせて必ずしもネクタイやスーツを着て会社に行かなくてもよい企業が多くなっています。
出勤時間すら自由な企業も増えてきました。
ゆるやかにつながるオンとオフ、会社は昔よりある意味自由な集団組織になりました。

そうなると、当然会社への帰属意識は薄れます。
だから逆に組織と個人をつなぐものが重要になっているように感じます。
会社と個人をつなぐもの、それは企業のフィロソフィ、その会社固有のアイデンティティ以外にないのではないでしょうか。
顔の見えない大勢の社員全員に、同じように社章をつけることを義務付けるのではなく、顔の見える小さな会社だからこそ、アイデンティティの共有はもっと深くできるはずです。
何かを全員で作り上げるために、顔を見て常に価値観を共有する。
大企業にはできないことを、僕たちは目指さなければなりません。
そもそもここで一緒に働くことになった仲間たちは、大企業への所属願望などではなく、小さい会社の持つアイデンティティに響きあって集まったはずですから。

今、もう1度改めて社章を捉え直してみたいと思いました。
以前は何かに反抗する、何かにアンチテーゼを唱えることが自分のアイデンティティでした。
でも今は違う。
反抗する対象の社会も、システムも、大企業ですら決して盤石ではなく、そこにアンチテーゼを唱えても何の意味もありません。

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メンバーとして組織に参加している意識を持つ、組織に対して自分ができることを真剣に考える、集まったみんなが自分にとって誇れる組織にしていくことに積極的に関与する。
そんな思いを込めて社章を作りました。
これが自分たちの拠り所、アイデンティティになればと思っています。
社章を通して、共有や共通の意識を持ってつながっていたい。
こんな時代だからこそ、社章は見直されてもいいのではないのかと思います。

キポンスリッポン

松本 知彦 for Private Time/2012.08.08/ファッションファッション

以前このブログでも書きましたが、夏場はほとんど短い靴下を履いて過ごします。
外見からはジュンイチ石田な感じで、靴下を履いていないのではないかと言われますが、靴下は必ず履いています。
5年くらい前までは、誰もやってなかったのですが、今では石田なスタイルを街でも多く見かけるようになりました。
僕は15年くらいこのスタイルです。

img最近お気に入りの4足

そんなファッションということもあって、夏場はどうしてもスリッポンが多くなります。
服装がライトになりがちな夏は、抜け感のあるこういう靴が気分です。楽ですし。
紐靴とかほとんど履きません。
しかし楽だからと言って、スニーカーも履きません。
今季から流行のエスパドリーユも履かないですね。
会社へ自転車で来る時も、得意先へ打ち合わせに行く時も、毎日革底のスリッポンで行動しています。
そんなスリッポンの中でも、ここ最近の僕のお気に入りはルームシューズなのです。

室内で靴を脱ぐ日本人には、なかなか馴染みはありませんが、ルームシューズは、読んで字の如く室内で履く専用の靴のことです。
その中でも指しているのは、スリッパとは違って踵のある紳士用の革靴のこと。
もともとは紳士の国、英国が発祥だと思います。
今はこれが大好きなのですね。

imgブルックスブラザーズのルームシューズ。BBはBrooks Brothersの頭文字。

imgアメリカのブランドだけど英国製。Made in Englandがよいです。

imgMの刺繍はマツモトのM。

imgいえ実はマサキマツシマのルームシューズ。フロムパリ。

スーツを着てきっちりネクタイを締めていても、靴はこれに限ります。
いえ、きっちりしている時こそこの靴です。
逆にカジュアルな時には履きません。
本来の用途は、パジャマにガウン(やっぱシルクのペイズリー柄でしょう)を羽織って、ルームシューズでブランデーグラスみたいな(笑)、裕次郎石原的な?ちょっとヨーロッパの貴族的なかほりがするのも好きです。
そしてプレッピーなアイテムにもマッチするところも好きですね。
ボタンダウンにもデニムにもよく合います。
使えますよー。

img濃紺のヴェルベットにタッセル。貴族的~。C島さんまたよろしくお願いします。

ルームシューズは、クロケット&ジョーンズをはじめ英国ブランドから色々出ていますが、結構値段も安くて履き心地も悪くない。
流行に関係なく、今後もずっと長く履きたい靴です。
キポンスリッポン。

CRUCIANI ネイビーポロ

松本 知彦 for Private Time/2012.08.07/ファッションファッション

僕はTシャツがあんまり好きではないのです。
だから夏はポロシャツをいつも着ています。
なぜだかわからないのですが、襟がないとどうも落ち着かないんです。
Tシャツにジャケットとか、岩城滉一風に素肌にVネックのセーターとか、どうしてもできないんです。

img

そんな夏のポロシャツの中でお気に入りはクルチアーニです。
おフランスからやってきたラコステが大好きなのですが、ラコステにはないサイズ感、生地感はやっぱりイタリアのモードを通過しているからでしょう。
肉厚のごっつい生地でできています。
ごっついので暑いのじゃないかと思いきや、意外に涼しいんですね。

英国のジョンスメドレーも大好きなのですが、洗濯機でじゃんじゃん洗えないという弱点があります。
柔らかくて素肌にフィットする感じは最高なのですが、洗いざらしのゴワゴワ感も捨てがたい。
相当に暑い日、スメドレーは逆に、汗でぴったり肌に貼りつくので、イマイチです。
シーアイランドコットンは汗を全然吸いませんから。
きっとイギリスの気候にはあっているのでしょう。

img


暑い日は、洗ったばかりの綿のゴワゴワの方がいいですね。
カジュアルなのに、決して日曜のパパにならないサイズ感、パンツにポロシャツだけでも十分お洒落に品良く見える、そしてモンクレールのようにブランドマークがこれ見よがしに入っていない。
どこにでもある、どこのブランドかもわからない普通のネイビーのポロシャツなのだけれど、どこにでもない感じが好きです。

クルチアーニは1966年創業、ニットで有名なブランドですが、どっこいコットンもイケるのですね。
色が褪せるまで着込みたいと思います。

タキシード2

松本 知彦 for Private Time/2012.08.03/ファッションファッション

さて昨日の続きです。
スタッフの結婚式にスピーチを依頼されて、十数年ぶりにタキシードを作ることにしました。
どんなものにしようか考えましたけど、やっぱり作るなら手本は007です。
その中でも1960年代のショーン・コネリーが僕のお手本。

前回の記事でボンドのタキシードスタイルを紹介しましたが、その中でも一番クラシックなのがショーン・コネリー扮する初代ボンドのタキシードスタイルなのです。
1963年の007の2作目「ロシアより愛を込めて」でそのスタイルを見る事ができます。
今年はボンド映画の誕生からちょうど50年。
半世紀前のスタイルなのに今でもカッコよく見えるのは、普遍的なスタイルだからでしょう。

imgショールカラーにフレンチカフのシャツ、カフリンクス。見えないけどチーフはTVホールド

タキシードを着用する時には、古くからの決まり、ルールがあります。
ジャケットと同生地で側章の入ったトラウザーズ(外側にシルクのラインが入ったパンツ)、腰に巻くカマーバンド、白いドレスシャツ(ピンタック付き)、カフリンクス、蝶ネクタイ、白いポケットチーフ、黒のエナメルシューズ、そして忘れちゃ行けないブレイシズ(サスペンダーのこと)。
最近はこのルールもどんどん崩れているでしょうけれど、僕はこれに忠実に従うことにしました。(シューズ以外)

そしてジェイムズ・ボンドにこだわるなら、やっぱりイギリスのブランドを選びたい。
選んだのは、ロンドンのサヴィルロウにあるハンツマンです。
以前ロンドンのレポートでも紹介したこのビスポークテーラー、英国王室御用達のロイヤルワラントを持つ老舗で、1790年の創業。
ギーブス&ホークスと並び、200年以上の歴史を持つ英国クラシックテーラーですが、アレキサンダー・マックイーンのスーツも作っていたりします。
ノッチドラペルに1つボタンがこのテーラーのハウスモデルですが、ハウスモデルからしてタキシードのようですね。。
直営店ではないので、型紙のみ本国で縫製は日本の工場で。

imgサヴィルロウに店を構えるハンツマン

現在のタキシードの定番であるピークトラペルはあえて選ばず、クラシックなショールカラー、色はミッドナイトブルーでオーダーすることにしました。
タキシードと言えば、ほとんどはブラックですが、色はミッドナイトブルーにしようと最初から決めてました。
黒に見えるけれど、よく見ると濃紺、そしてミッドナイトブルーという英国らしい呼び名がワクワクしますよねえ。

スーツのオーダーはサイジングと生地が重要ですが、今回こだわったのは生地です。
選んだのは、もちろんブリティッシュのミル(織物工場のこと)。
1875年創業の英国老舗服地ウィリアム・ハルステッド(William Halstead)のウール40%、モヘア60%のミッドナイトブルー。
詳しくない人には何を言っているのか、さっぱりわからないと思いますが(汗)、こだわりのマニアックな服地なのです。
まあ、ほとんどの人が選ばない生地なんです・・・(それ、いいのか?)

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色々と説明が必要なのですが、、、まずモヘアというのはヤギの毛のことで、これが混ざっている服は光沢があってしわになりにくく、弾力性に優れています。
同時に通気性があり、熱伝導率が低いため、主に夏に用いられる素材で、60年代には高級服地として世界中で流行しました。
ジャマイカが舞台となっている1962年の007第1作「ドクターノオ」の映画の中でも、ショーン・コネリーがこの服地のスーツを着て登場し、ウォッカマティーニを飲むシーンがあります。
スクリーンで見ても、その光沢感はモヘア混スーツだというのが、すぐにわかります。
1957年に登場して一世を風靡したドーメル(1842年創業のフランスの生地メーカー)のトニックという服地がモヘアの入ったスーツの生地としては、とっても有名なのですが、またこれもマニアックな世界なのでまた別の機会に・・・(再び汗)
このモヘア混スーツ、言ってみれば固くてゴワゴワ、チクチクな素材です。
着やすいか、というと決してそんなことはありません。

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ミッドナイトブルーなので、ショールカラーも濃紺。
フロントの1つボタンは、正装をさらに強調するために、拝みボタンにしてみました。
さらに袖のボタンも、よりクラシックに仕上げるために5つに。
ま、トム・フォードも5つですけどね。

そしてブレイシズ(これもマニアックな言い方ですが、サスペンダーというのは米語で、英国ではブレイシズと呼びます)は、もちろんアルバートサーストンです。
こちらも1820年創業の英国ブレイシズ専門メーカー。
どれもこれも200年の歴史を持つ英国メーカーを組み合わせてみました。
あんまり行き過ぎると嫌味なクラシックのサンオツになっちゃいますが、タキシードくらいはいいんじゃないかなあと。

さ~て全部揃ったので、いざスタッフの結婚式のスピーチへ。
スピーチは最初と最後に決まり文句があって、これがなかなかむずかしい・・・
前日原稿を書いて、暗記していったのですが、どうしてもこの最初と最後、特に最初のセリフが覚えられない。
忘れてはならないと、手のひらにボールペンで書いて当日挑んだのですが(カッコ悪・・・)、スピーチの際は、暗い場所でスポットライトを浴びたので、手のひらの字なんてまったく読めない!笑
それに片手にマイクを持っているので、手のひらなんて見れるわけもありませんでした。
そんなわけで、出だしがしどろもどろになってしまいましたが、どうにかスピーチを終えることができました。
いやあ緊張しますねえ。
こういうのは、クライアントへのプレゼンテーションと同じで、もっともっと場数を踏まないとダメです。

タキシードのウンチクを長時間に渡って語りたかったわけでもないのですが、1つ1つに説明が必要なので文章が長くなってしまいました。

imgいつも門出というのはよいものです。

imgひゃー緊張しております。仕上がりはジェイムズ・ボンドではなく、大木凡人になってしまったようです。笑

今回はマニアックな内容の連続で、どうもすみません 汗
しかし、、は~疲れた。

タキシード1

松本 知彦 for Private Time/2012.08.02/ファッションファッション

ロンドンオリンピックがはじまって、皆さん寝不足じゃないですか?
昨日の体操、水泳もハラハラでしたね。

そしてオリンピックの開会式見ましたか?
スポーツの祭典としてはともかく、ジェイムズ・ボンドが女王陛下を連れてヘリコプターからパラシュートで降りてくる演出、驚きましたね。
これ、ギャグ?
日本だったら天皇陛下がヘリコプターから降下してくるってことになるのでしょうけれど、絶対に許されない演出でしょう。
こういう粋なことに女王がOKするっていうのは懐が深くていいと思います。
特にエリザベス女王がダニエル・クレイグ扮するボンドに向かって、「Good evening. Mr.bond.」とセリフを言うシーンにはしびれましたねえ。

img007が宮殿から女王陛下をヘリコプターまでエスコートするシーン

女王陛下をエスコートする際に、ダニエル・クレイグが着用していたのは黒のタキシード。
007と言えばやっぱりタキシードです。

話は変わりますが、先日スタッフの結婚式があって、僕もタキシードを着る機会がありました。
自分の結婚式の時に作ったタキシードがあるので久しぶりに着てみたら、体型の変化でもう入らなくなっており・・・・汗。
以前より10キロも太っているんです、、、嫌だなあ、もー。

そこで新規にオーダーすることにしました。
タキシードってなかなか着る機会はないと思います。
だからコストパフォーマンスがどうしても悪くなってしまう。
僕も最初特別な時だけではなく、普段デニムと合わせても着れるよう、ベントを入れたり、着丈を短くしようと思っていました。
しかしオーダーしていく途上で、どんどん遊びはなくなって、結局ノーベントで着丈は長め、礼服の基本ルールに沿ったクラシックな形に。

色はミッドナイトブルー、カタチはショールカラーにする、というのはオーダーする前から決めていたことです。
ショールカラーとは、へちまのような形をした襟で、そこに拝絹と呼ばれるシルクがあしらわれている1つボタンのジャケット。
今タキシードと言えば、ブラックで大きめのピークトラベル(尖った襟先のジャケット)というのが定番ですが、それじゃつまらない。
そして、、、、、、やっぱりボンドなのです。
ボンドの中でも、ショーン・コネリー扮するボンドにこだわりたいです。

img007ではお約束のカジノのシーン。

1963年に上映された映画「ロシアより愛を込めて」の中でボンドが着用しているのが、ショールカラーのクラシックなタキシードです。
そのあとの歴代のボンドたちが着ているのは、みんなピークトラペル。

imgカジノロワイヤルのカジノのシーン。ダニエル・クレイグはピークトラペルのタキシード

img1人前のボンド役。写真はわかりにくいけどピアーズ・ブロスナンもピークトラペルにピンタックのシャツ

ピアース・ブロスナンはブリオーニ、ダニエル・クレイグはトム・フォードのタキシードを着ています。
(「カジノロワイヤル」までは、ダニエル・クレイグもブリオーニのタキシードを着用。「慰めの報酬」からトム・フォードに)
ブリオーニは、ブロスナンがボンドを演じた最初の作品「007ゴールデンアイ」で使用したタキシードを、お店でも販売していましたが、73万もしてました。高っ!
しかし、イタリアのブランドをまとうボンドなんて、なんだかボンドじゃないような気がします。
ほとんどの人がイタリアもののタキシードを着たダニエル・クレイグを支持するのでしょうけれど、僕はやっぱりショーン・コネリーです。
そしてやっぱりイギリスで生まれた諜報部員は英国製のものを身につけて欲しいと思っているのです。

imgショーンコネリーに続くボンド役。おとぼけが似合うロジャー・ムーア。ピークトラペルにピンタックのシャツ

imgムーアに続いて4代目のボンド、ティモシー・ダルトンもタキシードスタイルはムーアと同じ。

しかしまあ、こうしてちょっと見ただけでも本当にカッコよいボンドのタキシードスタイル。
日本では残念ながら、カジノもないし、正装で参加する社交のカルチャーもない。
タキシードを着用するのは結婚式くらいしかありません。
なんだか残念ですね。(作ったから?笑)

ルールに沿ってきちんとした正装で出向く場も、多様化でどんどん少なくなっていることでしょう。
結婚式ですら、通常のスーツで参加している人がほとんどで、タキシードなど見かけませんから。
僕が今回どのようなタキシードを作ったか、、記事が長くなってしまったので、それは次回お伝えすることにしますね。

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