フォントのトレンド

松本 知彦 for Private Time/2015.03.30/仕事仕事

今日は最近のフォントのトレンドについて考察したいと思います。
雑誌や広告、テレビ、Webサイトなど、毎日目にする媒体にはたくさんの書体が使われています。
フォントはオーソドックスなものが多いので、それほどトレンドってないと思われるかもしれませんが、よく見るとフォントにもファッションと同じように流行があります。

ここ最近、よく使われているフォントには大きく2つの流れがあるように思います。
1つはクラシックテイストのフォント。
クラシックと言っても、いつごろのフォントをクラシックと呼ぶのか定義はむずかしいですが、ここではヘルベチカやフーツラが生まれる前の時代、
モダンではない古い書体、実際には古くはないけれど、古く見える書体のことを言っています。
ちなみにフーツラは1923年、ヘルベチカは1957年誕生した書体です。

インターネットをはじめ、飛躍的に広まったデジタル技術の発達の反動で、活版技術や版画などの古いアナログ技術が見直されていますが、同じように書体も手で活字を組んでいた時代のノスタルジックなものが多く使われるようになっていると思います。
代表的なのが、手描きのような味わいのあるデジタルフォントですね。
新品なのにヴィンテージのダメージを与えて売るデニムのようです。
ブルックリンやポートランドのライフスタイルをはじめ、
コーヒー、キンフォーク、オーガニック、クラフト、スニーカー、トラッド、サーフィン、ワークスタイル、ラギッド、インダストリアル、そうした流行のキーワードと無関係ではないでしょう。
そう、フォントもファッションや世の中のトレンドと常にシンクロしているのです。
代表的なものをいくつか紹介します。


まずはBrandon-Printed-font。
手描きとそうでないものと2種類ありますが、めっちゃ流行ってますね。
使いやすいことと、時代の気分ズバなので、あちこちで見られます。
さっき例に挙げたコーヒー、サーフィンカルチャー系のショップ、ヴィンテージ風の看板などにぴったりな書体です。

imgBrandon-Printed-font。今もっとも熱い売れ筋書体 使える!!

Brandon-Printed-fontがニューヨークなら、charcuterieとadornはクラシックなヨーロッパを感じさせる書体です。
こちらも古い書籍や広告に使われてそう。
古い雑誌に掲載された企業の広告のような、古い製品のパッケージデザインのような文字組みも今の時代の気分ですね。
チョークアートにも使えそう。

imgCharcuterie。古い広告のようなフォント

imgAdorn。今の時代の気分でしょう。

もう1つの流れはスクリプト書体です。
前者が男臭いクラシックデニムだとしたら、こちらはモードの要素を持ったフェミニンなACNEのような世界観。
なぜこうしたスクリプト書体が流行するのか、感覚的にはわかっていても、考察して理由を述べるのはむずかしいですね。
思うに、ミニマリズムからの反動のように思います。
5年くらい前まで、モダンでミニマルな感性がメインストリームでした。
ストイックであることが美しいとされていた。
しかし今はストイックな世界観は前者のクラシックに取って替わられ、そこには現代的なモードの感覚はなく、女子を許容しない世界になりました。
言って見れば、気分はリーバイスやバブアみたいな世界観になった感じですね。
トレンドではありますが、そこにあんまりモードな要素はありません。
リーバイス大好きな女子ってそんなにいないでしょう?
なので、クラシックに吸収されずに、はみ出した要素、モードやデコラティブ、フェミニンな要素がスクリプト書体になって現れたと思います。
勝手な解釈ですが。
こちらもいくつか代表的なものを紹介しますね。

Lineはスエーデンのファッションカルチャー誌Rodeo用に作られた書体。
フェミニンな手書きっぽさがあります。
細いので大きな見出しとして使わないといけませんが、フォルムが可愛いです。

imgLine。モードな雰囲気を持ちつつもカワイイ書体。

Eroticaはスクリプト書体でありつつ、モードな書体。
最近のデジタルフォントによく見られますが、飾りのバリエーションがたくさん入ったスクリプト書体です。
モードでカッコいいですね。

imgErotica。こちらもスクリプトでありつつ現代的。

Stringは穴を塗りつぶす書体。
Lineと同じく、こうした少しフェミニンなスクリプト書体が今大流行しています。

imgString。こちらもフェミニンで使いたくなるフォント。

flirt scriptは、2014年のタイポディレクターズクラブ賞を受賞したフォント。
同じくスクリプト書体

imgFlirtscript。ひと筆書きがいいね。

こうしてフォントを見ているだけでも、今の時代を読むことができます。
フォントって何時間見ていても飽きません。
もっともっと知りたくなる。
本当はかなり奥が深い世界なのですが、時間を見つけつつ調べたいものですね。

クリエイティブ談義

松本 知彦 for Private Time/2015.03.26/クリエータークリエーター

3階にギャラリースペースを作った理由はいくつかありました。
もちろん会社のブランディングのためっていう考えもあります。
でもそれだけではありませんでした。

img昨年開催した「高橋真琴 ジャパニーズカワイイの原点」

imgオリジナルの塗り絵も販売。たくさんの人に来ていただき大盛況でした。

クリエイティブを続けていくことは、ある意味大変なことです。
常に色々な事象を吸収していく努力を怠ってはならない仕事だからです。
センスがある、センスがない、ということをよく人は言いますが、このセンスとは人によって色々な解釈があると思います。

クリエイティブという仕事は、物事の問題点を発見して、そこから最適な回答を導き出して提示する仕事です。
問題の核心を発見できなければ、解決もできない。
デザイナーの多くは、フィニッシュの表現のみに目が行って、問題の発見にはあまり感心がない人が多い。
でも実は、問題を発見する力、そして解決していく力、その両方が備わっている必要があります。
発見と解決、まず感じるのはセンスが良い悪いの前に、これができる力を備えていることが大前提なのではないかと個人的には思います。

img11年目のマコ展も、期間中には1000人を超す人が訪れてびっくり。

img横山まさみちさんのやる気満々の原画展は貴重でよかった!

センスって何?
それはチューニングのようなものです。
まず最初に問題の発見がある。
その問題を解決する際、その解決方針が最適かどうかにセンスが問われる。
センスは数値化できないアプローチ、プロセスに滲み出るものだと思います。
問題を解決する力はヒアリングから始まっている。
相手の情報を読み取る力や感じ取る力、周辺情報を集める力、過去の経験から導き出す力、それらをうまく組み合わせて改善して行く方法を考える。
その結論として導き出されたアウトプットに対して、1人でも多くの人が最適だと感じられること、それがセンスと呼ばれるものの正体ではないかと思います。
要は世の中を見て、最適な回答をチューニングして出せる能力のことです。
それを磨いていくためには、色々なものを見て経験するしかない。
自分にないもの、それを身近に見て、感じること。
そして組み合わせてみること。
自分から能動的に探していかなければならない。
教えてくれる人はいないのです。

imgタカヨン展では、夏らしく海の中を描こうのワークショップがありました。

話を戻しますが、
うちの企画でアーティストの方が展示を行う際には、必ずクリエイティブ談義を開いてもらっています。
スタッフ全員を呼んで、アーティスト本人から話を聞く時間を設けています。
それはスタッフのクリエイティブマインドが、同じプロのクリエーターの話を直に聞くことで刺激されると思っているからです。
クリエイティブの感性はクリエーター同志の響き合いによってスパークすることがあります。
そこには気づきや発見があったり、新しい考え方に耳を傾けることで次の扉が開くことがあります。
クリエーターにとっては、会社の上司の言葉より、同じクリエーターの言葉が刺激になる場合があるのです。
その刺激を会社としてみんなに提供したい。

img展示中に、子供向けワークショップを開催してくれた半谷学さん

img鈴野まいさんのクリエイティブ談義は和んだ雰囲気。

だから、できるだけうちのスタッフにはこのクリエイティブ談義に出席して、アーティストに直接質問して感じてもらいたいと思っています。
アーティストの側でも、こうした経験が自分のプレゼンテーションスキルを向上させるよい機会になれば、と勝手に思っています。
SPACE8での展示は、外へ向けた情報発信ですが、実は内側へ向けた貴重な接点の提供ということも含んでいるのです。

新しいことに触れることは、自分のクリエイティビティを成長させることにつながり、知識を集積することは必ずセンスを磨くことにつながると思います。
センスという得体のしれないものは、実は情報の蓄積や収集により、形成されているのです。

img先月、自身の現代美術作品の前でコンセプトを語る宇治野さん。

アイデアを引き出す技術

松本 知彦 for Private Time/2015.03.24/仕事仕事

昨年、父の友人でありゴルゴ13で知られる作家、さいとう・たかをさんと話す機会があり、その際に興味深い話が聞けました。
さいとうさんは日本で初めてマンガの世界にプロダクション制度を持ち込んで、分業で作品を仕上げるシステムを確立した人です。
そのシステムによってゴルゴ13を1968年の連載開始から、1度も休むことなく続けているのです。
スゴいですね。

プロダクション制というのは、わかりやすく言うと映画の制作のように専門スタッフが集まって大勢で制作する体制のこと。
マンガであれば絵を描く人、ストーリーを考える人がそれぞれいるわけですが、興味深かったのはさいとうさんがシナリオを描くポジションについて話していた時のこと。
「今まで誰も読んだことのないようなシナリオをゼロから作ることは不可能だし、そんなことはそもそも最初から求めていない。小説でも映画でもいい、過去のたくさんの作品にその基本やヒントがある」という発言でした。
求めているのは作家性ではなく、完成度だと言っているように思える発言でした。
僕もクリエイティブに従事している身として、この発言は非常に興味深かった。
そしてさいとうさんは作家というより、制作のプロフェッショナルだというのを、ものすごく感じた瞬間でした。

そしてもう1人、先月SPACE8で開かれた宇治野宗輝氏の現代美術展のイベントで、ギターを弾いていたブラボー小松さんと話していた時のこと。
「最近の若い子の音楽の聞き方って今流行っているものだけを聞いたら満足しちゃうんだよね。昔みたいに今のアーティストを聞いて、彼らが影響を受けたルーツミュージックを遡って発見するような聞き方は知らないんだよ。」
音楽の聞き方が以前と変わってしまったというのが、残念というか意外な気がしました。

これらの話を聞いて思ったことがあります。
モノを作る仕事は、アイデアを生み出す作業と切ってもきれない関係にあります。
じゃアイデアというのはどうやって生み出したらいいのか?
そんなことを今日は書いてみたいと思います。
商業デザインにおいて、僕自身もアイデアはやっぱりゼロからは生み出せないと思っています。
それは自分の人生の中で経験してきたたくさんの事柄、情報、体験、発見、蓄積されてきたそれら何百のかけらを、頭の中で組み合わせてみることによって、生み出せる可能性が増えると思っています。
それが意外な組み合わせであればあるほどおもしろい。

ここに一例をあげてみます。
これらの例がいい、悪いではなく、こうした考え方、発想のプロセスが有効だと言うことに気が付いてもらえればと思っています。
有名なスマップの広告で、日本でもっとも権威ある亀倉雄策賞を受賞した佐藤可士和。
その作品手法には過去のアーカイブからの引用が見てとれます。
リヒャルト・パウル・ローゼと芸能人のCDを結びつけるという発想は誰も気が付かなかったことでしょう。
そしてフーツラの強いタイポグラフィーは、エディトリアルデザイナーから現代美術作家に転向したアメリカ人、バーバラ・クルーガーから。

imgこの広告戦略はかなり話題になりましたね。

img上はスマップのCDデザイン、下はスイス人、リヒャルト・パウル・ローゼの1950年代の作品です。

img余談ですが、シュープリームのロゴもバーバラ・クルーガーの作品を引用しています。

同時に、ショップデザインにおいても佐藤可士和の仕事は現代美術からの引用が見られます。
原宿にあったUTのインテリアは彼が手掛けたものですが、そこにあるデジタルの掲示板による文字情報は、同じくアメリカの現代美術作家ジェニー・ホルツァーからの引用です。
そこにアートのメッセージはなく、あるのはスタイル=手法のみ。
こうした例でもわかるように、大量消費を批判しているアートを逆に消費アイコンの手法として採用し、まったく別の意味合いを持たせているのが特徴で面白いなと思います。
そこで行われているのは、過去のパーツと現代のパーツを組み合わせて別のモノを生み出しているということ。

img今はもうなくなってしまった原宿明治通りにあったUTのショップと新宿の丸井

img電光掲示版を利用したジェニー・ホルツァーの作品

建築に目を向けても、そうした引用はたくさん見られます。
一例をあげると、建築界のノーベル賞とも言える、プリツカー賞の第1回目の受賞者、フィリップ・ジョンソンの代表作、グラスハウス。
建築家本人が、この作品はミースからの影響だと言っているように、ミース・ファンデル・ローエの代表作ファンズワース邸との類似点がかなり見られます。
しかし、パクリだとか言われることなく、フィリップ・ジョンソンはこれで佐藤可士和と同じく、世界的に権威ある賞を受賞しています。(プリツカー賞は日本人では、安藤忠雄、槇文彦含め6組しか受賞していない)

img1948年に建てられたフィリップ・ジョンソンのグラスハウス

imgモダニズム建築の最高峰、ミースのファンズワース邸。ホントに最高です。

そして最後に、2000年を過ぎてから快進撃を続けるアップルの製品デザイン。
以前、このブログでも書きましたが、そのデザインはブラウンのデザイナー、ディーター・ラムスが1960年代に手掛けたプロダクツからの引用です。
そしてアップルのデザインが素晴らしいことに多くの人たちが共感し、売上にも大きなインパクトをもたらしました。
これらの事例は、よい、悪いではなく、引用の思考プロセスによって、人々に影響を与え、しかも結果的に大きな成功を収めたサンプルです。
僕個人はこれらが、悪いとは思いません。
それよりも、膨大なアーカイブの中から、自分の選択眼で選び、組合わせ、独自のアイデアに昇華できる技術は、ものすごい才能だと思っています。
僕らが目をむけなければいけないのは、過去の優れたアーカイブであり、それを現代の手法でリサイクルし、別のものと組み合わせ、スキーマスイッチを実践して、優れた結果にしていくプロセスです。
僕たちの仕事は、膨大な情報収集とそれらを組み合わせる技術、アイデアのバージョンアップを常に行うことが求められているのです。
冒頭に書いたさいとうさんの言葉にもそれが的確に表れていたし、ブラボー小松さんの言う過去のアーカイブに目を向けない人が増えているという発言にも危機感を持ちました。
このことにクリエーターは全員気が付いて欲しいと思っています。

imgアップルより本当に素晴らしいのはブラウンにおけるラムズの仕事。

BUNACO Twist - dust box

松本 知彦 for Private Time/2015.03.20/インテリアインテリア

気に入ったごみ箱って探してもなかなか見つからないものですよね。
特にリビングなど、来客がある部屋に置くものとなると、イケアで売ってる150円のものじゃちょっと・・・。(うちでは他の部屋でそれも使ってますが)

img

ブナ材を薄くスライスして数枚重ね、ねじって作られているゴミ箱です。
シンプルで、木目が美しいデザイン。
インテリアのテイストを邪魔しません。
和、北欧、モダン、どのテイストでも合うと思います。

インポートのように見えますが、実は日本一ブナが取れる青森のブナの木を使って、国内で作られています。
1つ1つ職人が手で作っているというのがいいですね。

薄くスライスしたブナを重ねて作るので、資源の有効活用をコンセプトにした商品でもあります。
だから持つと、とっても軽いのです。

無垢材やハンドメイド、クラフトが今の時代のトレンドですが、どんなインテリアスタイルにもマッチするこうしたデザイン性の高い商品を国内で作れるっていうのはよいことですね。
ゴミ箱というと、プラスチックかアルミ製、オフィスかキッチン用、チープなものが多くてこういう見せるゴミ箱、ありそうでなかなかありません。

難点を1つあげるとすれば、かなり薄いので強く押さえたり、ラフに扱うと、木が割れてしまうってことくらいでしょうか。
(うちの、、、、既に1つ割れてます 笑)

The A to Z of Mod/ Paolo Hewitt and Mark Baxter

松本 知彦 for Private Time/2015.03.18/本

英国で出版されているモッズのバイブルのような本です。
モッズについては以前もこのブログでちょっと触れましたが、60年代前半の英国で生まれたカウンターカルチャー、若者のライフスタイルのこと。
簡単に言うと、政治的メッセージは持たず、最先端のカルチャーを追い求める、スーツを着てスクーターに乗った若者たちのことを指します。
モダーンズが語源ですからね、モダンなわけです。

imgポケットサイズだけど内容の濃い本です。

その教科書のような書籍です。
モッズっていうと、Who、Small faces、Kinksなどなど、60年代のバンドがすぐに思い浮かびますが、この本が面白いのはそうしたお約束なレトロなモッズだけの紹介には留まらないところでしょうか。
モッズの本ってだいたい60年代のバンド以外に、ジャム~スタイルカウンシル、ポール・ウェラー、80年代に起きたネオモッズムーブメント(アクション、パープルハーツなど)、この辺までがお約束だと思います。
言ってみれば音楽シーンばかり。

imgモッズといえば、このあたりはお約束でしょうね。若いボウイはカッコいい。

imgACID JAZZなバンドたち。ヤング・ディサイプルズいいですね。

でもこの本はモッズファッション(カーナビーストリートからブライトンにある店まで)、御用達のシャツメーカー、シューズブランド、英国のポップアートを代表するピーターブレイクまで、幅広く紹介しているのが特徴です。
音楽もポール・ウェラー一辺倒ではなく、オーシャンカラーシーンなど60年代をルーツとする最近のブリッドポップバンドと同時に、ACID JAZZムーブメントまで紹介。
そしてもっともビックリしたのが、マーチン・フリーマンがプロローグを書いていること。
マーチン・フリーマンと言えば、つい最近公開された映画「ホビット」、そしてカンバーバッジが主演したBBCのTVシリーズ「シャーロック」でワトソン役を演じていたことで知られる英国の俳優です。
彼がモッズだったというのが驚きでした。
そして自転車競技のオリンピック選手で、大英帝国勲章を受章しているブラッドリー・ウィギンスまで紹介しているのです。(モッズのスポーツ選手ですよ!)
要は、モッズの本によくありがちなレトロな音楽だけに留まっていないのが、この本のユニークなところです。

img今流行のバラクータG9はIVY御用達と思われがちですが、英国ブランドなんですよ。

img最近DAKSでモデルをしてたこの人、このポロシャツが一番似合います。

img競輪選手のブラッドリー・ウィギンス。オリンピック選手にしてこの髪型!笑

imgシャーロックのワトソン役でおなじみ、マーチン・フリーマンもモッズとは。

ページをめくっていると、60年代にアメリカから英国に入ってきたカルチャーがイギリスの若者たちに与えた影響力、またアートや音楽などと結びついて独自のイギリス文化を形成していった過程を知ることができます。
60年代のスウィンギングロンドンのカルチャーは世界に輸出され、今の英国文化の根底にも脈々と流れている、その端緒を見ることができます。
最初の扉に登場するコードレーンのジャケットを着た若いチャーリー・ワッツがしびれます。
これでやられてしまいました。

imgタブカラーにコードレーンのジャケット。洒落者のチャーリーカッコいい。

SPURと新宿伊勢丹のコラボイベント

松本 知彦 for Private Time/2015.03.10/東京東京

先週3月4日から新宿の伊勢丹で、ちょっと変わったイベントが開催されています。
女性誌のSPURと伊勢丹がコラボしたSPUR HOTELです。
SPURと伊勢丹のコラボってここ3年くらい毎年やってますが、なぜ百貨店でホテル?
今一番ヒップな場所はホテルだそうで、SPUR HOTELはそんな架空のホテルがコンセプトとのこと。
新宿店本館のほとんどすべてのフロアに、このSPUR HOTELのスペースが設置されていました。

img2階のフロントカウンター。背面にぶら下がっているのは実際のカギ。

去年の夏ローリーズファームが、渋谷に実際にあるホテルの1室を改装して、アメニティをすべて購入可能なオリジナルグッズで揃えて、宿泊可能にしたベアーズホテルというイベントが話題になりましたが、その企画にインスパイアされているのかもしれませんね。
ショップとホテルだけでなく、点在するカフェなど渋谷の街を巻き込んで、楽しそうなイベントでした。
それを1つのデパート内で実現しているのがちょっと面白いです。
まず2階のエントランスから。
ホテルさながら、2階にはフロントが設置されていて、キーがぶら下がったディスプレイがあります。
このフロントで申し込むと、1時間で全フロアを案内してくれるコンシェルジュサービスもあるとのこと。
ここには、「ダースベーダーとその息子」という絵本(子供に大人気)のオリジナルグッズやチェア(貼ってある生地がトレンチコートそのまんまなど)が販売されていました。
イベントに合わせたオリジナルドリンクも飲むことができます。

imgフロアごとの構成はこんな感じです。

imgこちら3階のジムのスペース。

img久谷シールのお皿のシリーズはたくさんありました。

3階はジムとルームサービス。
実際にジムのマシンが置かれていたり、ルームサービスとして九谷焼のお皿がたくさん売られていました。
クタニシールでカスタマイズができるとのこと。
すごいのは2階も3階もすべてこのイベントのために、オリジナル商品を販売していることです。
会期は1週間しかないのに(好評のため2週間に延長されましたけど)その期間内で、こんなにたくさんのオリジナルグッズが売れるのだろうか?と思いました・・・
期間が終わっても継続販売するのかな?
とにかくフロアごとに参加している企業は、各社ロゴ入りのオリジナルグッズを制作販売していて、お金かかってます。
売れ残ったらどうするのだろう??
ちなみに期間中グッズは伊勢丹のオンラインショッピングサイトでも購入が可能、
シュプール4月号同梱の抜き刷り冊子が通販カタログにもなっている、
Webの掲載画像を見せるだけで、B2のビューティアポセカリーでコスメキットが毎日タダでもらえる、
何も買っていなくても、フロアのスタンプを集めて2階のフロントに持って行くとペンと手帳がもらえる、
いやあ、めっちゃお金がかかってます。
これは名目としては広告宣伝費なのでしょうか。
収益を得るためだけのものではないと思います。
そして期間中に、オリジナルグッズを2万円以上購入すると、ホントのホテル、パークハイアットの高級スパやニューヨークグリルのランチが抽選で当たるという特典付き。

img5階のコンセプトはスイートルーム。

4階はゲストルーム、6階はガーデン。
両方とも服なので若干企画は薄かったですが、特筆すべきは5階のスイートルームです。
5階はインテリアフロアで、ロゴ入りのリネンシーツやガウンがどーんと置かれていました。
相変わらず、こんなに色々種類を作って気合い入ってるけど、売れるのだろうか?と心配になりましたが、それより何より、リモデルが終って生まれ変わった5階を見るのがはじめてだったので、それが他のフロアに比べてさらにゴージャスに感じさせたのかも。
伊勢丹本館では何年も前から5階と地下2階がずっと鬼門というか、課題だったと思います。
地下2階はBPQC、isetan girlなど何度かチャレンジするも続けて失敗、ここへ来てやっとビューティアポセカリーで成功しました。
あと残すは5階だけでしたが、今回完全に生まれ変わってかなり、かなり魅力的なフロアに変貌しています。
先にリニューアルされたイベントスペースがオープンした時点で、既にそのポテンシャルは感じていましたが、現在の東京の旬のインテリアを見ることができます。
地下もそうですが、センパイ社員たちができなかったことを、やり遂げたのはエライですね。
バイヤーとフロア計画した人たちの気合とセンスをビッシビッシ感じるフロアで、本当に今が最旬。
キラキラしています。
次回ゆっくり時間をかけて見て回りたいフロアになっていました。

img冊子はじめ、イベントすべてにこのロゴとカラーが使われています。

imgスタンプ台は各フロアにありますが、これがスゲーわかりにくいの。。

また伊勢丹は別の試みとして、今月から伊勢丹新宿店のすぐ隣にある伊勢丹会館にワークショップのための専門フロアを開設しました。
先週そこで開かれていたのは、お父さんお母さんのための手品教室、次回は絵本の読み聞かせテクニック講座。
百貨店を従来の買物目的だけでなく、別の様々な理由で訪れる楽しい場所に変身させようとする戦略が見て取れます。
販売だけでなく、そこに利用者が足繁く通う理由を継続的に作り出していくのは、企画力のいることでしょう。
でもそこに生き残りがかかっている。
去年より売場フロアでも、コンサートやワークショップが頻繁に開かれるようになりました。
ライフスタイルとワークショップをつなぐ企画は、今後来店の大きな鍵になると思われます。
人口が減り続ける日本にあって、買物という目的だけでは、もはや魅力を創出することが難しくなってきている中、次の一手を伊勢丹は打ちはじめている。
今後もっと顕著な戦略を次々出してくることは、容易に想像できます。

SPUR HOTELもそんな1つだと思います。
会期は3月17日まで。
皆さん時間があったら行ってみてください。
しつこいですけど(笑)、ついでに5階は最注目です。

img冊子にスタンプを押すと、全員にペンと手帳が無料でもらえます。太っ腹!

職人が手で作る、シュロのブリキ製ボックス

松本 知彦 for Private Time/2015.03.05/ライフスタイルライフスタイル

以前このブログで、D&Departmentで販売しているブリキ製のボックスについて書きました。
箱好きの自分としては、ボックス形状のものが結構好きで、二子玉川にある BOX&NEEDLEとか、現代美術で言えば、ドナルド・ジャッドとか笑 好きなんです。
好きな理由は自分でもわからないんですけど、ミニマルなものが好きだからかもしれないですね。

imgシュロは浅草橋にある手作りにこだわるライフスタイルショップ

img店の外観。ここがお店だとはなかなか気が付きません。通り過ぎてしまいそう

さて、D&Departmentで見たブリキのボックスシリーズ。
このシリーズは、東京の下町台東区で、お茶の缶を作る職人が1つ1つ手で仕上げているものです。
現在、この技術を持った職人は、後継者がいないまま一人だけになってしまったそうで、今後いつまで作れるか?という商品です。
寂しい限りですね。
お茶の缶といえば、京都の開花堂が有名ですが、こうした日常品でありながら工芸品のような味わいのある製品は、今後もずっと残して行きたいものです。

imgD&Departmentで買ったシュロのブリキ製名刺入れ。

さて、そんなブリキのボックスに惚れてしまった僕は、D&Departmentのお店で、この商品の仕入れ先を聞き出し、訪問してみることにしたのでした。
たぶん客の中で、そんなことする人は1人もいないと思うのですけど・・・・笑
仕入れ先は、シュロという浅草橋にあるお店。
お店と書きましたが、彼ら(彼女ら)は、他にも日常で使うたくさんのオリジナルプロダクツを作っている会社?チーム?で、その工房兼お店が浅草橋にあります。

浅草橋は問屋街として知られていますが、個人的にこの街を歩く機会はほとんどなく、街並みを見るだけでもちょっと面白い経験でした。
生まれてはじめてかも。
駅の周りには、ヤングからオバまで、いま女子全般の間で熱い手芸の御用達グッズ(ビーズ、革、紐などもろもろ)を扱う問屋が並んでいますが、少し歩くと昭和の面影を残す古い家屋などがあって、街自体に趣がある。
迷いに迷って、やっとお店にたどり着きました。

img浅草橋を歩いたのは生まれて初めて。不思議な街並み。

img浅草橋の街並みとシンクロする店内の雰囲気。

店のインテリアは、街の雰囲気とシンクロしたような感じ。
古い文化と新しいデザインが融合したような、そう、僕が気になったブリキ製のボックスに感じたような視点がそのまま表現されたような空気感でした。
モノ作り、デザイン、生活、文化、伝統、そんなものが入り混じった場所。
特に、手で作ることにこだわるコンセプトがよく伝わってきました。
それはそのまま、今の時代の空気感ともシンクロしていますね。
種類は違うけれど、同じような空気感は西荻のノンブルのショップ行った時にも感じました。
テクノロジーがその時代の限界まで達すると、人は過去にあった美しいものを慈しむようになるのでしょうね。
ハンドメイド、ヴィンテージ、活版、手芸、今流行っているそれらは、スマホなどのIT技術が急速に発達した今の時代の反動だと思います。

シュロを訪問したとき、お店のスタッフから熱いお茶を振る舞われました。
当日、外はものすごく寒かったので、嬉しかった。
こういうのもいいですね。
店の人たちとも話しましたが、全員女子で和やかでした。

imgまたまた必要のない色々なものを買ってしまいました 汗

僕が気になっていたブリキのボックスは職人に作ってもらっているけれど、デザイン業務はシュロが行ってるとのこと。
オーナーは女子美の生活デザイン卒業生と聞いて、なるほどねぇと。
しかも台東区は地元だそうです。
まわりには何もないですが、笑 皆さん休日、時間があるときにフラッと行ってみてください。

世界一うまい? GOLDEN BROWN 表参道 

松本 知彦 for Private Time/2015.03.02/食べる食べる

イギリスで発行されているモノクルという雑誌があります。
以前Wallpaperを創刊したタイラー・ブリュレが編集長を務めるラグジュアリーなライフスタイル誌。
日本でも買えますが、本家はイギリス。
そしてモノクルが手掛けるカフェもロンドン市内にあります。(日本では有楽町の阪急にあります)

imgモノクルカフェは小さくてセンスのよいお店でした。

img富裕層向けラグジュアリーライフスタイル誌、モノクル。

昨年ロンドンに行った際に、メリルボーン・ハイストリートにあるモノクルカフェに行ってきました。
メリルボーン・ハイストリート近辺は高感度なショップが集まる地区で、日本でいうと、、う~ん、どこだろう。代官山かな?
詳しくわかりませんが、商業施設メインではなさそうで、高級な住宅街も広がっているエリアでした。
モノクルカフェのすぐ近く、チルタンストリートには同じくモノクルが手掛けるメンズのセレクトショップ「トランク」もあります。
英国の店ってみんな小さいんですよね。
「トランク」も狭くて、置いてある商品が少なく、これでよく営業成り立つよなって感じです。
ルミネの小さい店舗くらいしか広さがない。
ルミネはそうした店舗が集まっているからやっていけるのだろうけど、、
街の電気屋みたいな広さでセレクトショップをやっても、置ける商品数は限られてます。
置いてあるのは、意外にもボリオリとユナイテッドアローズの服がメイン。
ロンドンのセレクトショップが、日本のセレクトショップの洋服を売ってるのはなんだか変な感じでした。
タイラー・ブリュレという人は相当に日本が好きらしいから、その影響でしょうか。
ロンドンの編集部でも数人の日本人が働いているらいしいです。

imgモノクルカフェのすぐ近くにあるメンズセレクトショップ「トランク」

さてモノクルカフェに話を戻しましょう。
この店も日本好きのタイラー・ブリュレの趣向がかなり見て取れる店でした。
抹茶のケーキとか売ってるし、店の内装も北欧×日本みたいなコンセプト。
笑ったのは店のトイレで、ヨーロッパではまったく見かけない日本製のtotoのウォシュレットが設置されていて、使い方の説明書きが壁に貼ってあったこと 笑

そのモノクルカフェの奥にある個室のような部屋でくつろいでいたら、正面に座っていたカップルの男性の方が話しかけてきました。
「そのメガネはいいな、どこのブランドだ?」という内容。
杉本圭のことを話したのだけど、そんな日本人のメガネデザイナーなんて知ってるわけもなく。
さらに話していくと、彼は日本が好きなようで、花見のために数ヶ月前に東京へ行ったと。
その時に忘れられないハンバーガー屋があったと言うのです。
聞いてみると、彼はロンドン在住のアメリカ人で、本国アメリカでもイギリスでも、ハンバーガーは死ぬほどたくさん食べてきたが、その日本で食べたハンバーガーは世界一だったと繰り返し熱く語るのです。

img表参道ヒルズの最上階にあるゴールデンブラウン

img店のサインのフォントが今っぽい

imgインテリアも今のトレンドですな、しかしなぜ表参道ヒルズなのだろう・・・・

いったいどこだろう?
そんなワールドフェイマスなハンバーガー屋なんてあるのか?
それは表参道ヒルズにあるゴールデンブラウンというハンバーガー屋だとのこと。
聞いたとき、その店のことは知りませんでした。
でも彼から表参道ヒルズの3階にあると聞いたとき、少し笑ってしまった。
こだわりの店かと思いきや、原宿ど真ん中じゃねーかと。
観光客は困るね~くらいに思っていたんです。
しかし話を聞くと、彼は短期滞在の普通の観光客ではなく、日本に数ヶ月滞在したようで、モノクルカフェの近くに住んでいると言っていたけれど、富裕の香りのする40歳代と思われました。
一緒にいた女子はパツキンで彼より10歳くらい年下、結婚しているのかどうかは不明でしたが、トロフィワイフ的ではあるものの、こちらもシャレオツでセンスのある女子だった。
要は彼の仕事は知らないけれど、数ヶ月滞在できる余裕のある、それなりにお金を持ったセンスのある高感度な方々という印象。
(でなきゃモノクルカフェにも来ないと思うのです)
その人たちが、何度も熱くそのハンバーガーのことを語るので笑、日本に帰ってきてから行ってみることにしました。

imgこれはゴールデンブラウンバーガー。

なるほど、うまい。
世界一かどうかはわかりませんが、うまいです。
少なくとも僕よりたくさんのハンバーガーを各国で食べてきた彼が言うのだから、あながち外れてはいないでしょう。
店の人にロンドンで会った彼の話をしたら、彼のことも知ってました。
滞在中、毎日のように食べに来ていたとのこと笑
どんだけ好きなんだよ。

これからアメリカ大手ハンバーガー店カールス・ジュニア、そしてNYからは話題のシェイクシャックが次々と上陸してきます。
(マック、ヤバいね・・・・・)
ハンバーガー好きの皆さんは、彼の話が本当かどうか、チェックしに行ってみてください。
世界一かどうかはわからないけど、おいしいことは間違いないです。

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