ディエゴ・ベラスケス  1599-1660

松本 知彦 for Private Time/2011.04.01/クリエータークリエーター

スペインの画家、ベラスケスです。
17世紀に宮廷画家として活躍したベラスケスは、それまで下級貴族の出身だと言われてきました。
しかし、実はコンベルソ(ユダヤ教徒)の家系の出であり、そのことを死ぬまで隠していたという事実を、NHKの日曜美術館を見て知ってから、ベラスケスという画家に俄然興味を持つようになりました。

img教皇インノケンティウス10世 1650年

宮廷画家として王族の肖像画を描くことが本業だったベラスケスですが、知的障害者や小人など社会的に地位が低いと見なされていた人たちにもその眼差しを向けています。

img矯人セバスティアン・デ・モーラ 1644年

宮廷画家でありながら知られれば弾圧される自分の本当の身分と、当時差別されていた人たちの姿を重ね合わせ、深い人間洞察によって内面まで描き出した見事な描写。
複雑な出自を持つベラスケスだからこそ描けたと言えるでしょう。


そして晩年にあの名作、女官たち(ラス・メニーナス)を描きます。
フェリペ4世の王女を中心に描いた作品ですが、鑑賞者も絵に参加しているような錯覚を覚える鏡を利用したトリックもさることながら、ここには非常に興味深いストーリーが隠されています。

img女官たち(ラス・メニーナス) 1656年

左側でキャンバスの前に立って描かれているのがべラスケス本人の自画像です。
この自画像は当初横向きで顔も一回り小さく描かれていました。
それを正面向きの堂々とした姿に描き変え、さらに胸には貴族の一員であることを示す赤い十字の紋章を後年に描き加えたことがX線の調査でわかっています。
描き加えられた時期がベラスケスの死の前年だというのも非常に意味深いです。
本当の身分を隠し、宮廷画家という輝かしい地位にまでのぼりつめた姿を後年にまで示そうとするベラスケスの執念のような想いがこの絵には込められているのです。

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