Alex Katz 1927~

松本 知彦 for Private Time/2014.01.15/クリエータークリエーター

ちょうど僕が大学生の頃、ニューアートというイラストレーションのブームがありました。
企業や代理店の求めに応じて制作する既存の商業イラストとは違って、自己表現としてのアーティスティックなイラストを描くこと?・・・そのコンセプト自体よくわからないブームでしたが、学生たちもそんなブームに乗っかって、それっぽいスタイルで自分の作品を作っている人がたくさんいました。

img1991年発行のNight Paintings 中古で買いました。

当時吉田カツやミック板谷、飯田淳、ペーター佐藤などたくさんの花形イラストレーターがいて、彼ら全員をニューアートとは呼びませんでしたが、吉田カツのアプローチはニューアートを代表するような、それまでの商業イラストとは異なるアプローチだったと思います。
特にJALの機内誌、翼の王国の表紙のシリーズは鮮烈で、今も記憶に残っています。
同時期に湯村輝彦をはじめとするヘタウマと呼ばれるブームもありましたけど。

そんな中、同じようなニューアートの流れを汲む作家として注目されていたのが、アレックス・カッツでした。
少し前に流行ったフランス人のイラストレーター、ジャン・フィリップ・デロームをもっとアート寄りにした感じと言えばいいでしょうか。
NY在住のカッツの作品は洒脱で、軽いタッチが非常に都会的でスタイリッシュでした。
現代美術ともイラストレーションとも異なる独自の立ち位置にいる作家でしたね。
僕も大好きでした。

img左上は1965年の作品。それ以外は80年代の作品ですが作風は変わっていません。

img87年あたりに描かれた夜のシリーズ。大好きです。

作品は写真を元に描いているのだと思いますが、決してうまくはない。
でも写真のように傍観者としての立場ではなく、対象に対して作家のまなざしや愛情が感じられる作風で、鮮やかな色彩でモチーフの単純化が大胆に行われているのが特徴でしょう。

当時何度も画集を買おうと思ったんですが、ページ数が少ないのに結構高くて、迷ったあげく、お金のない僕はカッツよりも欲しい人の画集を買って、結局カッツの画集はいつも後回しで買わずじまいでした。
カッツの切り絵のシリーズのポストカードが、まだ改装前だった青山のオンサンデーズで売られていて、それだけは何度か買いに行きました。
この切り絵の習作が傑作でした。
その作品集も売ってないかなあ。

imgカッツはニューヨークのブルックリン生まれ。

img一番上は1996年作の"Man in White Shirt"シリーズ。都会のライフスタイルが描かれています。

最近、彼の作品を思い出すことが度々あって、今まで購入の候補に挙がりながらも、ずっと買えずにいたカッツの画集をはじめて購入しました。
ずっと自分の生まれた街、ニューヨークで暮らす人々の日常を描いていますが、その魅力はなんと言っても都会的で洒脱だということ。
やっぱりカッツはいいですね。

僕の学生時代、2人のカッツ(吉田カッツ、アレックス・カッツ)は、僕の青春の思い出ですが、今見ても新しく感じます。
見る度に常に新鮮な感じを与えてくれる作品はいいですね。

profile

recent entry

category

archive

saru

ページトップ
表示切替:モバイル版パソコン版