スタジオボイスが復刊!

松本 知彦 for Private Time/2015.11.05/クリエータークリエーター

僕が高校生の頃にスタジオボイスという雑誌がありました。
当時の社会は今と違って、マスに対するマイノリティの存在、いわゆるインディーズというジャンルがあって、エッジーだけどマイナー、一部の人だけが知っているけど世の中ではあまり認められないもの、という分野が存在していました。
今ってインディーズっていう概念自体がどっかにいっちゃいましたね。

imgスタジオボイス復刊第2号はcoolの定義特集

そのインディーズをサブカルチャーと捉えて、積極的に扱っていたのが前述のスタジオボイスでした。
当時って雑誌でいうとJJが全盛で、そんなJJ読んでるマスの女子に対抗したのがアンアンやオリーブ等、マガジンハウスが出しているどっちかっていうとインディーズ系の雑誌でした(今は違いますけど。)
世の中はバブルに向かっている中、合コンカルチャーが全盛なのに、それらの雑誌は異性からの視線を完全に切り捨てた独自路線を貫いてました。(普通の男子からは嫌われる刈上げや白い口紅とかとか)
まあ、30歳を過ぎてから生まれて初めて合コンを経験した僕にとって(!)、親和性があるのは当然JJなんかじゃなくて、オリーブであり、アンアンの側だったわけです。
男子の雑誌にはマスVSサブカルという図式はあまり見られなかったけれど、自分はそんなスタンスだったので、マガジンハウスから出ている本じゃなくても、スタジオボイスや流行通信はハズせなかったわけです。
スタジオボイスはファッション誌ではなくて、主に音楽やデザイン、アート、写真など、サブカルチャー全般を扱うカルチャー誌でした。
でも今と比べるとずいぶんとライトなサブカルだったと思います。
今はサブカルが市民権を得たために、インディーズはもっともっと深いところに潜るしかなくなっちゃいましたから。
当時スタジオボイスのデザインはCAPが手掛けていて、ザラザラした再生紙のような紙に、原色の鮮やかな色でデザインされた特徴的な紙面作りをしていました。
特集の内容が毎号違うため、号によって当たり外れもありましたね。
覚えているのは、最新のサブカルな流行を取り上げ、そこからルーツを探って行くという構成が常にあったこと。
音楽だったら、イギリスからプライムスクリームやストーンローゼス(古い!!)が出て来たら、UKギターポップの流れを系統化してストーンズまで遡る。
こうしたアーティスト同士の影響を示す系譜図のグラフィックが毎回細かいデザインによって作り込まれていて、見るのが楽しかった。
しかし、今の旬なアーティストを知り、そこからルーツを遡っていく音楽の聞き方は、今の若い人は全然しないとう話をブラボー小松さんに聞いたときは、ちょっと驚き&残念な気持ちになりましたけど。

img以前のスタジオボイス。表紙見るだけでワクワクしてきます

さて前置きがかなり長くなりましたが、スタジオボイスは現在復刊されています。
今出てるのが2号目です。(あんまり本屋に置いてないですけど、なぜ??)
雑誌として面白いか?はちょっとここでは長くなるので置いておいて、2号目に掲載されていた記事で興味深かったのが横尾忠則の記事、もう1つがデヴィッド・カーソンのインタビューでした。
彼の名前をしばらく聞いていなかったので、今の彼のインタビューは新鮮でした。

マッキントッシュのパーソナルコンピューターが発売されたのが1984年。
発表当初からメモリとハードディスクのスペックが多いことから、DTPに特化したマシンとしてデザイナーを中心に普及していきました。
当時は一般の人やビジネスマンはWindows、クリエイーターはマッキントッシュ、という明確な棲み分けがありました。
90年代にはマッキントッシュオンリーでデザインする(今は当たり前ですが)著名なデザイナーたちが登場、それがロンドンのネヴィル・ブロディ、そしてアメリカのデヴィッド・カーソンでした。
デヴィッド・カーソンはカリフォルニアで高校教師をしながら、世界ランキングに入るサーファーとして活躍。
同時にデザイナーとして活動し、「ビーチ・カルチャー」誌でのアート・ディレクションで150以上の賞を受賞。
また毎号全く新しいフォーマットでレイアウトされた「レイガン」誌でのアートディレクションの仕事で大成功をおさめ、「アメリカでもっとも革新的なデザイナー」に選出された人です。
先生であり、サーファーであり、デザイナーという肩書きがとてもユニークですね。

img彼の代表的な作品集「end of print」

img誰がアートディレクションを手掛けた伝説的な雑誌レイガン

imgもうほとんどテキスト読めませんが

彼のデザインスタイルが好きか嫌いかは置いておいて、読めないくらい文字や図形を重ねたノイズのようなレイアウトは当時衝撃的でした。
まるでジャクソンポロックのようですね。
当時解像度の高い画像は容量の問題からマッキントッシュでは扱えませんでしたが、それを逆手に取って荒れたままの画質で、ジャギーをそのまま活かして画像を掲載する手法が逆に新しかった。
街にはノイズがあふれている、ノイズがあることはむしろ自然なこと、人間は無意識のうちにノイズを避け、そこにあるメッセージのみを読み取ろうとする。
しかしノイズを意識することで新しい視覚体験ができる。
美しさの価値観は1つではないということを教えてくれたと思います。


自身のサイト
http://www.davidcarsondesign.com/

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