レオ・レオニ 1910-1999

松本 知彦 for Private Time/2013.08.02/クリエータークリエーター

いま渋谷東急本店の文化村で開かれているレオ・レオニ、絵本の仕事展に行ってきました。
前から行こう行こうと思っていて行けずに、このタイミングになってしまいました。

img子供が夏休みなので親子連れで混んでますよ

レオ・レオニはオランダ生まれの絵本作家。
アメリカでアートディレクターとして働いたあと、晩年はイタリアで絵本作家として活躍しました。
以前このブログで、教科書にも掲載されている代表作「スイミー」を紹介しましたね。
http://blog.10-1000.jp/cat39/000931.html

ユダヤ人だったレオがアメリカへ亡命しなければならなかった経緯を知り、もう1度彼の絵本を見てみると、ストーリーの裏にある「自分は何者なのか?」というテーマが浮かび上がってきます。
子供向けの絵本という形はとっていますが、自分らしくあることが自分を幸せにつながるという、彼の経歴や人生経験に基づいた深いメッセージがそこにあるのです。

imgこちらもおなじみ、有名なコーネリアスはワニの話。

imgフレデリックが出てくる、リンタロ推薦「アレクサンダとぜんまいねずみ」

imgすべて鉛筆で描かれた「はまべにはいしがいっぱい」

レオは最初の絵本「あおくんときいろちゃん」を49歳で発表しています。
絵本作家としてのデビューは思ったより遅いんですね。
その時は第1線で活躍するグラフィックデザイナーとして、既に知られた存在でした。
単純化された構図や、色彩はデザイナーとして広告制作の経験で培われたものです。

展覧会ではたくさんの原画が展示されているのですが、個人的にもっとも興味深かったのがその技法です。
フロッタージュと呼ばれる切り絵で作られているものが多数ありました。
有名なネズミのフレデリックもすべて色紙の切り絵なんですね。
会場に彼の作業デスクが再現されていましたが、そこにはフレデリックの胴体や耳のカタチに切られた紙のパーツがたくさん入っている箱が置かれていました。
いつでもそれを組み合わせてフレデリックを作ることができたのでしょう。
切って貼った紙に手描きを加えたり、色を塗ったあとに紙を切り抜いたり、ちぎったり、日本の千代紙を切り貼りしたり、原画を見ないとわからないことがたんさんありました。
こうしたものを見られる機会はあまりないでしょう。

img現在うちにあるレオ・レオニの本たち

img単行本を買ったのでこれから読んでみたいと思います。

最後に、
展覧会の内容そのものとは関係ないですが、最後にグッズの販売スペースが大きく取られていて、たくさんの種類のグッズが売られていました。
商魂たくましい感じです。
親子連れもたくさん来ていましたからね、別の見方をすればレオ・レオニは相当に売れる商材ということでしょうね。
展覧会は8月4日までです。
あとちょっとで終わってしまいますから、是非皆さんこの機会に足を運んでください。

アントニオ・ロペス  1936 -

松本 知彦 for Private Time/2013.06.17/クリエータークリエーター

渋谷の東急文化村で開かれていたアントニオ・ロペス展に行ってきました。
このジャンル、嫌いではないのですが(むしろ好きではありますが、)同じような表現の作家が多く、似たような作品もたくさん見るので常に食傷気味で・・・このアントニオ・ロペスもその中の一人だろうくらいに思っていました。

imgスペインを代表する作家ですが、日本では初めての展覧会になります。

まわりの複数の友人から、ロペス展は良かったという評判を聞いたので、じゃ行ってみようかなという程度で足を運んでみました。
しかし行ってみてその予想は大きく裏切られることに。

展示内容はよかったです。
この手のリアリズムの作家の多くは技術だけが先行して、表現の幅が狭いものがほとんどですが、ロペスは、リアリズムの作家という以前に一人の表現者として、見る者に何かを訴えてきます。
家族や部屋の様子など身近なモチーフを淡々と描いているのですが、それらは「写真のように」緻密な描写を施して完成させることが目的ではないように見えます。
移ろい行く一瞬を捉えるのではなく、そこには変わらない普遍性が存在するような不思議な世界が表現されています。
作品1点を数年から10年以上かけて完成させるといいますが、その間にも景色やモチーフ、そして描いている本人の意識すら、ずいぶん変わってしまうでしょうね。
写真のように見えるというのは作品の本質とあまり関係ないことのように思います。

imgグラン・ビア 1974-81年 油彩・板

img実際の街の様子と作品の比較。驚きです・・・・

img写真を見て描いているわけではなく、実際に目で見て描いています。

一番有名なのが上にあるマドリッドの街並を描いた作品ですが、写真を見て描いているのではなく、実際に街に立って描いているのがすごいですね。。。
完成までに7年かかってます。
そして40年前の作品なのに、ほとんど街の様子が変わっていないのも驚きです。
ヨーロッパならではでしょう。
マドリッドはスペインの首都ですから、大都会のはずなのに変わっていない。
東京だとこうは行きませんよね。。。
40年前の建物は跡形もなく消えてしまいます。

imgマリアの肖像 1972年 鉛筆

imgトーレス・ブランカスからのマドリード 1974-82年 油彩・板 

このマドリッドの見下ろす風景も8年もの間描いています。
描いている途中で、どんどん街の様子は変わっているんじゃないでしょうか。
90年代にスペイン国王から絵画制作を依頼されていますが、既に20年くらい経過しているというのにまだ完成しておらず、4000万円を先に支払っている王室からプッシュをかけられているようです。(再度設けられた期限にも完成せず・・・)

ここには紹介していませんが、僕は単なる窓を描いた作品や冷蔵庫を描いた作品、部屋の白い壁だけを描いた作品が一番好きでした。
どこにでもある身近な情景です。
会場でこれらの絵を見ていて、僕はあることを思い出していました。
それはアメリカの作家、アンドリュー・ワイエスとの共通点です。
高校生の時に大好きだったワイエス。
この作家も機会があれば是非紹介したいと思います。

Maurice Binder モーリス・ビンダー  1925-1991

松本 知彦 for Private Time/2012.11.26/クリエータークリエーター

こないだから立て続けに007ネタばかりですみません。。。
もうすぐスカイフォールが公開されますが、それを過ぎちゃうとみんなのボンド熱も冷めちゃうかなと思って立て続けて書いてます。
あ、最初からボンド熱なんて皆さんはなかったですね・・・汗
僕は決して007熱は冷めないのですが 笑

img映画の冒頭、007のテーマ曲と一緒に流れるお約束の映像です。

今回は007のオープニングで有名なガンバレルのシークエンスのデザインを担当したモーリス・ビンダーについて紹介します。
銃口を覗いている映像の中にボンドが横から歩いて現われ、こちらに向かって銃を発射、すると画面の上から血が流れるというお約束のオープニングムービー。
これをデザインしたのがアメリカ人、モーリス・ビンダーです。
1962年の第1作「007ドクター・ノオ」の際にビンダーがデザインし、それ以後もお約束として継続して作られてきました。
このオープニングは、ボンド映画を語る上で欠かせない要素となってます。
007映画には、こうしたお約束が他にもたくさん詰まってるんですが、それが見る楽しみの1つですね。
50年も同じルールでやり続けている映画って他にはないと思います。

第1作から3作目までは、ショーン・コネリーではなく、ボブ・シモンズというスタントマンが演じています。
ショーン・コネリーは4作目「サンダーボール作戦」から登場。
同じガンバレルでも主演男優によって、時代によって演出は様々ですね。



このモーリス・ビンダーという人、ヒッチコックのタイトルバックなどを手掛けたグラフィックデザイナーのソウル・バスと並んで、映画のタイトルバックのデザイナーとしてかなり知られた人です。
007のガンバレルとタイトルバック、それ以外にも有名なところだと、オードリー・ヘップパーン主演のシャレード(超クール!)、太陽がいっぱい、ラストエンペラーなどがあります。

ソウルバスの手掛けるヒッチコック作品のタイトルバックもカッコいいです。
↓↓
http://blog.10-1000.jp/cat33/000479.html

前回このブログでも紹介した「007は二度死ぬ」のタイトルバックもビンダーですが、日本のモチーフとして取り上げたのは竹で作られた蛇の目傘でした。
真上から見た傘のシルエットに火山の溶岩や女子のシルエットを重ねてデザインしていて、またこれがクールでしたね。
最新作スカフォールでも、ダニエル・クレイグはきっとこのオープニングのガンバレルを演じていると思います。
楽しみですね。

成田亨 1929 - 2002

松本 知彦 for Private Time/2012.10.17/クリエータークリエーター

先週で大盛況のうちに終わってしまいましたが、東京現代美術館で行われた庵野秀明監修による特撮博物館の展示。
うちのスタッフもスタッフブログに書いてましたが、そう、これを見逃してはいけません。
行った方もかなり多いのではないでしょうか?

imgいったいどこまで列が続いているのでしょう?見えません。

3ヶ月という結構長い期間開催している展覧会なので、いつもで行けると油断していたら、とうとう最終日になってしまいました。
今日しか見られない、じゃ行かなきゃ、と思い立って行ったもの・・・・
え、えー!
予想通りいえ予想以上な状況で。
チケット買うのに60分待ち、買ったあと会場に入るのに100分待ち、合計160分、3時間近く待たなければ見られないのです・・・・
今時これだけ待つ展覧会もあまりないのじゃないですかね。
ロンドンでデヴィッド・ホックニー展に入るのに寒空の下3時間待ったのを思い出しました。

imgな、なんと、チケットを購入後、列の最後尾は美術館の外です。。

いま特撮のジャンルって盛り上がっているのでしょうか?
特撮は完全に男の世界、ロマンだと思うのですが、女子もたくさん来ていて、これら多くの人を惹きつけているものは何でしょう?
TVCMバンバンやって媒体が煽ったから?スタジオジブリを絡めたから?個人的にはちょっと謎です。
特撮は絶対にまず円谷、そして東宝ありきなのです。
こんなにたくさんの人が円谷を求めてやって来ているとは思えず、、なんだか不思議な現象だと感じちゃいました。

内容は非常によかった。
ホックニーの時とは違って、待った甲斐がある展覧会でした。
子供向けの特撮をアートとして捉えて、今までマニアの間でしか知られていなかった裏方の人たちをクリエーターとして表舞台に出して紹介するのは素晴らしいことです。

その中の一人に成田亨がいます。
ウルトラマンや登場する怪獣たちの造形、そして科学特捜隊やウルトラ警備隊のメカニックもこの人のデザインでした。
代表作はやっぱりバルタン星人でしょう。
彫刻家でもあった成田亨は、僕と同じ大学の卒業生なのです。
成田亨に続いて「怪奇大作戦」「帰ってきたウルトラマン」のデザインを手がけた池谷仙克もまた同じ大学の卒業生でした。
これは偶然なのでしょうか?
なぜこれを強烈に覚えているかというと、当時成田亨にあこがれて同じ大学に入ってきた同級生の友人たちもいて、彼らは学内で特撮の話をよくしていたからです。
ウルトラQからはじまってウルトラマン、その先に続く60~70年代のウルトラ黄金期を先輩たちが作り上げてきたというのはうれしいですね。
そこには円谷プロとのタッグがあったのは言うまでもありません。

展覧会の興奮冷めやらぬ中、家に帰って当時自分が見ていた本を、もう1度引っ張り出してみました。

img今から40年前の本ですよ。

img「これはびっくり!怪獣完全解剖図解」いい見出しコピーだねえ。笑

こうした解剖図やメカの設計図などは、子供の時ワクワクして読んだものです。
サンダーバードも全盛でしたからねえ。
そしてウルトラマンカード。
これがなんと成田亨の絵なのです。
たぶん相当レアだと思いますよぉ。
ヤフオクに出しちゃおうかな。

img24枚のカードが収録されているウルトラマンカード。ソノシート付き。

imgこちらももちろんソノシート付き。今でも聞けます。

そして1968年の東宝映画「怪獣総進撃」。
ゴジラ、ミニラ、ラドン、モスラ、アンギラス、キングギドラなど11体の怪獣が登場する豪華怪獣映画です。
本にはソノシートもついていて、劇場音楽やストーリーが聞けます。
ソノシートとは、薄いビニールでできたペラペラのレコードのことです。
今のDVDブックの走りみたいなもので、当時はたくさんの本がそうでした。

img怪獣ブームの最後を飾る大作でした。

驚くべきは、これら40年前の本を今リンタロが読んでいるということです。
僕の父親が子供の時に読んでいた本を、僕は読んだ記憶がありません。
そしてリンタロは初代ウルトラマンももちろん知っているし、そこに出てきた怪獣もかなり詳細に知っています(オタク?ってくらい)
幼少期に同じものを見て育つというのは、時代がこうなったからできることですよね。
バルタン星人は僕にも今の子供の記憶にも刻まれているし、共通のアイコンとなっているんです。
成田亨の造形が今の子供をも魅了しているということです。
いい仕事ですね。

しかし、、2世代に渡って読まれると、本の痛みがはげしく、、ボロボロに。
僕は、ヤフオクのことばかりが気になっているのでした 笑

寄藤文平

松本 知彦 for Private Time/2012.09.14/クリエータークリエーター

現在、銀座のグラフィックギャラリーで開かれている「寄藤文平の夏の一研究」を見てきました。
寄藤さんと言えば、イラストを使った日本たばこの大人たばこ養成講座の広告が有名ですね。
雑誌なんかにもよく出ていた黄色のイラスト、みなさんも1度は見たことがあるでしょう。
あと、メトロの中吊りのマナー広告シリーズもよく見かけました。
いずれも味のあるひねったイラストがとても印象的です。

img大人たばこ養成講座

img東京メトロマナー広告

今回の展覧会、1階では文字を一切使わずに映画を図案で表現したピクトグラムのデザイン、色鮮やかで可愛いものでした。
地下1階は、赤瀬川原平さんの本の装丁をテーマに、そのコンセプト、思考プロセス、アイデアパターンをたくさん展示して、来館者に投票させるという展示内容でした。

img1階は主に色面デザインの作品展示

1階の鮮やかな色面構成の作品もよかったけど、黒板を用いながら、アイデアの発想をデザインに落とし込んでいく過程そのものをプレゼンした、地下の展示がおもしろかったですね。
実際に書かれた企画提案書を見ているようでした。
勉強になります。

img壁面に置かれた実際の装丁サンプル、そのコンセプトが黒板に書いてあります。

img自分の気に入った装丁デザインに正の字で投票を。

何案あったか覚えてませんが、装丁されたたくさんの束見本が置かれていました。
そのどれもが異なるコンセプトで制作されており、最終的に手を動かすデザインよりも、最初に考えること、発想やプランがいかに重要かということを教えてくれます。

img銀ブラついでに是非

自分の中ではとってもよい展覧会でした。
装丁を手がけている人はもちろん、デザイナーだけでなく、モノ作りに携わる人全員が見て、勉強になる展覧会だと思います。
展覧会と直接関係ないですが、寄藤文平さんは僕と同じ大学を中退した人だということを知りました。
その経歴と多少関係あると思いますが、大掛かりな仕掛けや必要以上にインパクトを訴求するような代理店出身の香りがあまりせず、そこが自分的には好感持てる部分でした。
明日から3連休ですから、銀座に行かれる方は行ってみてください。
9/29まで開催。

Billy Childish  1959-

松本 知彦 for Private Time/2012.07.19/クリエータークリエーター

ファッション雑誌HUGEの今月号アート特集を見ましたか?
表紙に出ているイラストはどっかで見たことがあるなあと思って、書店で立ち読みをしていたら・・・
そうでした。
僕が80年代に大好きだったBilly Childishの自画像でした。

imgHUGE 2012年8月号

img巻頭1発目にBilly Childish特集

これにはびっくりしましたね。
Billy Childishはイギリス人で、アートスクールを中退した後、多くのバンドに参加してアナログ盤を大量に発表していましたが、どれも一貫したガレージパンクで一般に受け入れられるような音楽ではありませんでした

僕も20歳の頃、かなりガレージパンクを聞きました。
ガレージパンクを知らない人のためにちょっとだけ説明しますと、、
60年代に主にアメリカで活動していたバンドで、R&Rをベースにしたインディーズでキワモノのバンドを指しますが、その中でもTrashmen、Sonicsなどが有名です(と言ってもほとんどの人は?だと思いますが)
音は歪み、粗削りでB級で、タランティーノの映画に出てくるような音楽と言ったら一番イメージしやすいと思います。
70年代のパンクが登場する以前、商業主義とは無縁のパンクな音楽です。
もともとは60年代の音楽なのですが、その後もこのジャンルは継承されて(もちろん今でも)80年代に起きたモッズやロカビリーの音楽ブームとともに、英国でリバイバルがありました。
その中にMilkshakesというバンドがあって、僕はこのバンドが大好きで、アルバム全部買って聞き倒していたんです。
そのバンドにいたのがBilly Childishでした。

img84年発表のMilkshakesのアルバム。ソウル・バスの作品をパクッたジャケット。

img彼らが来日した時にもらったサイン。僕の宝物。

imgアナログ盤のレーベルのデザインもカッコいい!

彼はその後、マイティシーザーズ、ヘッドコーツなどなどいくつかバンドをやりますが、そのどれもが驚くほどにローファイで、荒くれていて、すごく下手クソで、ガレージサウンドそのもの、しかしスピリッツだけはあるようなバンドでした。
ジョン・リー・フッカーとボー・ディドリーに、ビートルズとキンクスを加えて クラッシュで割ったような音です。
これがアメリカのニルヴァーナなどのグランジ系のバンド、そして日本のミッシェルガンエレファントに影響を与えます。
ミッシェルガンエレファントの音は、彼らのガレージサウンドをもっと上手く(笑)した感じでした。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの頭につくTHEEはBillyのやっていたバンドTHEE MIGHTY CAESERSから取られています。
とにかくミッシェルガンが登場して「THEE MIGHTY CAESERSが大好き」と彼らが公言するまでは、こんなガレージサウンドなんて誰も聞かないイカレポンチだけの音楽だったわけです。

説明が長くなりましたけど、そんなわけで2012年になってBillyが雑誌の表紙に、しかもミュージシャンとしてではなく、アーティストとして登場していることに僕はびっくりしてしまいました。(と言ってもやっぱり知らない人には伝わらないと思いますが、、)

img油絵はムンクかゴッホみたいなタッチです。

img彼の絵は水彩の方がいいですね。

自分でレコードレーベルを立ち上げてジャケットに自分の作品を入れたり、詩集を出してポエトリーリーディングのイベントを開いたり、イギリス政府から生活保護を受けながらずーっとインディーズまっしぐらだった彼がここへ来て、日本の雑誌の表紙に取り上げられるほどメジャーシーンに踊り出てきたなんて個人的には本当にびっくりしています。
インタビュー記事を読むと、ただ単に出てきたわけではなくて、そこには企みがあって相変わらず生意気でやっぱりパンクなのは変わってないなあと感じます。

今や絶滅したパンクのスピリットを貫きながらも、そこできちんと生計を立てている彼のような存在は稀でしょう
他者(メディア)に迎合せず、傲慢で、自分を誇張する戦略があって、それがちょっと下らなくてバカバカしくて、でもそれによってお金を儲ける術を知っている。
それを仕掛けていく姿勢があるっていうのが微笑ましいと感じました。
方法はまったく違いますが、インディーズを商売にするためにメディアを利用したマルコム・マクラレンを思い出しましたね。

Dieter Rams ディーター・ラムス2

松本 知彦 for Private Time/2012.06.21/クリエータークリエーター

前回、このブログでも紹介したドイツの家電ブランドBRAUNのプロダクトデザイナーとして知られるディーター・ラムスがデザインした、ヴィッツゥ・ユニバーサル・シェルビング・システムの展覧会が銀座のデザインギャラリーで開かれていたので先週行ってきました。

img

imgパネルにはラムスの提唱するグッドデザインの10ヵ条

1950年代に発表された名作レコードプレーヤー「SK 4」もシェルフと一緒に展示されていました。
見る度に溜息が出ちゃいますが、本当に素晴らしいです。
時代を超えて変わらないもの、それこそがラムスのデザインです。
しかしこのシェルフ、欲しいなあ。
本当にカッコいい。

自分が感じるに、ラムスのデザインは余計なものをできるだけ削ぎ落としてソリッドですが、どこか優しいんですね。
機能的かつ合理的な視点でデザインされているように見えますが、それだけではない、というのがポイントです。
それは角の仕上げのちょっとした丸みとか、色とかそういうディティエールに現れています。
それが彼の人格のような気もして、ソリッドなのに人間ぽいという、そこが魅力のように感じます。

こんな展覧会が開催されるなんて、巷ではラムスについて盛り上がっているのでしょうか?
僕自身は以前から相当盛り上がってますけど・・・・笑
それとも販売代理店であるD&Departmentのたくらみかな。
その感は否めませんが。

imgパネルのグラフィックもカッコいいなあ

img

img

60年代に生まれたデザインには実に惹かれます。
ストイックで純粋で、混じり気がないことが魅力でしょう。
それまでのシステムや慣習を乗り越えていこうという気概のようなものも感じます。

このブログを読んだ人の中でシェルフの実物が見たくなった人がいたら、松屋銀座のデザインコレクションに行ってみてください。

ジャクソン・ポロック  1912-1956

松本 知彦 for Private Time/2012.05.01/クリエータークリエーター

現代美術に詳しくない人でも、この絵を1度は見たことがあるでしょう。
1950年代に絵の具をまき散らしたような画風で、一世を風靡したジャクソンポロックです。
先日、ジャクソンポロックの生誕100年を記念して東京国立近代美術館で開かれている回顧展に行ってきました。
ポロックの回顧展が日本で開かれるのは、はじめてだそうです。
国内の所蔵作品だけでなく、世界から集められた作品群を一同に見られるのは、今回限りだろうと言われていますが、
中でもイランのテヘラン美術館から、200億円の値がついているポロックの最高傑作「インディアンレッドの地の壁画」も出品されているのが話題になっています。
これは行かなきゃと思ってました。

img

img

行ったのはGW前半ですが、美術館には並ばずに入れました。
ヨーロッパでは美術館に入るのに散々待たされたので、これだけでも本当に日本はいいなあと感じましたね。
会場もそんなに混んでなくて、割とゆったり鑑賞できます。

img以前あったカフェがなくなってました・・・・美術館にカフェは必要でしょ

展覧会は4部構成になっています。
まだアクションペインティングの作風が確立されていない20代。
ピカソを超えようと、シュルレアリスムに接近した30代前半。
ポーリングと呼ばれるアクションペインティングの技法で世界的に知られるようになった30代後半。
そして絶頂を極めた後、苦悩する晩年のポロック。

僕が一番興味深かったのは、絶頂を極めた30代後半以降のポロックですね。
みんなが知っているポロックの絵の具を飛び散らしたようなスタイルは、1947年〜50年のわずか3年間に制作されています。
その後「ブラック・ポーリング」を呼ばれる黒だけを使った作品にスタイルを変えていくのですが、これにより批評家たちからは大バッシングを受け、作品数も減り、ポロックは酒に溺れるようになっていきます。
しかし、個人的にはピークを越えて次のスタイルを模索している時に描かれた、この黒の一連の作品が一番好きでした。
東洋の書の影響について本人は言及していませんが、毛筆のようにも見えます。
そして元々アル中だったポロックは、全盛期以降再び酒に溺れるようになり、泥酔状態で車を運転し、44歳で亡くなってしまうのです。

img書のようなリズムです。

展示の最後に、ニューヨークにあるポロックのアトリエを再現した部屋がありました。
ニューヨークと言っても、都市から3時間は慣れた田舎町にある木造の小屋のようなアトリエです。
ピカソをずっとライバル視してきたポロックは、芸術の都パリからアートの発信地をニューヨークへ移し、後に出てくるウォーホールなどのアーティストへの橋渡しをしたと言われています。

5月6日まで開催されていますから、皆さんも是非見に行ってみてください。

img再現されたポロックのアトリエ

img床が作品のようです。

Dieter Rams ディーター・ラムス

松本 知彦 for Private Time/2012.03.22/クリエータークリエーター

長年、ドイツの家電ブランドBRAUNのプロダクトデザインを担当した人です。
この人の素晴らしいところは、CIという概念がない時代にデザインによってBRAUNという企業のアイデンティティを確立しただけでなく、デザインで世界を牽引し、世界中の企業やデザイナーに大きな影響を与えたことでしょう。
彼のデザインした製品を見る度に、デザインの普遍性とは何か?を考えさせられます。

img

1950年代に発表された初期の名作レコードプレーヤー「SK 4」を見ても、この時点で既にデザインが完成の域に達していることがわかります。
今から50年前のデザインですが、古さを感じさせません。
スーパークールですね。
本当に素晴らしい。

imgブラウン「SK 4」レコードプレーヤー 1956年

60年代に入ってからもラムスは次々と名作を発表していきます。
その中の1つに、ヴィッツゥ・ユニバーサル・シェルビング・システムがあります。
これも本当に素晴らしい。
最近、深沢直人がリニューアルを手掛けた松屋銀座のデザインコレクション、有楽町阪急メンズの地下にオープンしたイギリスのライフスタイル雑誌MONOCLEが運営するMONOCLE CAFÉにも、このシェルビング・システムが使われています。
このシェルビング・システムはD&Dで現在でも購入可能。
ハラーシステムといい、このヴィッツゥといい、優れたものの多くが60年代に生み出されていることに注目したいですね。

imgヴィツゥ 606 ユニバーサル・シェルビング・システム 1960年

img松屋銀座にあるデザインコレクション

img有楽町阪急メンズの地下1階にあるMONOCL CAFÉ

今の時代に、60年代のブラウンに匹敵する企業はいるだろうか?
あるとすれば、それはたぶんアップルでしょう。
アップル製品の多くをデザインしているジョナサン・アイブも、またラムスから多大な影響を受けています。

img左側がラムスのデザインしたブラウンの製品、右側がアップルの製品。これパクリ?と思うくらい似ています。

素材の選択、色、シンプルなデザイン表現、2つの企業が発表したプロダクツの間には、多くの共通点があることが瞬時にわかると思います。
アイブ自身、ラムスの言葉を引用して発言していることからも、その影響は間違いありません。

よいものは時代を超越して普遍的に素晴らしいです。
過去の素晴らしい作品群にインスパイアされ、デザインを再解釈し、そこに新しい価値を加えて提供すること、それが今後デザインに携わる人が担うべき役割であり、求められるスキルだと思います。
そのために私たちは過去の素晴らしい作品群に触れて学ばねばならないのです。
モノを生み出すヒントは未来ではなく、膨大な過去にあるのです。

Richard Neutra リチャード・ノイトラ

松本 知彦 for Private Time/2012.02.24/クリエータークリエーター

リチャード・ノイトラは、1940~60年代にアメリカで活躍したオーストリア人建築家。
1950年代には、チャールズ・イームズも参加したケーススタディハウスのプロジェクトにも参加し、No.6とNo.20の設計を手掛けています。
5年くらい前、TOM FORDがノイトラの家を高額で購入したことでも話題になりました。
でもなぜか作品集はあんまり出ていないんですよね。

img

img小型の書籍ですが内容は充実しています。

この人の作品をたとえるなら、ヨーロッパ(オーストリア)で生まれたモダニズムをアメリカのロサンジェルスで開花させたもの。
厳格なモダニズムが、ロスの気候で変容し、快楽的な建物になって結実しています。
他のケーススタディハウスと同じように直線的な鉄骨構造の箱で、外部に対して閉じるのではなく、大きな開口部で開いた構造を持っているのが特徴です。
本当に今見てもカッコいい。
まったく古くありません。
以下の写真は有名なカウフマン邸ですが、1946年に建てられた70年前の住宅と思えますか?

imgやっぱLAの家はプール付ですよね。当時の日本は木造平屋建てですよ・・・

imgインテリアも相当にカッコいいです。本当に70年前??

ユダヤ人だったノイトラは、戦時中オーストリアからアメリカに渡り、フランクロイドライトの事務所で修業を積みますが、その作品にライトの影響はあまり見られません。
現代の住宅にも通じる軽さを持った、外部と内部の仕切りが被膜のような構造で、そのインテリアも非常に現代的。
本当にカッコいいです。

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