タキシード2

松本 知彦 for Private Time/2012.08.03/ファッションファッション

さて昨日の続きです。
スタッフの結婚式にスピーチを依頼されて、十数年ぶりにタキシードを作ることにしました。
どんなものにしようか考えましたけど、やっぱり作るなら手本は007です。
その中でも1960年代のショーン・コネリーが僕のお手本。

前回の記事でボンドのタキシードスタイルを紹介しましたが、その中でも一番クラシックなのがショーン・コネリー扮する初代ボンドのタキシードスタイルなのです。
1963年の007の2作目「ロシアより愛を込めて」でそのスタイルを見る事ができます。
今年はボンド映画の誕生からちょうど50年。
半世紀前のスタイルなのに今でもカッコよく見えるのは、普遍的なスタイルだからでしょう。

imgショールカラーにフレンチカフのシャツ、カフリンクス。見えないけどチーフはTVホールド

タキシードを着用する時には、古くからの決まり、ルールがあります。
ジャケットと同生地で側章の入ったトラウザーズ(外側にシルクのラインが入ったパンツ)、腰に巻くカマーバンド、白いドレスシャツ(ピンタック付き)、カフリンクス、蝶ネクタイ、白いポケットチーフ、黒のエナメルシューズ、そして忘れちゃ行けないブレイシズ(サスペンダーのこと)。
最近はこのルールもどんどん崩れているでしょうけれど、僕はこれに忠実に従うことにしました。(シューズ以外)

そしてジェイムズ・ボンドにこだわるなら、やっぱりイギリスのブランドを選びたい。
選んだのは、ロンドンのサヴィルロウにあるハンツマンです。
以前ロンドンのレポートでも紹介したこのビスポークテーラー、英国王室御用達のロイヤルワラントを持つ老舗で、1790年の創業。
ギーブス&ホークスと並び、200年以上の歴史を持つ英国クラシックテーラーですが、アレキサンダー・マックイーンのスーツも作っていたりします。
ノッチドラペルに1つボタンがこのテーラーのハウスモデルですが、ハウスモデルからしてタキシードのようですね。。
直営店ではないので、型紙のみ本国で縫製は日本の工場で。

imgサヴィルロウに店を構えるハンツマン

現在のタキシードの定番であるピークトラペルはあえて選ばず、クラシックなショールカラー、色はミッドナイトブルーでオーダーすることにしました。
タキシードと言えば、ほとんどはブラックですが、色はミッドナイトブルーにしようと最初から決めてました。
黒に見えるけれど、よく見ると濃紺、そしてミッドナイトブルーという英国らしい呼び名がワクワクしますよねえ。

スーツのオーダーはサイジングと生地が重要ですが、今回こだわったのは生地です。
選んだのは、もちろんブリティッシュのミル(織物工場のこと)。
1875年創業の英国老舗服地ウィリアム・ハルステッド(William Halstead)のウール40%、モヘア60%のミッドナイトブルー。
詳しくない人には何を言っているのか、さっぱりわからないと思いますが(汗)、こだわりのマニアックな服地なのです。
まあ、ほとんどの人が選ばない生地なんです・・・(それ、いいのか?)

img


色々と説明が必要なのですが、、、まずモヘアというのはヤギの毛のことで、これが混ざっている服は光沢があってしわになりにくく、弾力性に優れています。
同時に通気性があり、熱伝導率が低いため、主に夏に用いられる素材で、60年代には高級服地として世界中で流行しました。
ジャマイカが舞台となっている1962年の007第1作「ドクターノオ」の映画の中でも、ショーン・コネリーがこの服地のスーツを着て登場し、ウォッカマティーニを飲むシーンがあります。
スクリーンで見ても、その光沢感はモヘア混スーツだというのが、すぐにわかります。
1957年に登場して一世を風靡したドーメル(1842年創業のフランスの生地メーカー)のトニックという服地がモヘアの入ったスーツの生地としては、とっても有名なのですが、またこれもマニアックな世界なのでまた別の機会に・・・(再び汗)
このモヘア混スーツ、言ってみれば固くてゴワゴワ、チクチクな素材です。
着やすいか、というと決してそんなことはありません。

img

img

ミッドナイトブルーなので、ショールカラーも濃紺。
フロントの1つボタンは、正装をさらに強調するために、拝みボタンにしてみました。
さらに袖のボタンも、よりクラシックに仕上げるために5つに。
ま、トム・フォードも5つですけどね。

そしてブレイシズ(これもマニアックな言い方ですが、サスペンダーというのは米語で、英国ではブレイシズと呼びます)は、もちろんアルバートサーストンです。
こちらも1820年創業の英国ブレイシズ専門メーカー。
どれもこれも200年の歴史を持つ英国メーカーを組み合わせてみました。
あんまり行き過ぎると嫌味なクラシックのサンオツになっちゃいますが、タキシードくらいはいいんじゃないかなあと。

さ~て全部揃ったので、いざスタッフの結婚式のスピーチへ。
スピーチは最初と最後に決まり文句があって、これがなかなかむずかしい・・・
前日原稿を書いて、暗記していったのですが、どうしてもこの最初と最後、特に最初のセリフが覚えられない。
忘れてはならないと、手のひらにボールペンで書いて当日挑んだのですが(カッコ悪・・・)、スピーチの際は、暗い場所でスポットライトを浴びたので、手のひらの字なんてまったく読めない!笑
それに片手にマイクを持っているので、手のひらなんて見れるわけもありませんでした。
そんなわけで、出だしがしどろもどろになってしまいましたが、どうにかスピーチを終えることができました。
いやあ緊張しますねえ。
こういうのは、クライアントへのプレゼンテーションと同じで、もっともっと場数を踏まないとダメです。

タキシードのウンチクを長時間に渡って語りたかったわけでもないのですが、1つ1つに説明が必要なので文章が長くなってしまいました。

imgいつも門出というのはよいものです。

imgひゃー緊張しております。仕上がりはジェイムズ・ボンドではなく、大木凡人になってしまったようです。笑

今回はマニアックな内容の連続で、どうもすみません 汗
しかし、、は~疲れた。

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