007 は二度死ぬ  1967

松本 知彦 for Private Time/2012.11.20/映画映画

前回このブログで紹介した「007ゴールドフィンガー」「007サンダーボール作戦」に続く、007シリーズ第5作、1967年上映の「007 は二度死ぬ」です。
この映画では日本が舞台となっており、いよいよボンドが日本にやってきます。
日本人としては、かなり興味深い作品なのですが、これがなぜかストーリーは全くよろしくなく、ストーリーというよりも、興味はやっぱりデザインと当時の日本を歩くショーン・コネリーに尽きます。
ボンドが日本を歩くっていうだけでも必見です。

img

前作ゴールドフィンガーが大当たりしたため、「007 は二度死ぬ」はそれに続く作品として莫大な予算をかけて作られたと思いますが、エンタメに走りすぎてストーリーの細かい組み立てとかリアリティが失われてしまった感があります。
ボンドが日本人になりきるためにカツラをかぶったり(当時からショーン・コネリーはズラですが)、和服を着て偽装結婚したり、、、その他にも日本の秘密司令部の移動手段が地下鉄丸ノ内線だったり、特殊部隊が忍者だったり、複数の日本女性と一緒にボンドがお風呂に入ったり、ほとんどギャグでしょコレ、っていう展開の連続です。
(これをそのままやっているのが、オースティン・パワーズです)
それでもエンディングでは、阿蘇山の火口下に作られた秘密基地を舞台に、悪の組織スペクターと壮大なスケールで戦闘が繰り広げられるというゴールドフィンガー以降のお約束の展開になっています。
まあ、日本側で戦うのは全員忍者ですけどね 笑

img007映画の中でロンドンが一度も出てこないのはこの作品だけ

一番惹きつけられるのは、東京にやってきたボンドが銀座を歩いたあと、国技館で相撲を見るシーンです。
そこで丹波哲郎扮するタイガー田中の部下アキ(若林映子)と落ち合うんですが、60年代の東京の雰囲気が出ているこのシーンはカッコいいです。
同じ流れで、ボンドカーのトヨタ2000GTや大里化学工業本社という設定のホテルニューオータニが出てきます。
このホテルニューオータニの部屋(大里化学工業本社の会議室という設定)がカッコいい。
ゴールドフィンガー同様、インテリア含め美術デザイン担当はケン・アダムです。

img上から劇中に出てくるニューオータニ、その会議室という設定の部屋、ヘンダーソンがボンドを出迎える部屋のデザイン、一番下はボンドを日本人に仕立てるシーン。どれもインテリアがクール。

ボンドの捜査に協力するヘンダーソンというオーストラリア人が出てくるのですが、この人の住んでいる家のインテリアもカッコいい。
「インテリアは和洋折衷で申し訳ない。純和風は好みではなくてね」とヘンダーソンが言うセリフが出てきます。
和の要素を取り入れつつ、インターナショナルなモダンスタイルにアレンジしたインテリアは、ケン・アダムの手腕ですが、やっぱり冴えてます。

imgケン・アダムのスケッチと実際に作られた阿蘇山にある秘密基地のセット。

阿蘇山の火口の下には、スペクターの巨大な秘密基地があり、ここからロケットが打ち上げられるという設定ですが、この秘密基地もケン・アダムがデザインしています。
ステンレス製のシャッターに守られた堅牢な司令部のデザインもクール。
金属を用いたソリッドなデザインは10年後、ロジャー・ムーア主演の「007私を愛したスパイ」に引き継がれていきます。
ゴールドフィンガーに出てくる銀行、本作に出てくる阿蘇山の秘密基地、私を愛したスパイに出てくる巨大タンカーの内部、ケン・アダムが手掛けるこれらのデザインは、メカニカルで共通点が多いですね。

img日本初そして世界初の日本人ボンドガール浜美枝

ボンドガールは浜美枝ですが、今までずっとイマイチだと思ってました。
そんなに美しくないというか、セクシーではないというか、他のボンドガールのように肉感的でもないし、、、強いパーソナリティがあるようにも見えず、、、
改めて見るとチャーミングっていう方が近いですね。
セックスアピールは全然感じませんが、可愛いです。

余談ですが、タイトルの「二度死ぬ」は松尾芭蕉の俳句から取られています。
「人は二度しか生きることがない、この世に生を受けた時、そして死に臨む時」というものですが、原作者のイアン・フレミングは芭蕉も読んでいたなんて博学ですねえ。
フレミングは当時日本に並々ならぬ関心を寄せていたようです。
古くから残る日本の文化と高度成長がミックスしていた60年代、今よりエキサイティングな時代だったことでしょう。
そしてボンドはこの日本滞在中に、日本人との間に子供をもうけて、その息子に会うために再度日本にやって来るという話が、実はあるという、、、
ルパン3世みたいな展開ですが、それを日本で是非映画化して欲しいものです(して欲しくない気も半分ですが 笑)

主題歌はフランク・シナトラの愛娘ナンシー・シナトラが歌ってます。
これはとってもいい歌です。

img自分の持ってるナンシー・シナトラのアナログ盤。ジャケットがカッコいい。

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