泥棒成金 1955

松本 知彦 for Private Time/2010.12.28/映画映画

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この映画を最初に見たのは20年以上前のこと。当時、大学の友人の間では、ヒッチコックやゴダール、フェリーニなど50~60年代の映画を見るのが流行っていました。
そして映画に出てくる主人公、「巴里のアメリカ人」のジーン・ケリーや「勝手にしやがれ」のジャン・ポール・ベルモンドなどに憧れたものです。

この映画はストーリー展開がやや退屈ではあるものの、今でも名作として存在し得ている理由は、やはりヒッチコック、グレース・ケリー、ケーリー・グラントの黄金コンビによるところが大きいでしょう。
特にグレース・ケリーはモナコ王妃となって引退する1年前、ヒッチコック作品最後の出演です。
そしてヒッチコックが亡くなった2年後、この映画の舞台となった南フランス・コートダジュールで、自らも自動車事故で亡くなってしまうのです。

他の作品と違って、ヒッチコック映画にお決まりのスリル、サスペンス色がこの映画には薄めです。
観光映画の側面もあり、美しい南フランスの地と美しいグレース・ケリーにスポットが当てられています。
そのため全体が緩慢な印象は否めません。

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一番印象に残るシーンは、金持ちの娘であるグレース・ケリーが元泥棒のケーリー・グラントに、ホテルで出会ったその日に自分から突然キスをするシーンです。
キスの後、ケーリー・グラントの唇にはグレース・ケリーの口紅がついているという・・結構お下劣な演出です。
しかしながら清楚で美しいグレース・ケリーが「え?いきなり自分から?」という落差に男子は骨抜きになってしまうのでした。
ヒッチコックはこのシーンが撮りたくてこの映画を作ったとも言われていますが、きっと彼はこうしたギャップのある積極的な女性が好きなんでしょう。
古来から奥ゆかしい女性をよしとする日本で、この映画が封切られた50年前、グレース・ケリー扮する女性の心理は理解できたのだろうか?とも思いますが。

以前はただおしゃれな映画としか映りませんでしたが、今見るとグレース・ケリーは美しいというその点のみがこの映画を支えているように感じます。

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