デザインの授業

松本 知彦 for Private Time/2012.02.16/仕事仕事

卒業した大学の同級生の依頼で、箱根の駅伝で有名な東洋大学でデザインの講義をすることになりました。
講義と言っても今回は講演をするわけではなく、講評に参加して学生が発表する作品に対してコメントする、という役回り。
行ったのはライフデザイン学部人間環境デザイン学科というところです。
友人の同級生は、この大学で准教授になってるんです。エライですね。

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学生たちには、あらかじめ「食」というテーマが与えられ、グループでビジネスコンセプトを考え、それに沿って各メンバーがデザインを行う、という内容でした。
一応プロダクトデザインの課題ですが、考えたコンセプトを、最終アウトプットのデザインまでブレることなくきちんと落とし込むことができるか?という主旨です。

48人が8グループに分かれて、そのうちの6グループが当日発表を行いました。
授業は朝10時半~16時半まで、みっちりです。
若いうちは勉強しないとね。

自分は今までクライアントに何十回もプレゼンしてきましたが、他人のプレゼンを聞く機会はほとんどなく、この経験はおもしろかったですね。
学生に指導するというより、自分が学べることもたくさんあるなあと感じました。

プロダクトの授業でしたが、根幹部分にあるのはブランディングの考え方です。
そしてプロモーションにも触れるため、デジタルを利用したSNSも避けて通ることはできません。
テーマの設定を間違えると大変ですが、戦略的で魅力的なコンセプトがデザインに落とし込まれているか?逆に言うと、最終的に出来上がったデザインが戦略やコンセプトを物語っているか?というのがこの課題発表のポイントでした。
学生たちの最初のグループのプレゼンを聞いたとき、調査、分析、ペルソナなどの専門的な説明が次々と出てきて、これにはちょっと驚きましたね。
がんばって勉強したのかな。
続くグループも、ムービーやアニメーション、音楽つきのスライドショーなど、ITを駆使したユニークな内容が続いて、プレゼンの手法自体がかなり進歩していることに驚かされました。

お弁当屋さん、カフェ、輸入食材店、色々なテーマが出てきましたが、最終アウトプットとしてのデザインの完成度よりも、僕はストーリーの組み立て方、コンセプトの落とし込み方にとても興味を持ってプレゼンを聞きました。
デザインの課題なので、コンセプトからブレイクダウンしていくプロセス自体の評価は、本来的な目的とは若干ズレるかもしれないですが。

しかし、大学がこういう試みを行うことは非常に重要ですね。
僕の行った大学では、アウトプットのテクニックは教えるけれど、全体の文脈の中でどこにポイントを落とし込むべきか、というようなことは教えてくれませんでした。
日本の美術大学は、ほぼ似たようなものではないでしょうか?
そしてもちろん、プレゼンテーションなど教えてくれるわけもない。
だから卒業生は社会に出て困ることになる。
平均化が共通概念だった社会は変容し、常に差別化を突き詰めないと生き残れないという状況下で、本当に必要なのは戦略的にモノ作りに携わることです。
デザイナーがそれに無自覚でよいわけがありません。
改めて戦略とは何か?差別化とは何か?人の心を打つストーリー、プレゼンテーションとはどういうものか?を考えるきっかけにもなりました。

講評を終えて大学のキャンパスを去るとき、空が真赤に燃えていました。
今日プレゼンをした学生たちも、未来に向けてこの空のように燃えているだろうか?そして僕も今日感じたことを常に忘れずに、彼らに負けないようハートを燃やさなければならない、と感じながら大学をあとにしたのでした。

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