センスがよいと言われることの正体

松本 知彦 for Private Time/2015.07.03/仕事仕事

先日から何度かこのブログでフォントの話をしてきました。
ここ最近見られるデジタルフォントの話にはじまり、ブルックリンのチョークアート、ファビアン・バロンのエディトリアルデザイン、ルウ・ドーフスマンのコーポレートブランディングなどなど。
たかがフォントと思われがちですが、フォントは常に世の中の流れとシンクロしているのです。

imgポパイに見られるWeb(デジタル)と新聞(アナログ)を融合したデザイン

さて、今日はそれらを少しまとめた話をしたいと思います。
会社では毎週スタッフを集めて全体ミーティングなるものを開いているのですが、そこで僕からこうした話をみんなに毎回しています。
特にテーマが決まっているわけではなく、自分が感じたこと、気が付いたことを毎回脈略なく話しています。
昭和の会社には、部下と飲みに行く機会があり、そこで上司が部下へ仕事に対する姿勢を話す「薫陶」と呼ばれる時間がありました。
それによって部下は仕事に対する考え方や姿勢を、上司や先輩から学んでいた。
しかし現在、ゆとり世代のスタッフたちと飲みに行く機会はなくなり、「薫陶」の時間は存在しません。
組織で部下の成長を促すためには、業務中どこかでその時間を持たなければならない。
そのことをメンターからアドバイスされたことが、毎回みんなの前で話をするきっかけになりました。
話の中で、一貫して僕が伝えたいことは、考え方の方法論、フレームワークです。
これはクセのようなもので、毎回毎回繰り返し実践してみてはじめて自分の身に付くものだと思います。
業務に関することの気付きを与え、モノの見方について少しでも共有できればと思って、毎週話しているのです。
昭和だったとはいえ、僕が若い時にそんな話をしてくれる先輩、上司はいませんでした。
自分が今その立場になって、自分が若い時に経験できなかったことをみんなに少しでも与えられれば、という気持ちで話しています。
フォントというのはその1つの事例に過ぎません。

imgすべての業務に当てはまる有効な思考プロセス。

フォントのテーマで僕が話した内容は、大体以下のような事柄です。

市場調査
ブランド成立に欠かせないのはフォントである。
フォントがもっとも使われている媒体を調べれば、フォントの今が見えてくる。

考察分類
雑誌に使われているフォントの事例を調べて、 どのような傾向があるか分類してみよう 。
発行部数が多い雑誌ほど影響力が強いはず。

結論
ターゲットや属性によって 使われているフォントは異なる。
そのセオリーを知ることができれば、 仕事上で迅速に利用できる。

imgLOOPという自転車雑誌、最近創刊されたフィナム。どちらにも活版テイストが見られます

img2年前に創刊された男性ライフスタイル誌THE DAYにもアナログな活版と手描きテイスト。

今回男性ファッション誌を主に検証してみました。
与件は、デジタルの反動としてアナログ技術が見直されている、世の中の流れとしてクラシック回帰、チョークアートなどに見られる手描きテイストなどが顕著になっているなどの事象が挙げられます。
アメリカンカルチャーの流行も大きな影響があるでしょう。

img今年4月創刊のクルーエル。サインアートとクラシックテイスト&手描き。

img上からUOMO、FUDGE、OCEANS。同じくセンター合わせのクラシックテイスト。

そんな視点で男性誌を色々見ていくと面白い共通点があることに気付くはずです。
デザインを感覚的に理解していても、実際にどんな事例があるのか、それをどんな際に使用すればいいのかを論理的に説明し、判断することはなかなか難しいと思います。
しかし収集して分類し、結論づけられれば、ある程度のことは見えてくる。
自分の業務に役に立つはずです。
その行動プロセスをみんな普段から実践して欲しい。

img男性誌で一番影響力を持つポパイ。手描きテイスト全開です。

今回取り上げた男性誌では、上記の与件であげた内容がデザインとして共通して実践されていることがわかります。
クラシックフォント、活版、手描き、センタリング
特にライフスタイルを取り上げている雑誌には顕著でしょう。
女性誌も調べてみれば、世代や内容によってフォントやあしらいが異なるはずです。
あとはセオリーを理解するために、ニーズごとの適切な選択軸を掘り下げていけばいい。
こうした行動プロセスを繰り返すことで、自分を常にバージョンアップしてもらいたいのです。

センスとは、誰にでも最初から備わっている才能ではありません。
求められた際に最適な回答を返すためには、情報の偏差値を上げることを常に怠らない努力が必要です。
それこそが「センスがよい」と言われることの正体なのです。

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