ディープな漫画家二世会

松本 知彦 for Private Time/2014.04.18/私の履歴書私の履歴書

僕の父は漫画家でした。
売れない、誰も知らない漫画家でした。
子供の時からそれが物凄いコンプレックスで、嫌で仕方がなかった。
しかし自分の持つアイデンティティは、間違いなくそこからスタートしています。
よい意味でも悪い意味でも、自分に一番大きな影響を与えたのは、父親でした。
クリエイティブと幸せ、そして経済活動。
やりたいこと、嫌でもやらなければならないこと。
それらが大人になって社会に出た自分にとって、人生における最も大きなテーマでした。

img手塚真さんと一緒に。

僕が仕事をしていくうえで、常に頭にあるのは父親のこと、そう、クリエイティブと経済活動によってもたらされる幸せについてでした。
長い長い間、そして今もそのことが常に頭から離れません。
最終的にどうなったら成功というのだろうか?いったい何のために働くのだろうか?
人によって、その問いに対する回答は違うでしょう。
特異な環境に育った自分にとって、こうした答えの出ない内面の葛藤を共有できる人を探すことはできませんでした。
共有も何も誰にも話せなかった。
父がみんなが知っている売れている作家だったら、自慢できる作家だったらよかったのに、と子供の頃には思いながら育ちました。

5年くらい前、とあるパーティで横山まさみちさんの息子さんに会いました。
僕が人生ではじめて会った漫画家の息子でした。
共通の話題などなくても、会った時から僕は彼にある親近感を感じていました。
ある意味、自分と共通の感覚を持っていたからです。
父親同士が知り合いだったというのも親近感を感じる要因でした。
もちろん僕の父親なんかより、ずっと有名な漫画家の息子なのですが、同じ職業に就いていた今はこの世にいない父親の息子、というだけで、共感できる感覚があったんです。
それが嬉しかった。

img真ん中が横山まさみちさんの息子さん

imgジョージ秋山さんの息子さんと。

彼から漫画家の二世だけが集まる二世会という会合があることを聞かされました。
一緒に行こうと誘われたんですが、そんな会に全然有名ではない漫画家の息子である自分が行くのは場違いだと感じ、、、、、、
でも、ひょんなことで知り合った上村一夫さんの娘さんにも誘われて、今回はこれも縁だと思って行ってみることにしました。
これが・・・・・・
すごい会でした。
店も壮絶でしたけど、来ている人も。
手塚治虫さんのご子息兄妹、赤塚不二夫さんの娘、ちばてつやさんの息子、水木しげるさんの娘、タツノコプロの娘さんたち、ジョージ秋山さんの息子、ビッグ錠さんの息子、そして前述の上村さん、横山さんなどなど、集まったのは漫画家の二世たちだけ20人くらい。
全員が二世なので、横山さんに会った時に感じたような親近感なんて感じる暇もなく、、、、同じ二世というだけで共通の感覚があるはずと勝手に思い込んでいたのは僕の思い過ごしだったのだと思いました。
一人一人とゆっくり話す時間もなかったので、そこまでわかりませんでしたが。
まあ、無名の漫画家の息子とレベルが違いすぎるので、彼らには彼らだけの共通感覚があるのかもしれません。

img赤塚不二夫さんの娘さんと「シェー!」

とても不思議な会でした。
みんなバラバラなのもそうですが、全員が全員異端な感じで、(自分含め)生きていくのは大変だろうなあと勝手に感じたり 笑
父親がビッグネームだと、その子供は大変というのはよく聞きますが、僕にとってはまったく有名じゃない父親の息子と比べれば、天地の差でいいじゃないかと。笑
前述しましたが、有名なら成功か?幸せか?という視点で見れば、単にそれがよいとも言えないという側面もあるかもしれません。
でも僕にとっては、それはやっぱり才能がある人がやり遂げた結果であり、そうした父親を持つことはその子供にとって葛藤はあるかもしれないにせよ、素晴らしいことだと思うのです。

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