「劇画バカたち!」フランス語版が出版されました

松本 知彦 for Private Time/2014.05.22/私の履歴書私の履歴書

先日、フランスから会社に段ボールが届きました。
なんだろう?と思って中を開けてみると、、、、これが父親の漫画でした。
父の本がフランス語版になったのでした。

imgフランスから届いたのは父の本でした。

img元となったのは単行本「劇画バカたち!」

元になったのは「劇画バカたち!」という作品で、父親が1979年から小学館のビックコミックに連載していたものです。
2009年に青林工藝舎から再販されました。
現在アマゾンでも買えますので、興味のある方は是非読んでみてください。

作品の内容は、まだ劇画という言葉がなかった1950年代、大阪の日の丸文庫に集まった若い漫画家たち、さいとう・たかを、辰巳ヨシヒロ、松本正彦の3人がそれまでのマンガに代わる新しいマンガを生み出すために、文字通り馬鹿のように夢と人生を賭けて打ち込むという、劇画誕生までの物語です。
厳密に言うと父親が「駒画」という名称とコンセプトを最初に考案し、それが2年後の辰巳さんの「劇画」につながり、最終的にはさいとうさんのゴルゴ13などの作品によって日本中に定着しました。
まるでバトンを渡しているかのようですが、3人の志向性がよく表れていると思います。
「劇画バカたち!」から16年後、辰巳さんも同じテーマで「劇画漂流」という作品を描いていますが、こちらも「劇画バカたち!」から着想を得ているのは間違いないでしょう。
作中には、巨人の星の川崎のぼるや楳図かずおなども出てきます。

imgこちら日本語の「劇画バカたち!」

img同じページのフランス語バージョン

img日本版と比べると、大きさも厚さも違います。

img表紙のデザインも。

しかし25年も前に描かれた作品がフランス語になるなんて。
フランス版は日本の単行本よりサイズが大きくて、ハードカバーで立派です。
日本のマンガは、フランスではアートとして見られるのでしょうね。
巻末にはさいとうさんのインタビューが収録されていますが、これもフランス語訳されています。
このさいとうさんの言葉に、クリエイティブと経済活動という、現在自分が抱えているテーマが出てきて興味深いです。
「自分は最初からプロの仕事としてマンガを考えていたし、そういう風にしか描けないが、松本や辰巳は自分が描きたいから描くという作家たちで、それがすごくうらやましかった。」
でも、結果的にたくさんのお金を手にしたのはさいとうさんだけです。
それが最終的に良いのかどうかは別として。

imgこちらもかなりのページ数。読み応えあります。

もう1冊、大阪のブレ―ンセンターから出版された「再び大阪がまんが大国に蘇る日」という書籍も、ほぼ同時に届きました。

こちらは貸本時代に隆盛を極めた大阪のマンガについて書かれた本です。
東京の大手出版社が参入してくる前、貸本漫画の時代までは、手塚治虫をはじめ、劇画もそうですが、関西から日本を代表するマンガ家や新しい表現が数多く生まれました。
この本はその時代のこと、大阪がマンガ表現・発信の中心地だった時のことについて書かれています。
冒頭、一番最初に出てくるのが辰巳さんと父親のインタビューです。
本の内容は、かなりマニアック。
マンガの研究者や相当好きな人でないと、ついていけないかもしれない内容ですね。
そんなに売れる本ではないと思いますが、1人でもこうした事実に触れて、興味を持ってもらえたら嬉しいです。

貸本・・・・駒画・・・・劇画・・・・
いま日本を代表する文化となったアニメや漫画、その源流を作った漫画家たち。
父たちが作ったこうした日本独自の文化を、一部のマニアックな人だけでなく、日本のたくさんの人たちに知ってもらいたい、今海外から注目される日本マンガの歴史、出発点を世界の人にもっと広く知ってもらいたい、そんな想いが最近、自分の中に起きています。
そのために海外でこうした劇画の展示を行えないだろうか?そんなことを今少しずつ考えはじめています。

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