なんと父親と2人で親子展を開くことになりました

松本 知彦 for Private Time/2016.06.23/私の履歴書私の履歴書

数年前、雑誌でイタリアの家具デザイナー、マリオ・ベリー二が息子と2人で1つの椅子をデザインしている記事を目にしたことがあります。
2人が共同で創作活動をしているのを見て、とても羨ましいと思いました。
同じDNAを持つ親子が、同じジャンルで、しかも1つの作品を共同で作るなんて、本当に素晴らしい。

imgまったくテイスト違いますが、正真正銘の親子なのです。

ビジネスでの共同経営などではなく、創作という感性が求められるジャンルで行われていることが本当に羨ましかった。
感性には上も下もない、だから師匠と弟子のように教える、教えられるという関係ではなく、並列で互いがリスペクトしていなければ、共同作業はできないと思います。
その記事を読んだとき、僕の父親は既にこの世にはいませんでした。

小学校の高学年の頃から、僕は父親と一定の距離を置くようになっていました。
それは父親の仕事が、売れない漫画家だったということが大きかったと思います。
学校でまわりの友達におとうさんは何をやっているの?と聞かれるのが本当にイヤだった。
ずっと働いている母を見て、僕は徐々に父の仕事について触れないようになり、また他の家とは少し違っていた家庭環境についても、徐々に人に話さないようになっていきました。
それはどこかで自分のコンプレックスにつながっていったように思います。
父との関係は決して悪くはなかったけれど、仕事に関してだけは一切話さない親子でした。

imgいま親子展の準備を着々と進めているところです。

芸術を志せば周りの人が必ず不幸になる、そんな刷り込みをずっと抱えて大人になっていきました。
僕のこれまでの人生を振り返れば、常に芸術と自分の距離の取り方が主題だったように思います。
それはまるで、父親と自分との関係をそのまま表わしているかようです。
僕は常に葛藤し、やりたいことと、やらなければならないことの間を行ったり来たりしていた。
そして本当に何が好きなのかもわからなくなっていた。
それは父親が亡くなるまで続きました。

それでも父親が亡くなる数年前から、徐々に父親のことを素直に見られるようになったと思います。
芸術には無限の可能性がある。
幼稚園で初めて学年で1人だけ賞をもらったとき、
小学校1年生で自分の絵が初めて新聞に掲載されたとき、
小学校の全校生徒が集まる前で朝礼台に登って何度も表彰されたとき、
絵を描いてみんなに褒められたとき、
中学校で東京都のコンクールで都知事から表彰状を手渡されたとき、
美大の予備校のコンクールで、現役生では珍しくベスト10以内に何度か入ったとき、
美術大学の入試に受かったとき、
いつも僕の小さな自信は、父親に教えてもらった美術につながっていました。
それは社会でどう生きるかではなく、生きていくために必要な小さな自信と勇気を与え、いつも僕を励ましてくれたのが美術だったということです。
僕はどう生きるかのことばかり考えていたけれど、本当に大事なことはそれではなかった。
父親はその素晴らしさを教えてくれた。
それがなければ、僕を励ましてくれるものなんて何もなかったかもしれない。
大人になるまでの間に経験した小さな自信が、僕の性格に大きな影響を与えている事は間違いないでしょう。

imgマンガの原画を見たことがない人もいるでしょう。今回貴重な原画も展示します。

img叫んでいるのは、父と共に活動したゴルゴ13で知られるさいとう・たかをさん。

今でも父のことをよく思い出します。
マリオ・ベリーニの記事を読んだとき、いつか父と2人で展覧会が開けたらなあと思うようになりました。
そしてもし父に会えたら、同じ美術の道を歩んできた父が、僕の年齢の時に何を考えていたのかを聞いてみたい。
そんなことを考えるようになりました。

チャンスは突然やってきます。
会社の20周年の記念行事で、父親と親子展を開くことになりました。
本人はもうここにはいませんが、彼と僕と2人で展覧会を開きます。
父親の作品が飾られた空間の片隅に僕の作品も存在する、共に見てもらえることが僕は嬉しいのです。
目指したゴールは違ったかもしれないけれど、同じDNAを持ち、共に何かを志した父親と息子。
人生ってわからない。
こうして小さな夢がかなうこともある。

imgこれは僕の作品です。親子で全然違いますが性格が出てますよね。

img僕の作品は販売してますので、どうぞ買ってください!笑

見ている人は何を感じるのかわかりませんが、いえ、僕がここに書いたことなどまったく感じないと思いますが(笑)、変わった試みだと思って見てやってください。
この世にいない自分の父親とその息子の競演を、息子自身が企画するなんて、世の中にはまずないでしょうから。
松本正彦、知彦親子展は、6月27日(月)から7月17日(日)まで。
代々木上原のファイヤキングカフェで開催されます。
http://tabelog.com/tokyo/A1318/A131811/13012564/


会社の20周年パーティがある7月6日(水)の時にも見られますが、期間中は普通のカフェなので、お茶を飲めば無料で誰でもいつでも絵を見ることが可能です。
是非皆さんお出かけください。
連絡もらえれば、僕がお迎えにあがります。
待ってますね。

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