アンヌ隊員の自由研究

松本 知彦 for Private Time/2013.10.07/私の履歴書私の履歴書

少し前に新宿の世界堂に行く機会があったのですが、そこで意外なものを発見しました。
「モナリザもあっと驚く世界堂」ですが、僕も口を開いて、あっと驚いてしまったんです。

長女のアンヌ隊員と世界堂に行ったとき、彼女が意外なものを見つけてきました。
それは父親のシルクスクリーン作品でした。
世界堂で売られていたんです。。。
今まで自分の作品を額装する際に必要なマットをオーダーするために、
何度も世界堂を訪れていたのに、そのことにはまったく気がつきませんでした。

imgこんなところに飾られているなんてまったく知りませんでした。

作品は随分前のものでした。
でも何だか長年会っていない古い友人に久しぶりに会えたようで、嬉しかった。
そして何より、この世にもういない父がまだ世の中とつながっているという事実を、いきなり目の前で実感できたことが嬉しかった。
子供が見つけてきたというのも、サプライズの要因でした。
「ミーミとその家族」という猫のシルクスクリーンのシリーズ。
このあいだ展示していた切り絵とはずいぶん作風が異なりますが、まぎれもなく父親の作品です。

imgミーミのシリーズはすべてシルクスクリーン

これを見つけたアンヌ隊員は、夏休みの自由研究には、この絵を描くと決めたようでした。
なぜこの絵を描きたいと思ったのかわかりませんが、僕はなんだか嬉しかった。
とにかく売場に置いてある作品を写真に撮って欲しいというので、その場で撮影しました。
家に帰ったあと、撮った写真を見せて欲しいというので、なぜ?と尋ねたら、自由研究として提出したいという答えが返ってきました。

その後、母親とフレームを買いに行ったようです。
フレームを買う目的で出かけたのか、たまたまその場で思いついて購入に至ったのかは聞いてないのでわかりませんが、ある日家に帰ると2つの新しい額が置いてありました。
夏休みの終わりの土日にアンヌ隊員、がんばって模写していました。

img

img水彩で塗って完成です

img

img背景がムッシュムラムラですが。笑

僕はリンタロの課題にかかりっきりで、アンヌ隊員の方はほとんど見てあげられませんでした。
先週、提出した自由研究を学校から持って帰ってきたようです。
先生からの表彰状が添えられていました。
なんだか、暖かくてちょっぴりジーンとました。
日常であんまりこんなこと思うシーンはないですよね。
アンヌ隊員が会ったことすら覚えていない自分のおじいさんの絵を描きたいと思う気持ちが、なんだか本当にとても嬉しくて、それを額に入れて飾りたいなんて、何かを子供は感じているのでしょうかねえ。
他の子供と比較できないので全然わからないのですが、子供のこういう気持ちって普通なのでしょうか。
単に絵が可愛いと思ったからなのか、自分のおじいちゃんの絵だからなのか、はたまた他に題材が見当たらなかったからなのか、動機はわかりませんが、子供は何かを感じているのかもしれないと、親バカながら勝手に思った出来事でした。

img作品の隣には表彰状が置いてありました。

「松本正彦 郷愁のきりえ展」終了しました。

松本 知彦 for Private Time/2013.09.24/私の履歴書私の履歴書

先週末をもってSPACE8で開催していた「松本正彦 郷愁のきりえ展」は無事に終了しました。
お越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。

img皆さん、勝手に画像アップしてすんません。。。

普段なかなか会えない懐かしい人にも、この機会にお会いすることができました。
いつもお世話になっている方々にも、貴重な時間を割いてわざわざ足を運んでいただき、本当にありがとうございました。
そして新しい出会いもありました。
たくさんの子供たちが来てくれたことも嬉しかった。

父の作品を見て「優しい」「暖かい」「作家の人柄がそのまま出ている」と言って下さる方が多いです。
確かに父親は静かな人で、とても温和な、ちょっと天然ボケが入っているような人でした。
お金にはまったく興味がなかった。
(だから家族は大変だったのですが・・・)

imgこれも全部切り絵です。黒い紙でつながってます。

準備は久しぶりの母親との2人だけの共同作業で、揉めたり色々ありましたが、でも今はやって本当によかったと思っています。
皆さんには感謝の気持ちで一杯です。

本来一人一人にお会いして直接申し上げなければいけないのですが、この場を借りて御礼を申し上げます。
皆さん、本当にありがとうございました。

SPACE8に小学生がやってきた!

松本 知彦 for Private Time/2013.09.18/私の履歴書私の履歴書

「松本正彦 郷愁の切り絵展」も今日を含め、残すところ3日となりました。
今週20日、金曜日まで開催していますので、皆さんお時間あれば是非お越しください。
今回は切り絵の技法について少し紹介したいと思います。

img展示してある作品の制作行程について説明します。

切り絵表現の基本は、絵柄を表現する黒い紙です。
バラバラに切り離されることなく、1枚の黒い紙を切り抜いて表現します。
当然、目、花、口など顔のパーツもすべてつながっている必要があります。
これが切り絵表現のむずかしいところですね。

1、 まず手描きで、表現したいシーンや構図をラフスケッチで決めていきます。
2、 ラフスケッチをトレーシングペーパーに写し取ります。
3、 トレーシングペーパーの下に黒い紙を敷いて、トレーシングペーパーの上から一緒に切り抜きます。

img

4、 トレーシングペーパーをはずすと黒い紙の出来上がり。
5、 黒い紙の裏側から、パーツごとに切った色の和紙を貼って完成です。

img

imgこちらが完成した作品です。

img父が使っていた彫刻刀です。

父親はこの作業に彫刻刀やピンセットを使っていたようです。
母の話によると、1枚作るのに1ヶ月くらいかけていたそうですから、細かい作業ですね
完成イメージのほとんどは黒い紙によって決まりますから、黒い紙の制作は重要です。

さて、そんな手間のかかる切り絵なのですが、先日リンタロの通う小学校の担任の先生と図工の先生が2人で展示を見に来られました。
展覧会の案内をリンタロが先生方にしたからなのですが、展示を見た先生たちは「図工の時間に生徒たちに是非見せたい。」とおっしゃられ・・・・・
1回あたり約40人の6年生の生徒たちが数回、図工の時間を利用して、SPACE8にやってきました。

img一回あたり1クラス40人くらいがやってきました。先生の話を聞いてます。

一人でも多くの人に見てもらいたい、と思っていた僕たちにとってこれはとても嬉しいことでした。
コメントを求められて、僕も切り絵について生徒たちの前で全員に話しましたが、なんだか教育実習を思い出しましたね(一応高校までの教員資格を持ってます)
あくまで授業の一環なので生徒たちは、切り絵を見た感想を学校に帰ってレポートにまとめるそうです。
どんなことを感じるのでしょうね。

生徒の一人に交じって、みんなと一緒にやってきたリンタロは、ここで与えられた30分に対して、「次は何かやらないの?みんな飽きちゃうよ。」を僕のところへ繰り返し言いに来て、、、心配そうでした 笑
でも最後に先生が「普段みんな飽きちゃうのに、こんなに鑑賞をきちんとできたのは初めてです。作品に力があるからですねえ」と言ってくださって、とても嬉しかったです。

imgみんな何を感じているのかしら。

先生も僕も、この切り絵の作家について、作家と自分の関係、そしてもちろん僕とリンタロの関係についても一切話しませんでした。
別に口止めされていたわけではないのですが。
僕のことをリンタロの父親だと思った生徒は、僕を知っている子だけでしょう。
ほとんどの人がリンタロと僕の関係、そして切り絵作家とリンタロの関係について知らない。

学校に帰って、図工の先生はリンタロにこう言ったそうです。
「リンタロくんのおじいちゃんだから、みんなを連れて行ったわけではないのよ、作品が素晴らしいから、是非みんなに見せたかったというのが理由です。」
よいコメントだなあと思いました。
リンタロと僕、僕と切り絵作家、それは子供たちには関係のないことです。

さて、あと3日しかありませんが、皆さん、近くに立ち寄った際には、ぜひ覗きに来てください。
お待ちしています。

松本正彦 活版ハガキ

松本 知彦 for Private Time/2013.09.12/私の履歴書私の履歴書

今digの3階SPACE8で「松本正彦 郷愁の切り絵展」を開催しています。
今日はこの展示に合わせて作ったカードを紹介しますね。

img1階のエントランスの壁にサインボードを取りつけました。

今回、展示に合わせて新しく2つのことをしたという話を前回のブログの記事に書きました。
その1つがビルの1階にサインボードを取り付けたこと。
その効果があって近所の人が何人か見えるようになりました。
これは意外でした。
アートに興味がある方は結構いるのですね。
その中に、切り絵作家としてではなく、漫画家としての父の名前を知っていて「この方は、あの松本正彦さんですか?偶然通りかかって・・・」とやって来られた方がいて、これには本当にびっくりしました。
サインボードがなければこんな出会いもなかったでしょう。
誰も知らない父のことを、こんな身近で知っている方がいるなんて驚きです。
人と人の出会いは大切ですね。
1人でも多くの方にお越しいただけたら嬉しいです。

img切り絵を作る行程はかなり大変。仕上げるのに結構時間を要したではずです。

そしてもう1つが活版でハガキを作ったこと。
切り絵というのは、黒い紙に様々な色の紙を貼って仕上げますが、言うまでもなく、黒い紙が表現のベースになっています。
黒い紙はパーツに切り離されることなく、すべてつながっていることが切り絵の前提条件ですが、当然黒い紙だけでも作品として成り立ちます。
父親の作品から黒い紙の部分だけを抜き出して、活版で印刷することを考えました。

活版は、言ってみれば鉛の版画と同じで、多色刷りにはあまり向いていません。
重ねるのは3色くらいが限界ですが、1色で表現する切り絵の表現にはぴったりです。
紙は、手で漉いた耳付きの和紙を福井県から取り寄せました。
耳というのは、機械で断裁していない紙の端っこの不揃いのことです。
手で漉いているので1枚1枚微妙に表情が違います。
そして活版も職人が仕上げるので1枚1枚表情も色も異なります。

img4色のセットです。

img写真ではわかりにくいですが、圧をかけて刷ってもらっているので凸凹です。

img和紙は1枚1枚カタチも厚さも違います。

imgこちらは通常のオフセット印刷

活版印刷の技術と和紙の組み合わせ。
こうした昔ながらの技術の組み合わせが、父親の暖かい作風に合うのではないかと思いました。
それが逆に今新しいと思ったからです。
春夏秋冬で色を変え、4色で刷ってみたところ、アナログの感じが出ていい感じに上がりました。
しかし、和紙も活版も人の手による作業が大部分を占めるために、1枚あたりの制作コストは通常のオフセット印刷より、かなり高くなってしまいました。
現物は展覧会で販売していますので、ぜひ見て触ってみてください。

imgはがきをシートに詰めている母とリンタロ。祖母と孫の共同作業。

ハガキができあがって、1枚1枚シートに詰める作業を、母と僕とリンタロの3人で行いました。
3世代で行う共同作業、こういう時間も普段あまりない貴重な時間ですね。

展覧会は今月の20日まで開催しています。
お時間ある方は是非お越し下さい。

最後の夏休み自由研究 2013

松本 知彦 for Private Time/2013.09.04/私の履歴書私の履歴書

またまたやってきました、この季節・・・
以前からこのブログを読んで頂いている方なら察しがつくと思います。
そう、夏休みの自由研究です。。

img夏休み最終日、21時の状態です。ここからスタート。

今まで2回、自由研究のことをこのブログに書いてきました。
去年は沖縄小浜島の海
http://blog.10-1000.jp/cat36/000790.html
一昨年がバリ島のアマンリゾートのコテージ
http://blog.10-1000.jp/cat36/000510.html
一と、今までその年の夏休みに行った場所をテーマに選んできました。

ちなみに3年前は現地から持って帰ってきた砂で作ったオアフ島のビーチでした。
しかし、今年は受験勉強のためどこへも行っておらず、、、箱根の富士屋ホテルには行きましたが、建物が複雑すぎて、作れない。。(別に毎年模型を作らなくてもいいのですが、なぜか本人は模型を作りたがります)

今年はリンタロの小学校最後の自由研究。
毎日の塾通いで、工作に当てられる時間はほんの数日しかありません。
相変わらず本人、ギリギリまで手をつけない。
やっと選んだテーマが、、、、digビルディングでした。
そう、僕が毎日働いているdigのオフィスビルです。
別に僕が提案したわけではなく、本人がこのお題を選びました。

img上が2階、下が3階のミーティングルーム。棚の上にTVが乗ってます。

毎年教えてきたことを守って、今年は設計図を自分で書いて、ある程度パーツを先に作り始めていました。
でも時間がありません。
3日くらい前になって、仕方がないので自分も手伝うと伝えたものの、会社の歓迎会で酔って帰って家ですぐ寝てしまったり、、、コンペの提案書作りで早い時間に帰れなかったり、、、(何時に帰ってくるの?というリンタロからのヘルプメールが何通も届いたのに・・・・)全然手伝えない状態のままで夏休み最終日になってしまいました。
去年はあまり手伝いませんでしたが、今年は最終日にヘルプに入らないと間に合わない状況。
ここからスパートです。
ビルにはフロアが3つあります。
なので屋上含めると床を3枚作らなければならない。
リンタロの計画では、2階(僕が働いているフロア)と3階(SPACE8)の内装も作ることになっていて、既に家具が設置されていました。
そしてリンタロが一人でハンズに行って買ってきた豆電球を2階に仕込むという計画なのです。

img複雑な外階段は手伝いました。でも階段の段はリンタロ作。

外階段の構造が複雑で一番難易度が高いため、ここは僕が手伝いました。
あとはもう流れ作業で。。
時計を見ると3時を回っていて、何度かリンタロに、もうあきらめて先生に言って月曜にしてもらえと言ったのですが(始業式は金曜だったので、提出を月曜にすれば土日に作れる)、まったくあきらめる気配がなく、「絶対にダメだ」とゆずらないのです。
勉強とまったく違って、この集中力、最後まであきらめないこだわりは、いったいどこから来るのでしょうか?
自分も夏休みの工作はがんばりましたが、こんな深夜まで作った記憶はありません。
ま、それも本人の計画性のなさと言ってしまえばそれまでですが、今年は今までと違って塾に時間を取られて、作る時間がほぼなかったという点は、大目にみてあげましょう。
しかし、勉強する時とやる気が本当に違いすぎるこうした彼の姿を見ていると、受験なんかやめて、好きなことをやらせた方がいいと、やはり感じずにはいられませんでしたね。

imgそれぞれの壁を貼り合わせてビルのカタチに。窓には透明の板が入ってます。

img3階の屋根は取り外し可能。2階にはライトがつくようになってます。ちなみに一番上の写真左側の空間はSPACE8。壁に作品がかかってますね。

4時を回り、5時を回り、気がつけば6時に・・・・
当初1階にある駐車場部分も作る予定でしたが、時間切れです。
外観はただの四角い箱なので、見た目は地味な作品になりました。
でもフロアごとにインテリアが作り込まれていたり、電球が仕込まれていたり、何しろフロアの内装をやった時の平面図を参考に、リンタロが壁やフロアを作っているので、スケール感が建築模型っぽくなりました。
地味かもしれないけど、リアリティはあるのじゃないかと思います。

img完成!実際の建物と比べてみましょう。スケールぴったり。

毎年、部分を作ることよりも、全体のプランや行程を決めることが一番重要だと言っているのですが、工作を通して今年も何かを感じてくれたかなあ。
夏休みの自由研究は、普段彼が経験できないことを唯一経験できる大切な時間だと思っています。
自分の好きなことを好きなようにやっていい。
最終ゴールが彼の頭にイメージされていたからこそ、あきらめないと言ったのだと解釈しましょう。
それはとてもいいことだと思っています。
(今の年齢なら)

こうした経験が大人になる途上で、彼の人格形成によい影響を与えればいいですね。
僕も父親から、こうした小さなこだわりによる達成感をアートを通じて教えられました。
小学校のとき僕が父親からしてもらったこと、気が付けばそれを今度は自分がリンタロに無意識にしているのです。
彼がそんなことを感じなかったとしても、大人になってから「しかし、オヤジは翌日会社があるっていうのに、よく6時まで手伝ってくれたよなぁ」と、どっかで思い出して欲しい 笑
最後の自由研究、今年もよくがんばった。
お疲れさん。

img2人で朝焼けを見ました・・・それは特別な時間。そしてリンタロは2時間後に登校・・・・・汗

父親の展覧会 始まりました

松本 知彦 for Private Time/2013.09.02/私の履歴書私の履歴書

今日からdigの3階にあるSPACE8で「松本正彦 郷愁の切り絵展」がはじまりました。
毎週、土日に母親と2人でこの展覧会の準備を進めてきました。
工事の関係で、まだ一部準備が間に合ってないのですが、どうにか絵は飾ることができました。

img

img展示している会場の様子

前回このブログにも書きましたが、今まで父の作品を購入してくださった方から一部作品をお借りして、切り絵作家としての活動の全貌を振り返るような展示内容にしています。
もちろん、スペースの関係で作品すべてを展示することはできませんが、今までの展覧会を企画運営してきた母親が展示する作品をセレクトしており、ベストセレクション的な展示内容になっています。
購入された方から作品をお借りして集めたこのような企画は、これが最後かもしれません。

猫、花、風景、人、そして現代的な少女、今まで作品には色々なテーマがありました。
その中でもやはり多いのは風景で、今回も風景がメインの展示となっています。
心の原風景とも言える日本の四季が描かれた作品を集めてみました。
風景の中に描かれた人にはなぜか、父親が出てきません。
その理由は僕も聞いたことがありませんが、幼くして父親を亡くした父にとって、その情景を描くことはむずかしかったのかもしれませんね。

img色々な切り絵の作品があるのですが、風景をメインに集めました。

この展覧会を開くにあたり、新しいことを2つしています。
1つは、活版で新しくハガキを作ったこと。
こちらについてはまた後日、このブログで詳しく紹介したいと思います。
2つめは、ビルのエントランスに展示内容を知らせるサインボードを取り付けたこと。
このビルの前の通りは、結構人通りが多いので告知した方がよいかもしれないということ、そして駅から1分とはいえ、訪れた方にわかりやすいようにということで。

さてそんなわけで、展覧会は本日から20日まで休みなしで開催します。
僕は打ち合わせがない時は、2階のオフィスにおりますが、それ以外、休みの日はできるだけ、会場にいたいと思っています。
土日もやっておりますので、皆さんお時間ありましたら、何かのついでにぜひ一度覗きにきてください。

img打ちっぱなしのビルのサインが目印です。

SPACE8 松本正彦展覧会

松本 知彦 for Private Time/2013.08.28/私の履歴書私の履歴書

オフィスがあるdigビルディング、その3階、スペース8で前回行われた松本知彦ブログイラスト展に続き、今回松本正彦の切り絵展覧会を開催することになりました。
そう、名前が似ているので、既に察している方もいると思いますが、僕の父親の展覧会です。
父親は漫画家として活動したのち、切り絵作家に転向、晩年は色々な場所で個展を開いていました。

img

そんな父親の展覧会をなぜここで?
こんな時代にウェットな話で大変に申し訳ないのですが、息子が作ったギャラリーを見たらきっと喜ぶだろうなあ、と母がポツリと言ったことがきっかけで、今回の展示の実現に至りました。
母と僕の2人で企画、準備を進めています。
自分のお母さんと2人きりで時間を過ごすことも、最近ではかなり少なくなりました。
母も年を取ったなぁと最近感じています。
親子でも普段、なかなか2人きりの時間は取れませんよね。
父親の展示の準備を通じて、母と2人だけの時間を持つことは、家族、自分が育った背景、母親と息子というユニットを実感する貴重な時間でした。
大事にしなきゃとわかっていても、母親との会話もだんだん面倒になってきている自分を見て、こんな時間を父親が与えてくれたのかなぁなどと感じています。

img名刺をもらった方に出したメールマガジンです。

この場所で開催するなら、松本正彦の作家活動のベストコレクション的な内容にしよう。
今までのギャラリーでやってきたような、販売を主な目的とはせず、主旨を変えて、父親の切り絵作家としての経歴・全貌を振り返るような内容で構成しようと思いました。
そのためには、今まで父の作品を購入していただいたコレクターの方に頼んで、手元にない代表的な作品をお借りすることからスタートしなければなりません。
幸いにも快く貸していただくことができたので、今回の展示は無事行うことができそうです。
それ以外に、インターネット掲載用に、リストを作って、写真を撮影して・・・とまたまたこの作業が結構大変で。。
夏休みの多くの時間をこの作業に使いました。

img家からたくさんのフレームを持っていかなければなりません。

img飾り付けも母と2人で行いました。

父親はもうこの世にはいません。
生きている時に2人で展示をやってみたかったですね。
僕が先日息子と2人でバンド演奏をやったように、父親と話しながら作品を作ってみたかった。

息子としては自分の作品展示のすぐ後に父親の展示なんて、ちょっと恥ずかしいのですが、感性もセンスも異なる父親の作品、暖かく見ていただければと嬉しく思います。
父の作品は今働いている人たちの若い感性とはきっとズレていると思いますが、それも普段ブログ書いてる松本の親父ってこういう作品を作っていた人だったんだ、という気持ちでどうか暖かく見てやってください。
誰でもウェルカムな展示ですから、皆さん是非気軽にお越しください。
松本もおりますので。

詳細はこちらから↓
http://space8.jp/schedule/2013_02/

img場所は代々木上原の駅前すぐです。

平田弘史さん文部科学大臣賞受賞を祝う会

松本 知彦 for Private Time/2013.07.29/私の履歴書私の履歴書

少し前になりますが、父親の作品の多くを出版していた大阪の出版社、日の丸文庫で、同じように作品を描いていた平田弘史さんが日本漫画家協会賞文部科学大臣賞を受賞されて、その祝賀パーティへ行ってきました。

img左が平田弘史さん、右が司会の高信太郎さんです。

平田さんご本人にお会いするのは初めてでしたが、作品だけは見たことがあって相当に絵のうまい人だなと思っていました。
時代物を専門に描いている漫画家さんです。
ご本人も作品から抜け出たような、武将のような風貌で(ちょんまげをしているし)、見てすぐに本人だとわかりました。
平田さんは父のことを知っていると思いますが、父が東京に出てきてしまったあとに、日の丸文庫があった大阪で作品を描いていたので、直接会って話したことがあるかどうかはわかりません。

img2004年に復刻された1962年の絶版「血だるま剣法」

img時代物ならではの力強い絵のタッチです。

そのパーティの席で、上村一夫さんの娘さん、横山まさみちさんの息子さん、そして僕の3人が、作家の2世ということでまとめて紹介されました。
他のお二人と比べると、父だけメジャーではなく、少しだけ肩身の狭い想いをしてたのですが・・・・
当日の司会をされていた高信太郎さん(TVにも出てるので知ってる人も多いでしょう)が、父の作品の1つ、鼓京介シリーズという探偵漫画を引き合いに出して、絵だけはうまいがストーリーがヒドイ漫画家がたくさんいた当時の貸本漫画の中で、松本正彦の作品は本当に考えられたストーリー構成で、こんなにちゃんと考えている人もいるんだと毎回感じた、という話をされて、僕が紹介されました。
それを受けて話したこと、ちょっと内容忘れちゃいましたが、本当にモノを作るということは素晴らしい、皆さんとお会いすることができたのも父がモノ作りをやっていたから、というような話をしたんですが、今のスピーチがまさに松本正彦の作品そのものですね、と言われて、、、
でも会ってお話をしたこともない高信太郎さんが、父の描いた作品の名前まで憶えてくれているということに、本当にびっくりしてしまいました。
50年以上前に描かれたシリーズなのに。

img上村一夫さんの作品では「同棲時代」が有名です。

img男子ならみんな知ってる、横山まさみちさんの「やる気まんまん」。日刊ゲンダイに27年間連載されました。

img横山さんの息子さん、時々会う機会があります。同じ境遇で共通点が多いです。

でもパーティがパーティだけあって、集まっているほとんどの方がうちの父のことを知っているのです。
いつもこうした会に参加するとびっくりしてしまうのですが、僕は父のことを実は何も知らなかったのではないか?と今になっても感じてしまう。
「お父さんを尊敬していましたよ、握手してください。」
「松本さんの作品、大好きだった。」
そんなことを色々な人に、特に同時期に活躍した作家の方に言われると、とっても嬉しくて、、、、でも反面、父のことを知っているという人が、世の中にそんなにいることが不思議でたまらないのです。
握手って、、父はそんな存在だったのだろうか?と考えてしまうのです。

こうした会で同じく作家の下元克己さんを知り、 今回は元さいとうプロの甲良幹二朗さんを知りました。
そしてこの会場で、父のこれまた60年くらい前に描かれた作品を自費で出版させてもらえないか?という話を持ちかけられて、、、、
この気持ちは他人にはきっとわからないと思うのですが、息子としては不思議でならないのです。
父親としての姿しか知らない僕にとって、そんなことを言われるのは本当に驚きなんです。
いやとっても嬉しいんですよ、でも、やっぱりどうしても不思議な感覚があります。
僕が知っているのは、いつも優しく絵を教えてくれた父の姿、そして経済的に困窮した家庭、それだけです。
モノ作りを職業として選んだ父親がこの世にいなくなった今も、こうして色々な方から父の話を聞ける機会があると、その度にモノ作りは素晴らしいと感じざるを得ません。

息子と父親の関係というのは、近いようでこんなものなのかなあ。
僕は自分の子供にいったい何を残せるのだろうか?

クリエイターの遺伝子

松本 知彦 for Private Time/2013.07.19/私の履歴書私の履歴書

先日少しだけ驚いたことがあったので、ここで少し書くことにします。
それはリンタロのことなんです。

リンタロが通う小学校は、6年生の8割以上が中学受験をします。
今年の卒業生も約半分が、他の学区の中学へ進みました。
僕も知りませんでしたが、今の公立の小学校はこんなにも受験をするのですね。
リンタロもみんなと同じように、一応は中学受験をする予定で、塾に通ってはいるのですが、本人には全く勉強する気がありません。。。
低学年の時は、100人いたら成績は必ず10位以内には入っていたリンタロも、みんなが勉強を始める高学年になればなるほど、みるみる成績は下がり、、、今はもう下から数えた方が早いくらいに落ちてしまいました。
勉強が嫌で仕方がないと言ってる人に、無理矢理やらせているのだから伸びるわけがありません。
伸びる子は勉強が好きで、結果を出すことに喜びを感じる子です。
塾に通わないで(!)、地方から現役で東京の優秀な大学に入った奥さんの遺伝子は受け継いでないようです。
毎日毎日勉強しろと言われている息子の姿を見ていると、小学校の時、同じように母親から勉強しろと何度言われても、まったくやる気が起きなかった自分を見ているようで複雑な気持ちになります。
自分も高学年になってみんなが勉強を始めると、上位だった成績は次々抜かれていきました。
でも時代は違いますからね。
僕たちの時は8割も受験はしませんでした。
ほとんど全員が同じ学区の公立中学にそのまま進学していた時代です。
今日も「成績が落ちて悔しくないのか?」と言われても、まったく悔しさを感じていないリンタロなのでした。

img「渋谷区民のつどい」の会場の模様です。

img渋谷区の各学校代表の作品が飾られています

さて、そんなリンタロの作った切り絵が、先日学年代表に選ばれて区民会館に展示されました。
先週見に行ってみると、、、
これは、、、、う~ん。
自分の父親を思い出さずにはいられませんでした。
切り絵というジャンルのせいもあるでしょう。
まず白い紙に下絵を描き、絵の具で色を塗り、そこに切った黒い紙を貼るという単純な工程。
当たり前ですが、黒い紙は全部つながっている必要があります。
テーブルクロスの上に置かれたマスカット。
これにはちょっとびっくりしました。
リンタロは切り絵なんて誰にも習っていないのです。

imgリンタロ作「テーブルの上のマスカット」だそうです。

imgリンタロのおじいちゃん(僕の父)、松本正彦作の切り絵作品です。

自分も小学校の時、美術で何度も表彰されました。
でも今のリンタロと違って、もっとたくさん時間があったし、自由で好きなことに時間が使えました。
毎日好きな時に本を読んだり、絵を描いたりしていられた。
リンタロは今までも何度か学校の代表に選ばれて、松涛美術館に絵が展示されたこともあります。
しかし、学校の授業以外で彼に絵を描く時間はまったくありません。

8割が受験をする世の中で、それをせずに好きなことだけをさせることはよい結果につながるだろうか?
職人になるならそれもいいかもしれません。(アーティストではないですよ)
でも美術大学に進んだ自分が痛感するのは、絵だけ描けてもダメだということです。
自分の父親を見てもそれは明らかです。
リンタロが将来どういう道に進みたいのか、まだわかりませんが、もし美術に関わることを希望するなら、形はどうあれアートを通してビジネスすることを学んでほしいと思います。
それは今までと同じような、僕が受けたような学校教育では得られません。
自分で学びとるしかないのです。
社会から学び取る力、それにはやっぱり勉強で、ある程度アタマのCPUを早くする訓練をしておく必要があるでしょう。
よい学校に入ればその力がつくとはまったく思いませんが、地アタマを鍛える必要はあると思います。

僕は大人になるまで、勉強がどうしても好きになれませんでした。
大学受験の時も実技ばかりで、勉強はしなかった。
母親に勉強しなさいと怒られていた時、いつも父親は黙っていました。
今の自分のポジションもそれと同じです。
でも勉強もできて、アートもできる、それが自分が憧れるカッコいい男子だと思っています。
それがアーティストであっても、新しいこれからの時代に求められることでしょう。
自分のことは思い切り棚にあげて、、、、かもしれないけれど、リンタロ、がんばって欲しいです。

リンタロのギターレッスンはじまる

松本 知彦 for Private Time/2013.05.31/私の履歴書私の履歴書

今年になって、なぜかリンタロがギターをやりたいと言い出しました。
なぜにギター?
以前はトランペットがやりたいと言っていたのに。。

img

同じマンションにギターを習っている外国人の子がいて、それを見て感化されたようです。
その子と同じ先生にギターを習うことになりました。
その先生・・・・・実はドクター中松さんの息子さんなのです。
そして、このギターの先生、100%日本人の子供を教えるのはリンタロが初めてという(教えているのは全員外国人)、、なんともレアな習い事となりました。

さて、買うギターは何にしよう?
リンタロのリクエストはアコギじゃなく、エレキ。
う~ん。。。。いきなりエレキから入っちゃうの??
お父さんたちの感覚ではアコギで練習したあと、ある程度弾けるようになってからエレキなんだけど・・・
みんなそういう道を通ってきたんだけど、今は違うんですね。
辛気臭いフォークやるんじゃねーんだからアコギなんてしゃらくせーぞ、ロックやるなら最初からエレキだろ、みたいな感覚でしょうか。
驚くべきことに今の世の中、ネックが短い子供用のエレキギターというものがあるんです。
お父さんたちの時代にはショートスケールしかなかったのに。

img子供用ギターがあるんですよ。

img弁当箱のような小さいアンプ。VOXっていうのがいいですね。

小さいリズムボックス付きのアンプも一緒に買って、リンタロ練習しています。
毎日勉強、勉強で、今ではギターだけが彼にとって唯一の愉しみとなってます。汗

練習曲の一発目は50年代のヒット曲、ギターのリフ(繰り返し)で始まるピーターガンから。
続いてハッピーバースデーの唄。
ある程度弾けるようになったら、そのあとはスタンドバイミー。
今ってコードから習わないんですね。
エレキギターだからかな。

しかし習い始めて2ヵ月、スタンドバイミーは前奏からリードまで全部一人で演奏できるようになりました。
これにはちょっとびっくり。
先生も上達が早いって言ってましたが、習得早くないですか?
やっぱり勉強から逃れるためという理由かもしれませんが(笑)、しがみついてやってるだけのことはあります。
でもこれにはホントにびっくりしました。

imgリンタロが練習している譜面。6本の線はギターの弦を示しています。

そんな中、土日にリンタロから提案が。
「今度習っている子供たちが出るライブイベントがあるんだけど、それに一緒にバンドで出ない?」
ええ??
それを聞いたのはスタンドバイミーがまだ全然弾けないレベルの頃、習い始めて1ヶ月くらいの時でした。
「いま曲もろくに弾けないのに、ライブなんかできるわけないだろ?」と言ったところ・・・・・
泣いちゃったんですね。
そんなにギターが弾きたいのかと改めて思って、自分の言ったことに少し罪悪感。
ごめん、リンタロ。

img小学生でエレキギターを弾く子はどのくらいいるのでしょうね。

でもスタンドバイミーの演奏が、どんどん上達するのを見ていて、これはできるかもしれないと、あとから少しずつ思うようになりました。
聞くと、ライブはもうすぐだとのこと。
ギター習い始めて3ヶ月で、人前で、しかもバンドで演奏できるのか?!

まあ、スタンドバイミーだったら毎週練習しているし、コードも4つしか出てこないので、まあまあできるかな。
リンタロが言うには、ライブで演奏する曲は自分で選んでいいことになってるとのこと。
ある日家に帰ると、
「ライブで演奏する曲決めたよ」
「ん?何にしたの?」
「えーっと、シュガーベイブのダウンタウンにした」
「・・・・・」
ちょっとー、、、小学生とは思えない、その通な選曲は何??
ギターは山下達郎ですよ。。
ジャジーで、大人でも相当むずかしい・・・
「ドラムは大丈夫ですか?って先生が心配してたからね、練習しといてねー」
おいおい・・・・・心配すべきはドラムより自分のギターなんじゃね~の?

あとで聞いたらリンタロ、この曲が大好きらしいです。
しかし、こんなことになるなんて。
高島忠夫一家のように親子でバンドなんて、本当にできるのだろうか??
ライブはもうすぐ・・・・

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