新宿伊勢丹 リモデル

松本 知彦 for Private Time/2012.12.11/東京東京

新宿伊勢丹のリモデル(改装のこと)の第1期がほぼ終ったと聞いて、早速行ってきました。
メンズ館は8周年の時に3階のインポートフロアを、そして今年の9周年で8階のレジデンスにサロン・ド・シマジがオープンしたくらいで大きな改装はありませんが、本館は色々変化があります。

まず元々3階にあったヘアケアやアロマを専門に扱ったスペース、ビューティアポセカリーが地下2階に移動。
地下2階は以前から、BPQCの失敗、F1層を取り込もうとしたISETANガールもイマイチ、と鬼門になっていましたが、このビューティアポセカリーでやっと花開いた感じがします。
確かにB1の食料品より、さらに下のフロアに服を見に行くというのは、なかなかハードル高いです。
買い回りでなんとなくというくらいの動機では、食料品を超えて地下2階まで足を運ばないでしょう。
ビューティの専門フロアとすることで目的が明確になり、意思を持った顧客をエスカレーターに乗せることに成功していると思います。
しかし、食品売場から階段を降りるとコスメの香りが漂ってきて、食品からコスメの距離が近いのにはちょっと戸惑いますね。
ほとんどの百貨店は1階がコスメ、B1が食品売場ですが、気にならないのは香りが上に立ちのぼるためだと思います。
フロアが逆になると、階段にも下のフロアの香りが漂います。
ま、そんなこともありますが、とにかく鬼門であったB2はビューティのフロアにして、僕は大正解だと思いました。
制服も全員ロゴ入りの薄いブルーのワンピースになって、こちらも正解。
以前は白いムチムチのTシャツにパンツで、太った人とやせてる人が如実にわかってしまって、なんだか露骨な感じもしましたからね。
男子目線ですけど。

その昔シンデレラシティという名前がつけられていた20代前半をターゲットにしたヤングカジュアル専門の2階は、まだリモデル途中だったのでそこは飛ばして、ウワサの本館3階に行ってみました。
なるほど。
インテリアの仕事っておもしろいですね。
天井高、柱などの嶇体、エレベーター、エスカレーター、階段には手を加えることなく、以前とまったく同じ広さで、いかに印象を変えるか。
内装を変えるだけでこんなに変わるのですね。
別の百貨店みたいです。
なんだか、大人の遊技場、テーマパークのようで見ていて楽しいです。
ちょうど先週バレンシアガのクリエイティブディレクターに大抜擢されたアレキサンダー・ワンをフロントに持ってきたり、エッジの効いた旬のブランドが目立つところに集められています。

img1フロアに色々な戦略が詰まってます。

ゾーニングもそうですが、一番変わったのは天井と床だと思います。
各ゾーンはテーマごとに床が色や素材によって切り替えられていて、その異なる仕様がおもしろかった。
たくさんのスチールパイプがぶらさがる天井には、それを反射させるために敷かれた黒い石の床だったり、蛍光灯の照明で天井も床も白いエリアがあったり。
変化があって楽しいです。

imgさすがにプラダは並列ではなく、独立店舗。新しいインテリアは見やすく、カッコ良いです。

img元クロエのデザイナー・フィービー・フィロが手掛けるセリーヌは松本のオススメ。イケてます。

以前のリモデル時から積極的に行なっている、ブランドごとに区切らない並列の商品配置、直線的でない導線設計がここでも見られます。
そして3階での特徴的な戦略は、ReStyleのスペースをかなり広げたことでしょう。
フロアの3分の1くらいあるのじゃないでしょうか。
ReStyleは、まだ世間で認知されていないエッジーなブランドを伊勢丹の目利きMDが集めて販売するというコンセプト。
いわばセレクトショップです。
このスペースを広げることは、伊勢丹が他の百貨店のようにテナント貸しではなく、自らの編集力で勝負しようとしているのが、如実に伝わって来るフロア配置ですね。

img新設されたリスタイルギフトではスノードーム特集やってます。スノードーム好きです。

慣れないせいもあって、また人も多くて全体のロケーションがつかみにくく、キラビヤかな迷路のようでもありました。
それがまたおもしろいのかもしれませんが。

imgBISTRO CAFE LADIES & GENTLEMENは、今のトレンド満載です。

imgここを目指して来る人確実に増えると思います。フロアの一番の見どころだったりして。

そんな本館3階でのもう一つの見どころは、カフェ「BISTRO CAFE LADIES & GENTLEMEN」です。
このカフェスペースも、床と天井が他の売場と違っていて独自の雰囲気になってます。
天井にはアンティークの木、床にはモザイクタイルが貼られて、タイルは通路から店の中まで続いています。
もちろんカフェは屋内のフロアにあるわけですが、屋外の街角にあるような感じがするとてもよい空間を創り出しています。
インテリアが時代のトレンド感にあふれていてカッコよいです。
プロデュースはトランジットの中村氏。
やっぱりねえ。。
インテリアや料理に作り手側の戦略スキルの高さを感じます。
伊勢丹出身の中村氏を起用して、伊勢丹をさらに活気づけるなんて伊勢丹は懐深いですね。
フードプロデュースはフレンチビストロの第一人者である木下威征氏、ケーキプロデュースはパティスリー「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」の青木定治氏が担当だそうです。

img躯体の柱についてるカフェ専用のライトがカッコいいデザイン。

4階もちょっと見ましたが、ジュエリー専門フロアになっていて、ピカピカの床でこちらもまばゆい感じになっていました。
シャネルが3階と同じ場所にもう1店舗できてます。
やはり数字が取れるブランドの面積を広げているのでしょうか?

しかし伊勢丹は今回のリモデルに100億円を投資するそうです。
百貨店の売り上げは15年連続で減少、今後もさらに減り続けるのは確実な中で、これだけ勝負に出るというのは公算あってのことでしょう。
伊勢丹新宿の売り上げは11年3月期で約2194億円。
これは日本の百貨店で最大ですが、それでも前期に比べると約2%の減収。
このリニューアルによって売場面積は12%減るけれども、今後売上を毎年5%伸ばすと宣言していますが、この一見矛盾するような戦略が3階のフロアリニューアルのあちこちに見てとれます。

伊勢丹が掲げるスローガンは「毎日が新しいファッションの伊勢丹」。
伊勢丹新宿が終れば、やっぱりファッション全体が終ってしまう気がします。
この企業スローガンを守るべく、次の手を打たなければならないのだと思います。
がんばれ伊勢丹。

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