虎の門 ホテルオークラ ロビー

松本 知彦 for Private Time/2014.10.06/東京東京

東京で一番好きなところはどこですか?と聞かれたら、国立代々木体育館、新宿のパークハイアット東京、上野の不忍の池と並んで、僕はここを挙げるでしょう。
本当にカッコいい場所。

img流れる空気が好き

この場所が好きな理由はいくつかありますが、個人的には007からの影響が大きいです。
以前このブログでも紹介しましたが、1960~70年代に公開された初期007映画のインテリアを手掛けたドイツ人デザイナー、ケン・アダムのセットを地で行くようなインテリアが本当に魅力的。
「映画はB級でこっちが本物だ!」と怒られそうですが、海外から見たジャパニズム、日本様式をモダンに解釈し、和洋折衷で見事に表現したインテリアが本当にカッコいい。
子供の頃、そんなインテリアに映像で最初に触れた自分にとって、映画と同じ空間がリアルに実現されているロビーを大人になってから見た時はホントに驚きでした。

imgホテルの外観もカッコいい。ホテルのパーキングは玄関前の青空駐車場。

ホテルオークラのロビーの設計は谷口吉郎によるもの。
ニューヨークのMOMAの設計を手掛けたことでも知られる谷口吉生のお父さんです。
1962年、東京オリンピックに訪れる外国人を迎えるために建てられました。
やっぱり60年代に生まれたデザインは最高ですね。
007の劇中セットもそうですが、根底に流れるモダニズムの感覚が素晴らしいです。
オークラランタンと呼ばれる首飾りをイメージして天井から吊られた照明、
1つのテーブルにセットされた5つの椅子は、上から見ると梅の花に見えるよう計画された長大作のデザイン、
そして柔らかい光で美しい陰影を作り出す大型の障子、
本当に見事です。
SPACE8の展示のためにスペインからやってきた友人の現代美術作家たちも、ここは東京で必ず見るべき場所とのことでした。

img天井から下がっている照明が首飾りをモチーフにしたオークラランタン。

img障子から柔らかい光が漏れてきます

img上から見ると梅の花に見える椅子。そしてスペインチーム。

2階まで吹き抜けになっていますが、実際に座ってみると静かで落ち着いた空間です。
通常ホテルのロビーはラウンジ、カフェになっていることが多いですが、オークラはただ椅子が置かれているだけで何のサービスも機能もない広い空間で、美術館のようです。
建築主の大倉喜七郎は50年前、ホテルの設計を谷口吉郎に依頼する際、「藤原期の雅を建築によって再現せよ」と言ったそうですが、本当に素晴らしい空間になってます。
そして最後の貴族の意地として、帝国ホテルを超えるホテルを作るという意気込みがありました。
依頼者とそれに答える設計者の真剣勝負がここに結実しているのです。
本館より小さいですが、別館にも同じデザインのロビーがあります。

img世界各国の時間が見られるという60年代っぽい仕掛けのパネル。

しかし先日このホテルを壊して、新しく建て替える計画が発表されました。
2020年に開かれるオリンピックで多く訪れるであろう外国人向けに高層ホテルに建て替えるようです。
これは、、、、まったく残念でなりません。
このロビーだけは残して欲しい。。
壊されてしまうなんて本当に残念です。
せめてもの救いは、手掛ける建築家が谷口吉郎の息子、谷口吉生だということです。
もう取り壊しが決まってしまった今、あとは谷口さんがどこまで父親の仕事を残して再構成してくれるのか、その完成を待つしかありません。

こんなサイトもあります。
ホテルオークラの保存を訴える署名サイトです。
ホントにこのホテルのロビーを失うのは日本デザインの損出だと感じますね。
http://savetheokura.com/

img夕方も美しい。

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