銀座伊東屋の新しいビルが本日オープン

松本 知彦 for Private Time/2015.06.15/東京東京

うちの会社、老舗企業のリブランディング業務を手掛けることも多いのです。
コンペだったり、提案だったり、受注経緯は様々ですが、過去にも何度か担当したことがあり、老舗文房具店として知られる銀座伊東屋もその1つです。
銀座本社ビルが完成したタイミングで、先週末一足先にその内覧会にご招待いただきました。

img銀座通りにこのマークが帰ってきました

地方に住んでいる人には馴染みは薄いかもしれませんが、文房具の老舗として知られる銀座伊東屋の創業は1904年、なんと110年前なのです。
元々は洋服屋でしたが、隣の文具店を譲り受ける形でスタートしたという、、、最初は文房具が本業ではなかったという意味でDHCのようですね。
建て替え前のビルは、1965年に建てられたもので、外壁や窓にステンレス素材が使われていたことから通称ステンレスビルと呼ばれていました。

imgGateがコンセプトの新しいビル

地下1階、地上12階にバージョンアップした新しいビルは、GATEがコンセプト。
ビル全体は門のカタチをしており、前面がガラス張りになっています。
今回は内覧会ということで、銀座通り側のオモテではなく、裏からの入場でした。(以前と同じくビルの両側に入口があります)
第1の印象は、ずいぶん広くなったなというもの。
以前は1階から中2階へ至るビルのエントランス部分もごちゃごちゃしていて、かなり狭く感じました。
敷地は以前と同じなので広くなったはずはないのですが、天井を高くして商品をすべて壁側に配置し、売り場のセンターに導線を確保したため広くなったと感じるのだと思います。

img2階はカードやハガキを扱うフロア。実際に投函できるポストがあります。

img3階は筆記具がメイン。置いてある1200本のペンすべてが試し書きできます。

広くなったのは壁際に商品を集中させ、導線を広く取ったことだけが理由ではありません。
商品の取り扱い数を以前の半分以下に減らしている。
でなきゃいくらフロアが増えたからと言っても、このスッキリ感はとても実現できません。
これは新宿の伊勢丹が取った戦略と同じですね。
伊勢丹は森田&丹下の2名によるリモデルで、以前より商品を少なくし、売り上げをアップさせるという逆説的な戦略アプローチを実践。
結果的にその目標を達成しています。
その理由は、たくさんのモノを並べて、ユーザに多くの選択肢を提示するという従来の百貨店型の販売手法を捨て、商品をストーリーや文脈の中でプレゼンテーションして魅力を伝えようとするもの。
これを行うには「体験」というキーワードが欠かせません。
売場のいたるところで体験ができるスペースが必要になります。
伊勢丹でも、特に5階のキッチン売場などに顕著に表れていますが、商品を並べていたスペースをつぶして、そこにキッチンを作り、実際に料理をする体験型ワークショップが開けるような場に充てています。
今までの考え方だと、売れる商品の展示を減らして直接利益を生まないワークショップにスペースを充てるというのは考えられなかったことでしょう。

img4階にはオリジナルノートが作れるカウンター

img竹尾のスタッフが常駐する7階のペーパーフロア

伊東屋にもこのセオリーが導入されています。
紙を選んで自分だけのノートが作れる4階スペース、8階にあるラッピングのワークショップスペースなど。
ちょっとボックス&ニードル(伊勢丹もリモデルで大胆に導入しました)の要素も入ってます。
伊東屋だけでなく、こうした小売りの現場に共通する戦略を見ていると、消費の仕方が以前とは明らかに変わっていることを肌で感じることができます。
モノの豊富さやバリエーションではなく、編集力とプレゼンテーションが勝敗を分ける時代、そこに新たに「体験」や「時間」という立体的な軸が導入されています。
利便性の追求ではなく、不便であっても個々が感じる商品の魅力が購買要因の背景にある。売り手はその魅力をストーリーとして語るために、店舗で「体験」といくファクターを利用するようになってきています。

他にも竹尾とコラボした7階のペーパーフロア。
1日40万で貸してくれる(時間貸しのメニューなし!)10階のビジネスラウンジ。
フリーのレンタルイベントスペースがあるB1。
今までの伊東屋にはなかったジャンル=ホーム、キッチン、ヴィトラの家具をメインで販売するインテリアなどの新しい要素が導入されています。
単純に文房具屋とは呼べなくなってしまった感がありますね。
そして最後に、このビルのポイントは11階で野菜を育てているというところ。
11階で育てられた銀座生まれ、銀座育ちの野菜を、12階で食べられるというのです。
野菜室には、50年前に作られた旧伊東屋ビルのステンレスの窓枠が使われていますが、このアイデアはgoodだと思いました。

img11階にあるルッコラなどを育てる野菜室。

今日オープンした銀座伊東屋本店の新しいビル。
皆さんも銀座に行く機会があったら是非チェックしてみてください。

img11階で育てた野菜が食べられる12階のカフェ。

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