死をテーマにした絵本「かないくん」

松本 知彦 for Private Time/2016.11.10/本

みんな知っているであろう絵本。
僕もこの本が出た当初に買いました。
でも別に子供のために買ったのじゃない。
自分で読むために買いました。

img裏表紙は真っ白で、それを見つめる表紙に描かれた主人公。

テーマは「死」について。
ストーリーは谷川俊太郎、絵は松本大洋、企画は糸井重里。
帯にもあるように、谷川俊太郎が一晩で書いたストーリーに、松本大洋が2年かけて絵をつけたというもの。
これがですね、よいという表現が適切なのかどうかわかりませんが、読んだ人にじわじわ問いかけてくる、考えさせられる内容なのです。
主人公のおじいちゃんが孫に語る、自分が小学校の時、隣に座っていたクラスメイトの友達が亡くなった話。
その友達の名前が「かないくん」です。
孫はおじいちゃんの話を聞いて、死について考える。
それははじまりなのか、終わりなのか。

img

imgトレーシングペーパーが使われている扉をめくると、誰もいない教室に。

老人から次の世代に語られる死というテーマ。
かないくん、老人、孫の順番で、必ずやって来る死。
しかし、死ぬことの先について、本の中には書かれていません。
不明瞭でぼんやりとしている。
読んだ人各自が考えるようになっています。
ストーリーは谷川さん自身の経験を元にしているのは明らかでしょう。

img

imgかないくんが亡くなったあと悲しむ同級生も新学期になると忘れたように。

肉親に限らず、周りの人の死というものは、ある年齢になればみんな経験していると思います。
僕も去年、仲のよい友達を亡くしました。
それを考えるとき、単なる寂しいという感情だけでは説明できない、本と同じように言葉にできない独特の感情があります。
それはもちろん、友人を亡くした喪失感だけではなく、僕にも必ずやってくるということも含めて。
本の中では、かないくんが亡くなったあとクラスメイトたちは嘆き悲しみますが、新学期になると、かないくんがいたことを忘れたかのように普通の生活に戻っていることに、子供だった頃の老人は違和感を感じるシーンが出てきます。
後半~ラストでは同じように、老人が亡くなったことをスキー場で知った孫が、何もなかったようにスキーを続けながらおじいちゃんのことを考える、というシーンが用意されています。
白い雪=空白というのが、主題のメタファーとして使用されている。

img日本画のような絵にまったく文章のない見開き。

本から伝わってくるのは少ない文章量と構図による、間のようなもの。
行間や絵の余白が読者に語り掛けてくる表現。
結論を明確にしないのと同じように、死によって生じる空白を伝える表現になっていると思います。
前半は老人の絵本作家が主人公ですが、後半は孫の女の子が主人公に変わって、2部構成になっています。
前述の雪を表現するために、白インクを使って6色で刷られているところにも白=空白の表現にこだわりが感じられます。
裏表紙をあえてISBNやバーコードを印刷せず真っ白にしたり、よく見ると単なる白ではなく、PP加工をマットと光沢で切り替えたり、装丁も凝ってます。

imgおじいさんは、ホスピスに入るとき、死の先を孫に暗示させます。

かないくんは子供が読んでもあまりピンと来ないかもしれません。
大人は読めば必ずそこに感じ入るものがあるでしょう。

ABC3D / Marion Bataille

松本 知彦 for Private Time/2015.10.27/本

3Dというタイトルの通り、A~Zまで、アルファベット26文字の飛び出す仕掛け絵本です。
飛び出さないアルファベットもありますが笑

img小型のコンパクトな本です。

判型は小さいのに、アイデアが詰まっている素晴らしい書籍。
秀逸なアイデアと大胆なデザインで、すべてのページハズレなしです。
子供向けかと思いきや、大人も十分に楽しめる本、いえどちらかというと大人向けの本だと思います。
ただ本棚にあるだけでもお洒落な1冊。
時々本棚から取り出して、めくりたくなる本ですね。

img扉を開くとAからはじまる、昔で言う飛び出す絵本です。

img半分ページを開くとCだけど、全部開くとDになる。

imgOとPも、トレぺを乗せるとQとRに変化。

imgこちらはUです

imgVはミラーのページに写ってWになる。ニクイね。

作者のMarion Bataille(マリオン・バタイユ)という人は、自分と同じ年齢のフランス人女性のようです。
この本を女性が作ったと言うのはちょっと意外な気もします。
去年、このABC3Dに続いて、新作のNumeroという数字の本も出したようなので、気になる人はそちらもチェックしてみてください。
アルファベットという普遍的なモチーフを、シンプルなカラーで構成し、立体にしたり、意表を突いた仕掛けで見せたり、アイデア満載です。
あまりに秀逸で、なるほどーと唸ってしまう。
それは現代美術館で、作品を見ている体験と少し似ています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZaNVvrHmDcY

最高です。
ママも子供も、デザイナーも建築家も、別に美術が好きじゃない人でも誰でも楽しめる普遍的な本。
プレゼントにもよいと思います。
弱点はあまり頻繁に見ていると、紙が破れてしまうってことくらいでしょう。
一家に一冊オススメの書籍。

Vera Wang on Weddingsが素晴らしい

松本 知彦 for Private Time/2015.09.30/本

今までに何度かウェディングの仕事をしてきました。
日比谷花壇ウェディング、帝国ホテルのカタログ、高見ブライダルのパンフレットやサイト、他にも多く手掛けてきましたが、その度に参考となるウェディングのビジュアルを探さなければならず、それは骨の折れる作業でした。
そんな時、常にバイブルとしていたのが、Vera Wang(ベラ・ウォン)のウェディングブックでした。

imgかなりの大型本です。大型なのにトレぺのカバーがかかってるのがフォーマル想起。

img開くとこんな感じ。表紙と揃えてあるトビラの組みがシャレオツです。

仕事で提案時には、必ずラフのカンプやサンプルとしてデザインを作る必要がありますが、その際にいつも頭を悩ませるのが使う写真です。
フリーの素材画像だけでなく、サイト上にはたくさんのウェディングイメージが転がっていますが、なかなかいいものはありません。
よい写真が見つかったとしても、それらを1本のストーリーでまとめようとすると、バラバラに色んなところから集めているのでどうしても統一感が出ない。
当たり前ですが。。。
1つ1つの写真を集めるのに時間がかかる割に、それらを1つのコンセプトでまとめて伝えようとすると散漫になり弱くなってしまうのです。
一番伝えたいのは1点1点の写真のテイストではなく、それら全体を通した1つのシーンやストーリーなのに、それが伝えられないもどかしさ。
ストーリー展開とそのまとめ方、撮影のテイストひっくるめた編集のお手本を探したいとなると書籍しかありません。
しかし、そうした書籍を探しても求めるイメージに合致するものってなかなかないんですね。
特に日本の書籍で参考になるものはまったくない。
甘すぎたり、チープだったり、、、ただ画像を集めたカタログみたいなまとめ方が多いです。
このVera Wangの書籍は、何回も参考にしました。
最強です。
カッコいい。

imgドキュメントとして組み写真が出てくるのだけど、これがまた美しいのです。

imgこれはフラワーアレンジメントコーナーの写真。

img

img所々にトレぺのページがあるのですが、透けた次のページとセットでデザインされてて美しい。

imgドレスコーナーの写真。モードで美しい。

Vera Wang(ベラ・ウォン)は中国系アメリカ人。
ヴォーグアメリカの編集者を経て、ラルフローレンでデザインディレクターを務めたあと、自身のブライダルブランドをスタートさせました。
彼女のデザインしたドレスを着て挙式をしたセレブも多く、マライア・キャリー、ジェニファー・ロペス、シャロン・ストーン、ユマ・サーマン、ジェシカ・シンプソン、ヴィクトリア・ベッカムなどなど。
僕はウェディングドレスのデザインについて、詳しいことはわかりませんが、この書籍の素晴らしさは感じることができます。
編集が素晴らしいです。

モードの要素があって、ベタではない、素敵な世界観で構成されています。
時系列に並べられた画像による流れるようなストーリー展開、スチールのカメラマンが異なるのに、統一感があるのは編集の力によるものでしょう。
特に贅沢なエディトリアルデザインが素晴らしい。
ファビアン・バロンの影響をモロに受けたグラフィックと、お金をかけた装丁。
ヴォーグつながりでファビアン・バロンテイストなのかは不明ですが、とにかく素晴らしい1冊。

img最後にある写真クレジットのデザイン、アイデアがこれまた素晴らしいです。

IBM Design from Japan/ 日本IBM

松本 知彦 for Private Time/2015.04.24/本

10年以上前に出版された、ちょっと前の書籍です。
三木健の装丁によるIBM のデザイン、特に同社のthink padをメインに取り上げた本。
自分はthnk padの愛用者ではないので内容にそれほど興味はないですが、装丁が素晴らしい。

img今まだ売っているかわかりませんが素晴らしい1冊

thnk padのPCを使う際の最大の特徴、それは指でマウスを操作する際に使う、キーボードの中心にある赤いボタンでしょう。
それをこの本では、視覚的に視点を誘導する装置としてグラフィックデザインに落とし込んでいます。
赤いボタンだけでなく、それを操作する手も、グラフィックの重要なエレメントして扱っていて、ブルーノ・ムナーリの手のシリーズを思い起こさせます。

1955年にIBMでは既に「Good Design is Good Business」というテーマを掲げ、全社的にデザインを重視していたそうです。
50年代と言えば、ポール・ランドがIBMのCIロゴを手掛けた頃。
60年代のブラウン、2000年代初頭のアップルもそうですが、デザインを経営戦略の中心に位置付けて活用していくということが、如何に重要で経営にインパクトをもたらすか、それを物語っていますね。

imgビジュアルコミュニケーションともいえる、テキストなしの贅沢な誌面構成はブランドブックならでは

IBMが目指すデザインの方向は、みんながsmileを感じられるデザイン「Think Smile」というキーワードを掲げて、4つのデザイン手法によってそれを実現しているそうです。
企業らしさや印象などに関わる「Brand Design」
国境や文化、年齢や障害などに関係なく製品を利用してもらうための「Universal Design」
利用者を中心に考えた「User Centered Design」
感性に訴えかけるような「Smile Design」
なるほど、他の企業にもすべて当てはまるデザイン手法ですね。

それにしても、僕の大好きな三木健のクリエイティブワークの真骨頂ともいえるこの書籍は、自分にとって貴重な1冊です。

The A to Z of Mod/ Paolo Hewitt and Mark Baxter

松本 知彦 for Private Time/2015.03.18/本

英国で出版されているモッズのバイブルのような本です。
モッズについては以前もこのブログでちょっと触れましたが、60年代前半の英国で生まれたカウンターカルチャー、若者のライフスタイルのこと。
簡単に言うと、政治的メッセージは持たず、最先端のカルチャーを追い求める、スーツを着てスクーターに乗った若者たちのことを指します。
モダーンズが語源ですからね、モダンなわけです。

imgポケットサイズだけど内容の濃い本です。

その教科書のような書籍です。
モッズっていうと、Who、Small faces、Kinksなどなど、60年代のバンドがすぐに思い浮かびますが、この本が面白いのはそうしたお約束なレトロなモッズだけの紹介には留まらないところでしょうか。
モッズの本ってだいたい60年代のバンド以外に、ジャム~スタイルカウンシル、ポール・ウェラー、80年代に起きたネオモッズムーブメント(アクション、パープルハーツなど)、この辺までがお約束だと思います。
言ってみれば音楽シーンばかり。

imgモッズといえば、このあたりはお約束でしょうね。若いボウイはカッコいい。

imgACID JAZZなバンドたち。ヤング・ディサイプルズいいですね。

でもこの本はモッズファッション(カーナビーストリートからブライトンにある店まで)、御用達のシャツメーカー、シューズブランド、英国のポップアートを代表するピーターブレイクまで、幅広く紹介しているのが特徴です。
音楽もポール・ウェラー一辺倒ではなく、オーシャンカラーシーンなど60年代をルーツとする最近のブリッドポップバンドと同時に、ACID JAZZムーブメントまで紹介。
そしてもっともビックリしたのが、マーチン・フリーマンがプロローグを書いていること。
マーチン・フリーマンと言えば、つい最近公開された映画「ホビット」、そしてカンバーバッジが主演したBBCのTVシリーズ「シャーロック」でワトソン役を演じていたことで知られる英国の俳優です。
彼がモッズだったというのが驚きでした。
そして自転車競技のオリンピック選手で、大英帝国勲章を受章しているブラッドリー・ウィギンスまで紹介しているのです。(モッズのスポーツ選手ですよ!)
要は、モッズの本によくありがちなレトロな音楽だけに留まっていないのが、この本のユニークなところです。

img今流行のバラクータG9はIVY御用達と思われがちですが、英国ブランドなんですよ。

img最近DAKSでモデルをしてたこの人、このポロシャツが一番似合います。

img競輪選手のブラッドリー・ウィギンス。オリンピック選手にしてこの髪型!笑

imgシャーロックのワトソン役でおなじみ、マーチン・フリーマンもモッズとは。

ページをめくっていると、60年代にアメリカから英国に入ってきたカルチャーがイギリスの若者たちに与えた影響力、またアートや音楽などと結びついて独自のイギリス文化を形成していった過程を知ることができます。
60年代のスウィンギングロンドンのカルチャーは世界に輸出され、今の英国文化の根底にも脈々と流れている、その端緒を見ることができます。
最初の扉に登場するコードレーンのジャケットを着た若いチャーリー・ワッツがしびれます。
これでやられてしまいました。

imgタブカラーにコードレーンのジャケット。洒落者のチャーリーカッコいい。

JAPANESE DANDYに自分の写真が・・・

松本 知彦 for Private Time/2015.01.15/本

僕と同じ大学の卒業生で、色々な業界に精通していて、その筋(どんな筋?笑)に多くの知り合いを持つセンパイがいます。
アートから政界まで、多方面に知り合いがいるスゴイ先輩なのですが、ある日そのセンパイからfacebookにメッセージが届きました。
センパイの知り合いで、クラシコ系の洋服にとっても造詣の深い人がいて、趣味が高じて今度はオシャレな人を集めて写真を撮っていると。
洋服が好きでこだわってる人を探しているので、そのモデルにならないか?という話でした。

この話を聞いたとき、勝手にクラシコ系という単語だけがアタマの中で大きくなってしまい・・・。
僕は特定のカテゴリーに縛られずに、自由に洋服を着るので、クラシコでは全然ないし、むしろイタリアに傾倒した格好をする機会はほとんどなく・・・
もらった文面から感じたのは、ナポリやフィレンツェにあるテーラーのハンドメイドのスーツを愛する人たちを探しているのだろうという印象でした。
なので、自分はまったく適任者ではないなと感じて、ありがたい話なのにセンパイには申し訳ないのだけどお断りすることにしました。
自分で言うのも変ですが、僕は常に自分流だから異端だし、造詣の深いその筋の人たちのカテゴリーに入るなんておこがましいというか、、(入れるわけもないし、、、)逆に申し訳ないと感じたのでした。

imgある日、立派な本が届いてびっくりしました。

それが2013年の6月のこと。
それから数ヶ月経って、伊勢丹メンズ館の10周年パーティに行った際、ある男性から声をかけられました。
最初は仕事か何かの知り合いかと思いきや、ファッションポートレートの写真集を作っているとのことで、それの被写体になってもらえないか?という話でした。
ん??どこかで聞いたことがある話だぞ・・・・
そう、それは数ヶ月前にセンパイからお誘いを受けた話と同じ内容。
話してみると、センパイの言っていた知人がこの男性だったと言う、、、世間は狭いものですね。
既に100人近く撮影は終わっているけれど、直接声をかけたのは僕で2人目とのことでした。
話を聞いていくと、クラシコの写真を撮っているわけではないようで、僕の勝手な思い込みだったことが判明。
直接説明をお聞きして誤解が解けたこともあって撮影を了解、1週間後に代官山のスタジオに呼ばれて撮影する運びとなったのでした。
でも既に撮影が終わっている人の写真を見せてもらったら、GQの鈴木編集長、信濃屋の白井さん、UAの鴨志田さんや小木さん、スタイリストのスケザネさんなどなど(知人も数人いたけれど)、やっぱりその筋の人ばかりで、僕で本当にいいのだろうか?と何度も確認してしまいました・・・

あれから2年、先日出来上がった本が自宅に届きました。
まずびっくりしたのはサイズが大きいこと。
10代~90代まで幅広い年齢から独自の視点で集められた130人の登場人物、200ページを越えるページ数、かなり豪華な本なのです。
表紙のモデルはIVYのイラストで知られる大御所、穂積和夫さん。
決して広くはないスタジオで(すみません・・・)、小物も椅子とデスクだけ、バックは布、という同じセッティングで130人を撮影したわけだから、単調な構成になってしまうのではないかと思っていたら、こちらの予想は完全に裏切られて、バリエーション豊富な飽きさせない内容に仕上がっていました。
逆に同じセッティングだからこそ、人それぞれの個性が際立つビジュアルとなっているんです。
そしてファッション写真と聞いていたのに、実際見てみるとまったくそんな感じがしない。
ファッションではなくて日本男児のポートレート写真集でした。

見ていて感じるのは人の品格は顔に出るなあということ。
僕だけかもしれませんが、ほとんど洋服などに目は行かない。
惹きつけられるのはその人の雰囲気、人間力みたいなものです。
人の魅力は、決して高い服を着ているから、お洒落だからという理由ではない、というのを改めて感じさせる内容でした。
この“雰囲気”を構成しているものってなんなのでしょうね?
服もその1つかもしれませんが、それだけでは決してないです。
そして着ている服は高くてもいいですが、高価かどうかはあまり関係がない。
ましてや最初に勘違いしていた、国やクラシコかどうかなどのカテゴリーも、もちろん知っているに越したことはないでしょうけれど、あまり関係がないと思います。
僕はこの“雰囲気”という正体不明なものを創り出している要素は、その人のまとっている情報や考え方が大きいのではないかと思います。
言ってしまえば“生き方”とでも言うのでしょうか。
その人の持っているスタイルですね。
それが顔や、全体の雰囲気に醸し出されるのだと思います。

imgいろんな雑誌やメディアで紹介されてますね。

僕もすっかりおじさんになりました。
若い頃にメンズクラブの街角スナップに出たのを皮切りに、MEN’S EXや他の雑誌から取材を受けて撮影されたこともありましたけど、それとこの写真集は全然違う。
表層ではなくて内面、内面からにじみ出るスタイルがテーマの写真だと思います。
自分の顔やスタイルは自分の履歴書のようなもの、その人の持つ情報や考え方がスタイルに現れるのです。
僕もそんなスタイルに責任を持つ年齢になったと感じています。

皆さんも本屋でこの本を見かけたら、是非ページを開いてみてください。
そこには日本男児の行き様というか、現代進行形のダンディズムの心意気を感じることができます。
(僕のページは別として・・・・汗)
河合さん、今回は色々ありがとうございました。
貴重な経験ができました。

オフィシャルサイトはこちら↓
http://japanesedandy.com/

People / Blexbolex

松本 知彦 for Private Time/2014.12.02/本

2009年に世界一美しい本賞の金賞を受賞した、フランス人のイラストレーターBlexbolexのイラスト集です。
様々な人々を描いた美しい一冊。

imgどこか懐かしさを感じさせる本です。

imgカバーは裏も印刷されていてオシャレ。

このブレックスボレックスという人、ドイツ在住のフランス人らしい。
僕はこの本をヨーロッパに住む友人からもらいましたが、日本でも購入は可能です。
まず色がとっても美しい。
これは何の技法で描かれているのだろう?
版画のようなリトグラフのような、独特の味わいがある表現ですね。
色が重なっている部分は、下の色が透けて見えていて、レトロな感じ。
まさか手で刷っているわけではないと思いますが、紙もザラザラしていて、手触りのよい、ハンドプリントのような印刷です。

イラストは、シンプルな中にも人の特徴がうまく捉えられていて、ちょっとしたコミカルな要素もあり、技法も含めて温かい表現なのに、スタイリッシュという不思議な世界になっています。
今年の6月くらいに発売されたペンの美しいブックデザイン特集でも紹介されていたので、見たことがある人も多いのではないでしょうか。

img

img見開きの絵柄の対比は何か意味があるのかな?

img今年の6月に出たPENの特集でも紹介されていました。

見開きで対比するようにレイアウトされていますが、右と左のイラストがどのような意図で配置されているのか、考えてみましたがよくわかりません。
ABC順じゃないし、関連した単語でもない。
同義語でも反対語でもないですね。
もしかしたら秘密があるのかもしれないです。
もしどなたか知っていたら教えてください。

センスは知識からはじまる / 水野学

松本 知彦 for Private Time/2014.11.11/本

佐藤可士和に代わって、「くまもん」で快進撃を続ける水野学の最新著書です。
最近、こうした花形クリエーターが一般の人にも紹介されるようになりましたが、本も売れているのかな。
今話題になっている、イケてるってことは、個人的な好き嫌いは別として、プラスになる情報が必ずそこにはあるというのが持論です。
知っておいて損はない。

img水野学「センスは知識からはじまる」 朝日新聞出版

水野学の1つ前の著書「アイデアの接着剤」も読みましたが、書かれている思考プロセスには共感できる部分もあって、それが最新刊も読んでみようと思わせる理由でした。
何が共感できるのか?それは感覚的と思われがちなクリエイティブのアウトプットは、論理的なプロセスによって作り出すことが可能だと説明しようとしている点にあります。
この本もセンスがよいという、極めて感覚的な能力を論理的に説明しようとしている。

img短い時間で読めますから、通勤途中に読んでみてください。

本の中で彼は、センスのよさとは数値化できない事象を判断して、最適化できる能力だと言っています。
そしてその能力は誰にでも備わっているものだと。
最大の敵は、思い込みと主観性。
思い込みと主観性による情報収集をいくら繰り返しても、センスはよくならないと説いています。
ビートルズマニアが「ビートルズはスゴイ!」というのと、坂本龍一が「ビートルズはスゴイ!」というのとでは、説得力がまったく違う。
理由は坂本龍一の方がジェネラルに音楽への知識をたくさん持っているからに他ならない。
だからその人が言った言葉の方が精度が高いということです。
今時代が求めているのは、知識の集積による、そうしたご意見番の存在、クリエイティブディレクションだと書いています。

本の中で彼はクリエイティブディレクターのことを千利休に例えています。
千利休が現れたのは安土桃山時代。
海外から鉄砲が伝来し、軍事技術が著しく発達したこの時代、人々は千利休のような「センスのよい人」、クリエイティブディレクションの能力を求めました。
技術の発達が限界まで達すると、人はノスタルジ―に身を置き、美しいものを求めるようになる。
軍事目的で開発されたGPSがスマホの地図アプリに形を変え、一般に利用されるようになった今の時代と安土桃山時代の類似点を指摘し、そこに現れた千利休こそが時代が求めるクリエイティブディレクターだったと水野学は言っています。

いま時代は千利休の能力を求めている。
だから人も企業も、時代が求める能力、「センスをよくする」技術を磨いていかなければならない。
じゃどうやったらセンスがよくなるのだろうか?
センスの磨き方のノウハウについて書かれているのがこの本です。
どうですか?
ちょっと読んでみたくなりませんか?

COMPLETE WORKS / 青木淳

松本 知彦 for Private Time/2014.03.12/本

最近この先生の名前もあまり聞かなくなりましたね。
というか熱烈な建築ブームが去って、市場は変わりました。
狂ったようにファッション企業が次々と有名建築家に自社ビルやブティックの建設を依頼するブームは去りました。

img全37作品、220枚を超えるカラー写真で構成

この作品集を買ったのも建築ブームの時でした。
スイスからやってきたヘルツォークが手掛けたプラダ、妹島和世+西沢立衛によるSANAAのディオール、伊東豊雄のトッズ、黒川紀章の日本看護協会ビル、隈研吾のLVMH、オランダの建築ユニットMVRDVのジャイル、そして安藤忠雄の表参道ヒルズ、2,3年の間に表参道はあっと言う間に建築ストリートになってしまった。
その中の1つ、ルイヴィトン表参道のコンペを勝ち抜いた青木淳先生は、華々しくヒーロー建築家としてフロントラインに出てきました。
この本を買った理由も、ルイヴィトン表参道のコンペを獲った時の提案書が限定の付録としてついていたからでした。
メディアもこぞって取り上げて取材記事を掲載していたのに、今建築家を掲載する記事はほとんどありません。
東京オリンピックの競技場の設計コンペで1位を獲ったザッハ・ハディットの話題すら雑誌にほとんど出てきませんからね。
建築よりも取り上げられるのは、建設にかかる気の遠くなる予算のことばかり。
もう建築と社会の幸せな、人々を建築で魅了してワクワクさせるような関係は終わってしまったんでしょうか?
そもそも最初からそんなものなかったんでしょうかね。

imgルイヴィトン表参道は、積み重ねたトランクがコンセプト。

僕は商業施設よりも住宅のプロジェクトの方に興味があります。
1人の施主の要望に耳を傾け、その課題をどのように解決して建築を成立させるかという明確な主題があるからです。
どのくらいの初期投資でその後の回収が可能か、という商業建築の考え方と決定的に異なる点でしょう。
住宅は建築を消費の仕掛けに利用していないからおもしろいのです。
青木淳先生の作品もそうで、三角形の敷地に建つ住宅や波板ガラスを外皮として採用した住宅建築が好きです。

青木淳先生は有名建築家の登竜門、磯崎新のアトリエ出身。
丹下健三、磯崎新という東大建築家直系の系譜にあります。
医者もそうですが、建築家もデビューする上で、こうした出身大学=学閥がかなり重要なのです。
そういう派閥の考え方はまったく好きじゃないですが、建築家の作品が卒業した大学によってある傾向があるのは見ていておもしろいです。

img青木先生による青森県立美術館

建築が現代美術に接近していったのもこの頃でしたね。
青木淳先生はこのあと青森県立美術館の設計コンペで1位を獲得、新潟のビエンナーレなどに参加していくのです。(2位を獲った藤本壮介にも相当な注目が集まりました。)
そして自らも現代美術のキュレーターの女性と再婚(以前の奥さんは、ドコモのiMODEを発明した人だったと思います)
あれからさらに社会は複雑になった気がします。
そうした社会状況を背景に、建築表現は次の世代へ、青木淳の弟子の乾久美子、隈研吾の弟子の中村拓志、伊東豊雄の弟子のヨコミゾマコトたちにバトンは渡されていったのでした。

#2 / HIROSHI TANABE

松本 知彦 for Private Time/2014.02.10/本

うちの会社で5年間くらい制作を担当しているファッションの仕事で、以前毎月、田辺ヒロシさんにイラストを描いてもらってました。
これは彼の2冊目の作品集です。

img装丁は中島英樹だけあって凝ってます。

僕が一番最初に彼の作品に触れたのはwall paperだったかな。
とにかく日本の雑誌ではありませんでした。
作家自身もニューヨーク在住で、日本で活動しているわけではないので、国内より海外で有名だと思います。
アナスイのシリーズをはじめ、ファッション関連の仕事が多い。
海外在住の作家に依頼して、メールで送られてきたものを使うって今なら当り前ですが、以前は考えられなかったことですよね。

img

img

ほとんどポートレートをモチーフとしていますが、懐かしくもあり、でもどこか毒があって、不思議な画風。
全くジャンルは違うけど、ロンドン在住のテキスタイルデザイナー、イーリーキシモトを思い出すのはなぜでしょうね。
塗り絵のようにフラットで浮世絵のようでもあり、海外に住む日本人特有のジャポニズムの要素が画風から感じられるからでしょうか。
この作品集はページによって紙質を変えたり、印刷方法を変えたりして構成されており、バラエティに富んたもの。
装丁デザインは中島英樹。
いやあ、お金かかってます。
ちなみに彼の作品第1集も持ってます。
多摩美グラフィックデザイン科卒業。

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