スイミー / レオ・レオニ 谷川俊太郎訳 1963

松本 知彦 for Private Time/2013.06.03/本

こちらも小学校の教科書に出てくる有名な絵本なので、ご存知の方も多いでしょう。
オランダ出身の絵本作家、レオ・レオニの描いた絵本です。
スイミーとはこの本に出てくる黒い小さな魚の名前。

img教科書にも出てくる有名な絵本ですね。

なんと言ってもこの本の特徴は、すべて版画の技法で描かれていることです。
版画というより、スタンプと言った方が近いかもしれませんが、そのカタチをしたモチーフに絵の具を塗ってペッタンペッタン、スタンプアートとでも言える技法で全ページが作られています。
それが幻想的で美しい。

img全部スタンプなんですよね。

img黒いまぐろに仲間がみんな食べられちゃうシーン。

img1人ぼっちになったスイミーは海の中を旅します。

ストーリーも特徴があります。
赤い魚の兄弟、仲間の中で、なぜか1匹だけ黒いスイミー。
ある日、仲間は大きなマグロにみんな食べられてしまいます。
一匹だけ生き残ったスイミーは、それから海を一人で旅して、自分の仲間にそっくりな赤い小さな魚たちに再び出会います。
でも彼らはマグロに食べられることを怖がって、岩陰から出てこようとしません。
そこでスイミーは考えて、みんなで大きな魚のカタチになって泳ごうと提案。
1匹だけ黒いスイミーは大きな魚の目の役目をして、みんなで力を合わせて大きな魚を追い出す、、
というストーリーです。

img魚のカタチになってまぐろを追い払うシーン。スイミーは目になっています。

みんなで力を合わせれば何でもできる、と読めそうですが、スイミーこそが作者のレオ・レオニ自身であり、芸術家として他の人が見えないことを見る役割を自分が果たすということを、この絵本に込めたとも言われています。
オランダで生まれ、結婚してイタリアで生活していたレオは、当時のイタリアファシスト政権に反対し、アメリカに亡命。
この本が描かれた1963年、アメリカで既に名声を得ていたレオは、あえてイタリアに帰国し、自分の絵本を自由に発表し始めた頃でした。

ページにはテキストは少なく、ほとんど絵だけで理解できるようになっています。
この手法は1959年のデビュー作「あおくんときいろちゃん」から変わらない気がします。(この本も持ってます。)

うちには、気が付けば絵本が100冊以上あるんです。
絵本って視覚的にストーリーを伝える、ビジュアルコミュニケーションの原点みたいなもので、作家の表現力、伝えたいこと、色々なことがとても勉強になります。
子供向けだから、と言ってあなどれないのです。

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