スーホの白い馬 / モンゴル民話  大塚勇三作 赤羽末吉絵 1967

松本 知彦 for Private Time/2013.06.06/本

こちらも小学校の教科書に出てくるお約束の絵本なので知ってる人も多いことでしょう。
1967年に出版された50年前の古い本です。

img50年前に書かれた本が今でも常に定番というのはスゴいことです。

img横長の版型に、全ページ見開きで描かれた絵は広大なモンゴル平野を表現しています。

ストーリーは悲しい内容です。
遊牧民の少年スーホは親のいない白い仔馬を拾って、一生懸命に育てます。
白い仔馬が大人になったある日、王様が娘の結婚相手を選ぶために開いた競馬大会に出場し、スーホと白い馬は見事一等を獲得します。
しかし王様はスーホが貧しいことを理由に約束を守らず、銀貨3枚を無理やり渡してスーホを殴って城から追い出し、馬だけを取り上げてしまいます。
馬が自分のものになったことに満足した王様は馬に乗ろうとしますが、振り落しされてしまい、それに怒って馬を殺すように命じます。
飛んできたたくさんの矢が刺さりますが、それでも白い馬は会えなくなって泣いているスーホの元へ戻ってきます。
スーホに会うと、馬は安心したように死んでしまうのでした。
それから悲しさと悔しさでスーホは眠れない夜を何日も過ごしますが、やっと眠れた日に夢を見ます。
それは、自分の身体を使って楽器を作って欲しい、そうすればいつもあなたのそばにいられる、と言って現れた白い馬の夢でした。
スーホはそれに従って馬頭琴と呼ばれる楽器を作り、片時も離しませんでした。
その美しい音色がモンゴル中に知れ渡り、この楽器が広まった、というお話です。

img鮮やかな色使いとデフォルメされたフォルムは迫力があります。

スーホと白い馬の強い絆、スーホの馬に対する愛情が物語の主題となっているのですが、ストーリー自体は本当にせつなく悲しいものです。
でもセンチメンタルなだけではなく、骨太で普遍的な強い物語に仕上がっているのは、モンゴルという大平原のお話ということもありますが、僕は絵の力が大きいと思います。

素朴で雄大さを感じる絵の作者は赤羽末吉。
50歳を過ぎて絵本作家としてデビューした人です。
スーホの白い馬を手掛けた時は57歳。
それが50年経った今でも、みんなに読み継がれているということは作家冥利に尽きると同時に感動を覚えます。
素朴なタッチはストーリーにぴったりというか、ストーリーそのもののという感じがします。
人々に感銘を与える絵の力、クリエイティブってこういうことが魅力ですね。
この絵本で赤羽末吉はサンケイ児童出版文化賞を受賞しました。

imgこれが白い馬で作られた馬頭琴という楽器です。

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