SAVILE ROW / James Sherwood

松本 知彦 for Private Time/2013.07.22/本

大型本です。
かなり大きい。
その名もサヴィルロウです。
サヴィルロウとは英国ロンドン中心部にある200mくらいの短い通りの名前。
この短い通りが、今でも世界中で着られているスーツ発祥の地と言われています。
なんと言っても背広の語源という説もある通りですからね。(セビロ=サヴィルロウ)

imgトム・フォードもサヴィルロウで何度もオーダーしています。

プロローグはトム・フォードの言葉からはじまります。
ついこの間、日本でもサヴィルロウの本が出版されましたが(こちらはイマ1つの印象)、それとは異なる構成で、1つ1つのブランドを掘り下げる内容となっています。
僕がこの本を買った理由は、もちろんクラシックなビスポークテーラーの歴史を知りたい、という理由ではありません。
新旧入り混じった現在のサヴィルロウをビジュアルで見たいという理由と、クラシックとは対極にあるサブカルチャーと結びついて、スーツが変遷していった経緯を知りたいというのが大きな理由です。
冒頭、サヴィルロウ一番地にある老舗テーラー、ギーブス&ホークスの前で、サヴィルロウに店を構えるテーラーやオーナーたちが一堂に集まって撮影された写真が見開きで掲載されています。
この写真がちょっとバカみたいで、おもしろい。
その集合写真の中心でサングラスをかけて写っている人物、、、この人のことはあとで紹介しましょう。

imgサヴィルロウの中心人物のように真ん中に写っているこのおじさん。

さて200メートルくらいしかないこの通りが、なぜにこれほど有名なのかと言えば、スーツの聖地としてオリジンを創り上げてきた伝統的な古いテーラーが現在でも同じ場所で営業を続けているからです。
その代表的な店として前述のギーブス&ホークスと同じく、1806年創業のサヴィルロウ最古のテーラー、ヘンリープールがあります。
このヘンリープールは白洲次郎がスーツをオーダーした店として知られていますが、この本にはヘンリープールで誂えた?スーツ姿の昭和天皇の写真が掲載されています。

img1921年に撮影された昭和天皇(一番左)は白いウェストコート(ベスト)を着用

そしてハンツマン。
こちらは1849年創業。
ジャケットが1つボタンのハウススタイルを頑なに守っているテーラーです。
ヒッチコック監督の映画「北北西に進路を取れ」で主演のケーリー・グラントが着用しているスーツは、同じくサヴィルロウにあるテーラー、キルガーフレンチ&スタンバリー(生まれ変わった現在のキルガー)でオーダーしたもの。
カッコイー!

imgキルガーフレンチ&スタンバリーのスーツを着たケーリー・グラント(1946年)

そしてビートルズやミック・ジャガーのスーツを作っていた伝説のテーラー、トミー・ナッタ―も紹介されています。
ビートルズのアルバム「アビイ・ロード」のジャケットで横断歩道を歩くメンバーのスーツのうちの3着はこのトミー・ナッターがデザインしたものです。
そしてビートルズが4人で最後のライブを行なったのも、このサヴィルロウにあるアップルのビルの屋上でした。

imgトミー・ナッターはスーツをクラシックから開放しました。エルトン・ジョンのスーツも彼のデザイン。

img上:サヴィルロウにあったアップルの屋上での最後のライブ。この時ジョンとポールが着ているのは、トミー・ナッターのスーツ。(1969年)下:トミー・ナッターでオーダーしたスーツを着てハネムーンに出かけるミック・ジャガー。(1971年)

最後に、スペンサー・ハートが紹介されています。
2002年にスタートしたこのブランドは、本に収められている中では一番新しいビスポークテーラー。
冒頭の集合写真でセンターに写っている人物が、創業者のニック・ハートです。
デヴィッド・ボウイやデヴィッド・ベッカムのオーダースーツも作っています。
このブログを読んでいる方なら既にお気づきかもしれませんが、英国BBCのドラマ「シャーロック」でベネディクト・カンバーバッチが着ているスーツも、このスペンサー・ハートのものなのです。
いやあカッコいい。
このテーラーが僕は好きなのでした。

img上の写真の右側にいるのがさっきのおじさんです。

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