ロンドン5 男ならサヴィルロー

松本 知彦 for Private Time/2012.04.25/旅

やっぱり英国と言えば、ここに来ないといけないでしょう。
なんつっても日本の「背広」の語源とも言われるサヴィルローですから。
007の映画「ドクター・ノオ」の中で、ジェームズ・ボンドはサヴィル・ローでスーツを仕立てているという台詞を言うシーンが出てきます。(ショーンコネリー自身が映画で着ているのは、隣のコンジット通りにあるアンソニー・シンクレアで仕立てたスーツ)

この通りと並行するリージェントストリート、バーリントンアーケード、それにジャーミンストリートは男子にとっては、たまらない場所です。
しかし今回の旅の目的からはずれるために、残念ながら行く時間はあんまりありませんでした。

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知らない人のために書いておくと、サヴィルローとはテーラーが集まる通りの名前で、特にオーダーを専門とする古くからの紳士服の店が多く軒を連ねています。
注文服のことを、話しながら作るという意味で英語ではビスポーク(be spoke)と言いますが、王室や歴代首相、俳優などなど多くの著名人がビスポークのリストに名を連ねています。
ケーリー・グラントやフレッド・アステア、ケネディ大統領からトム・フォードまで、色々な人の名前が顧客リストにあります。

1番地にあるギーヴズ&ホークスからサヴィルローは始まります。
ロイヤルワラント(英国王室御用達)を持つサヴィルローの重鎮とも言えるこの店は、かなり広くてアンティークやメンズコスメ専門のスペースも持っています。
しかし、貴族階級の人が利用する店だけあって、かなり入りにくい・・・・・
中に入ってみると、重厚な紳士服、、、と思いきや扱っているのはトラッドで、色鮮やか。
シアサッカーとかカラートラウザーズ(英語ではズボンのことをパンツとは言いません)とか、鮮やかなレジメンタルタイ、ポロシャツなどなど。
壁の色がラベンダーに塗られていたりして、ちょっと印象違いました。
店の調度品も含めて、なんだかラルフローレンみたいな店です。
2階がビスポークのフロアになっていました。

img2階にあがる階段にはノエル・カワードやショーン・コネリーの絵がかかってました。

1846年創業のヘンリープール。
サヴィルロー最古のテーラーです。
あの白洲次郎がオーダーしていたことでも知られていますね。
テーラーが半年に1度来日して、伊勢丹新宿店でもオーダーできます。
ハーディ・エイミスはメンズウェアとレディースウェアの双方を扱った世界で初めてのテーラー。
映画「2001年宇宙の旅」のコスチュームデザインを担当しました。

imgヘンリープールとハーディエイミス。ヘンリープールの工房は上から覗けます。

ハンツマンは1849年創業。
ロイヤルワラントを持つ格式あるテーラー。
そのハンツマンでヘッドカッターとして修業して独立したのが、リチャード・アンダーソンです。
しかし独立後、隣に店を出すって、あんまり考えられないですけどね。
こちらも青山のヴァルナカイズなどでオーダー可能。

imgギーブス&ホークスとクラシックで派が分かれるハンツマン。

そして最近注目を浴びている若いテーラーの店もあります。
あのデヴィッド・ベッカムも愛用している2002年にサヴィルローに開業したスペンサー・ハート。
ここのスーツ、僕は2着持っていますが、60年代のジャズにインスパイアされた細いラペル、1つボタンのモードなスーツです。
去年できたメイフェアの新しいお店にも行きましたが、案内してもらった地下のオーダーサロンがものすごくゴージャスでした。
ボンドの映画で実際に使われた時計が展示されていたり、007ゴールドフィンガーの映像が流れていたり、リンタロは興奮していましたね。
英国で007を見るっていうのはなんともよい体験。

imgこちらはサヴィルローに程近いメイフェアのお店の外観。

ニック・テンティスは、2010年にオープンしたサヴィルローの中で一番新しいお店。
地下には床屋があって、覗きにいくとちょうど子供がカットしてもらってました。可愛い。
店のインテリアは映画「2001年宇宙の旅」のラストシーンから取られています。
ここでちょっとだけ買物を。
シャツはおじさんに採寸してもらいましたが、スーツの採寸はなんと背の高いモデルみたいな美しい女子。
ニヤけてます?笑

img一番下はお店の内装、下から2つめは2001年宇宙の旅の1シーン、似てますね。

他にもアビーロードのジャケット撮影でビートルズの衣装を手がけたトミー・ナッターの店ナッターズや、90年代にニュービスポークの旗手と言われたオズワルド・ボーティング、リチャード・ジェイムスのお店、日本じゃあんまり知られてませんが、トミー・ナッターも一時在籍したキルガーなどもあります。

サヴィルローから少し行ったところには、バーリントンアーケード。
1819年にオープンした当時そのままの形で、200m足らずのアーケードに40店舗くらいの高級店が並びます。
ここには香水のペンハリガン、靴のクロケット&ジョーンズなどがありました。

バーリントンアーケードを抜けるとジャーミンストリートに入りますが、この短い通りにも名だたる名店がズラリ。
ロイヤルワラントを持つシャツで有名なターンブル&アッサー、ヒルデッチ&キー、ハケット、靴のジョンロブ、エドワードグリーン、トリッカーズ、007も持っていたアタッシュケースで知られるスウェインアドニー、グルーミング用品専門店Taylor Of Old Bond Streetなどなど。
女子にはわからない、ダンディズムの極みです。

img1854年に開業したTaylor Of Old Bond Streetは圧巻。売っているのはブラシや石鹸のみ。

しかし、ロイヤルワラントを持つこうした名店、中に入ると初老のイギリス人の顧客が多いです。
ガッチガチのクラシック好きでない限り、若いイギリス人は行かないのかもしれません。
ファッションという感じではないですね。
日本の顧客は若いですが、本国は決してそんなことはないということです。
日本で言うと、銀座の英国屋、一番館、信濃屋みたいな感じなのでしょうか。

しかしサヴィルロー、もっとゆっくり見たかった。
美術館に時間を取られて、ほとんど時間はありませんでした。
まあ、今回はそういう旅ですからね。

続く

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