人生は学問

若林 咲 for Private Time/2014.04.28

こんにちは。プロジェクト推進チームの若林です。

今回は、学生時代に映画の見方を少し変えてくれた方のお話をしたいと思います。

それまでシンプルにストーリーや監督、俳優を軸に選んで観ていたのですが、
黒沢清監督の「アカルイミライ」という作品を観たときに衣裳の持つ力をものすごく感じました。

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「アカルイミライ」という作品は、モラトリアムな時期の若者の話です。
大人になることは、社会と自分の信念とのバランスを取ることだと思います。
主な登場人物は、社会との調和を大切にしすぎるがために信念が見えなくなってしまった藤竜也、
自分の信念を貫くために社会と距離を置いてしまった浅野忠信、
そして、初めて社会に触れ、関わり方に戸惑う若者のオダギリジョー。

とても印象的だったのは、オダギリジョーの衣裳です。

この作品では「若者」のメタファーとしてクラゲを扱っています。
クラゲが水槽の中でフワフワと漂ってる姿は、
やることも見えず社会にうまく適応できない若者そのものです。
あと、油断すると猛毒を持った針で刺すとことかも。

オダギリジョーの衣裳はまさにクラゲそのものでした。
どの登場人物も、その人の歴史や心情、意志を感じることができる衣裳でした。
ただ感覚的な美しさだけではなく、奥深いストーリーがあるのが伝わります。
衣裳にも意味があると知り、映画っておもしろい!と改めて実感しました。

そのときに、衣裳を担当していたのがスタイリストの北村道子さんです。
北村道子さんは、CMや広告、映画の衣裳をたくさん手がけられています。

そんな北村道子さんの衣裳に対する考え方が綴られた「衣裳術」という本があります。
本には、各作品をどう解釈して、その衣裳を作ったかが書かれており、
とてもおもしろいのですが、北村さん自身の人生観や物事を見る視点がまた素敵です。

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本の中で、人生は学問だと北村さんは仰っています。
勉強でも学習でもなく、学問だと言っています。
学習は誰かに習い学ぶことだとしたら、学問は自ら問い学ぶこと。
それがおもしろいと。

ひとつのことを徹底的に注視し、細分化したり、俯瞰したりして、
自分なりに解釈し続けているからこそ、あのスタイリングがあるのだと思います。

たまに読み返すと、自分を振り返ることができる、私にとっては大切な本です。

北村道子さんは今、NHKのロンググッドバイというドラマのスタイリングを担当されています。
テレビドラマはやらないイメージなので、毎週観れることが本当にワクワクです。

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